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物語 近現代ギリシャの歴史 独立戦争からユーロ危機まで 中公新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2012/02/25 |
JAN | 9784121021526 |
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物語 近現代ギリシャの歴史
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商品レビュー
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19件のお客様レビュー
106頁に1922年のスミルナ炎上の時の「ひとつのエピソード」として4行分書かれている話は著者がギリシャ留学中に初めて知った話との事。ギリシャやアルメニアでは有名な日本船の話でも日本では誰も知らない。著者はロイズ保険組合の古い資料などを調べていくうちに少しずつ目処がついてきても状...
106頁に1922年のスミルナ炎上の時の「ひとつのエピソード」として4行分書かれている話は著者がギリシャ留学中に初めて知った話との事。ギリシャやアルメニアでは有名な日本船の話でも日本では誰も知らない。著者はロイズ保険組合の古い資料などを調べていくうちに少しずつ目処がついてきても状況証拠ばかりで肝心な一次資料にはたどり着けないもどかしさがあるようだ。大連にあった会社の船というので航海日誌などは残っていないだろう。船長は正教会の信徒の一族というのでギリシャ軍に雇用されていたのだろうか?中間報告という形で本を書いたら読んでみたいものだ。 この本で不満が残るとすれば71頁の地図に「ドデカネス諸島(1947年にイタリアから割譲)」とある個所。95頁には1920年のセーヴル条約で「ロードス島などのドデカネス諸島はイタリアが獲得」とあるが1912年の伊土戦争でイタリア軍が占領して正式にオスマン朝から「獲得」したのはセーヴル条約ではないか?この本と同じ年に刊行された「ラスト・オブ・カンプフグルッペⅢ」が何故イタリア休戦の時点でドイツ軍とイタリア軍がロードス島をはじめとするドデカネス諸島に駐屯していたのかが、どこかに行っているし、イタリア休戦とドデカネス諸島の戦いの後、形式上はイタリア社会共和国の支配下でも事実上はロードス突撃師団の師団長ウルリヒ・クレーマンと後任のオットー・ヴァーゲナーが支配者だった事などゲッツ・アリーの「ヒトラーの国民国家」には書かれているが一切出て来ない。もちろん、クレーマンの命令でロードス島のユダヤ人がアウシュヴィッツに送られた事など一言も触れていない。芝健介の「武装親衛隊とジェノサイド」にあるようにフェーゲラインのSS騎兵旅団によるプリピャチ湿地での虐殺に関わるフリードリヒ・イェッケルンのようなSSの将軍も叙勲者である「柏葉付騎士十字章に輝く英雄」であるクレーマン将軍がユダヤ人に何をしたのかを書くのはまずいのか単によく知らないのかは分からないが。ヒルバーグの「ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅」ですらロードス島の記述はギリシャの項目に割り振られている。ドデカネス諸島は1947年のパリ条約でイタリアから割譲されるまでギリシャ領ではないので「ギリシャ」にするとビザンツ帝国時代にまで遡ってしまうにしろギリシャ文化圏なので、ややこしいところだ。
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ギリシャは、古代ギリシャ誕生後、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国と、長い間支配された経緯がある。その後、オスマン帝国からの独立をかけて、ギリシャ独立戦争が勃発したが、歴史の教科書では、独立以降のギリシャは大々的に注目されない。本書は比較的マイナーな箇所を取り扱っており、こ...
ギリシャは、古代ギリシャ誕生後、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国と、長い間支配された経緯がある。その後、オスマン帝国からの独立をかけて、ギリシャ独立戦争が勃発したが、歴史の教科書では、独立以降のギリシャは大々的に注目されない。本書は比較的マイナーな箇所を取り扱っており、この本を読むことで、近現代のギリシャの概要を把握できる。 まずギリシャと聞くと、古代ギリシャを連想するが、現在のギリシャの起源は18世紀だと見なすべきである。ギリシャに限らず、近代国家は社会、宗教、民族などのナショナリズムから誕生した。これに加えて、ギリシャ独立戦争の際、西欧列強が勢力均衡のために、ギリシャ側を支援した。これによりギリシャの独立を果たしたが、上記の経緯を見ると、ギリシャ国家は人工的に無理くりできた国家だと認識すべきである。近代化を達成したものの、そのとき壁となったのが公用語、すなわちギリシャ語の採用である。国家の言語として、どの形態を採用すべきかが何度も論争されており、近年まで明確に統一されていなかった。 また、本書では近代から現代における政治家を取り上げるが、特に注目するべきなのが1910年から30年半ばまで首相を務めた「ヴェニゼロス」である。彼は、近代化を進めるうえで産業の発展が重要だと判断した。そこで、道路建設や郵便電信システム等のインフラ整備、農業生産向上に向けての政策、労働者の待遇改善など、次々とギリシャ社会を抜本的に改革した。その点、日本の政治家の大久保利通の政策と共通している。しかし、その後、軍事政権や左派が台頭し、ギリシャ社会の秩序が入り乱れた。このように、近代化を果たしたとはいえ、不安定な状態が続いた。 第2次世界大戦が終結して間もないころ、ギリシャはトルコと共に自由陣営側入りする。これはNATO側が、地政学的リスク、つまり防共という観点から保護した。とはいえ、戦後のギリシャは相変わらず不安定で、1947年以降は、軍事独裁、君主制、保守的官僚と右翼の勢いが増した。なかでも注目すべきなのが、キプロスをめぐってのギリシャとトルコの関係である。キプロスは戦後、イギリスの支配から脱却したが、1974年のトルコ側による軍事侵攻から、ギリシャと関係が悪化している。そのため、キプロス関連の問題は今なお未解決である。終章では、現代ギリシャについて言及されるが、なかでも財政の悪化が問題視されており、こちらも解決の目途が立たない。
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ギリシャ独立に至る前史から現代まで。そもそもギリシャ人とは? というところから、メガリ・イデアとはどういう背景のもとに生まれたのか? どういう過程をたどったのか? ギリシャ語のカサレヴサとデモティキについてや「兄弟殺し」と言われた内戦の展開、ギリシャ国外のギリシャ人についてなどな...
ギリシャ独立に至る前史から現代まで。そもそもギリシャ人とは? というところから、メガリ・イデアとはどういう背景のもとに生まれたのか? どういう過程をたどったのか? ギリシャ語のカサレヴサとデモティキについてや「兄弟殺し」と言われた内戦の展開、ギリシャ国外のギリシャ人についてなどなど、今のギリシャを知るために不可欠な内容がならんでいる。文章も平易で読みやすい。これは古代ギリシャ好きやビザンツ好きにも必読の一冊かもしれない。
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