誰も気づかなかった介護の真実 疑似体験から聞こえてきた心の声

プロスペクトガーデンひたちなか【編】

• 販売会社／発売会社: 講談社ビーシー/講談社
• 発売年月日: 2012/02/22
• JAN: 9784062176156

商品レビュー

2017/11/12

介護に関わる人たちはみな 体験が必要だと思う オムツの不快さや自分の気持ちを伝えられない孤独や椅子の辛さを身をもって知ってほしい

2012/03/08

茨城にある老健での取り組み。
職員は上も下もない、介護士も調理士も事務もケアマネも看護師もみんなで施設を作り上げている。
そして全ての職員が必須の研修として「８時間の疑似体験」がある。その報告だ。

設定は「82歳、要介護４、ほぼ寝たきり、右半身まひ、失語症」。

体験者は全員パジャマに着替え、オムツを当てる。オムツの中で排泄しなければならない。その気持悪さは勿論のこと、人のいるホールで（オムツと言えど）排泄させられることの苦しさ、ある職員は“自分のちゃんとした部分が崩れていく”ような感覚に襲われたと。

更に機械浴は水着こそ着けるが、それでも物凄く恥ずかしく、タオル1枚を掛けてくれることがどれだけ嬉しいことかとレポートする。
また通りかかった人が一言声を掛けてくれることの嬉しさ、自分にではなくとも優しい声掛けの声が聞こえてきたときの嬉しさ等々切々とした声が挙る。

自分で訴えられない入所者の心のうちの声を職員自ら体験し、どんどん改善していく。システムとして、生活する場として、それらの改善も大きいが、職員一人ひとりが心に刻んだ思いが介護に反映されるのが一番大きいのだろう。

こういう施設は他にもあるのかもしれない。しかしその頑張りはなかなか外には見えてこない。いや、そもそもこういう施設は稀なのかもしれない。私たちにはそれを分かりようがない。

こんな施設が近所にあると思うだけで、介護の気持ちの負担は大きく軽減すると思うのだ。