五行歌集 く、

芳川未朋【著】

• 販売会社／発売会社: 市井社
• 発売年月日: 2012/02/01
• JAN: 9784882081142

商品レビュー

2012/05/23

『く、』！　この斬新なタイトル。作品の一部からとられたこの音が、なかなか端的に歌集を象徴してる気がする。
装丁は芳川さんのパートナーでデザイナーの吉川利夫さん。
判型もちょっと小ぶりで、赤と黒のコントラストがビビッドでスタイリッシュ。表紙は、白と黒のコントラスト。すてき。

と、ついつい装丁の話になってしまうが、いやいや中身もすばらしい。
芳川さんの歌は、だれしもが目にしてるものを、芳川さんだけの言葉、表現で鮮やかに切り取ってみせる。うーむ、うーむと唸る。「うまい・・・」とため息がでる。「やられた！」と額を打ち付ける。
コンパクトな外観に、ぎゅっと濃縮された感性がつまってます。
めちゃくちゃおすすめ！

2012/03/08

熊本五行歌会代表の芳川未朋さん、五行歌集！
スタイリッシュな装丁は、デザイナーのご主人によるもの。
斬新なタイトルから引き込まる芳川さんの鮮やかな表現世界をぜひぜひご堪能ください！

蝉よ
地上は
うつくしいか
おまえの
ながい夢のそれより

う、
と断たれた　
暮らしであるか
被災家屋は
喉元まで土石流を呑んで

くすぐれば
ちいさく
く、と洩らすだろうか
少年阿修羅の
かみしめた唇

「歌集を読んで、新しい意味を持った完成度の高い歌がずっと続いていくことに、驚きを感じた。どれを見てもよく、一つ一つに今まで書かれたことのない魅力がある。それはどういうことかというと、彼女が何かを見ると、いままで人が見ていたのとは違った見方であり、違った意味が生まれ、そのうえ、人みながそのとおりに感ずるということである。
　芳川さんの場合、何かに意味を感じるその鋭さが、並外れており、美学においても、ユーモアにおいても、真実においても、その意味深さが究極にまで達する。」（草壁焔太　跋より）