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成熟社会の経済学 長期不況をどう克服するか 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2012/01/23 |
JAN | 9784004313489 |
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成熟社会の経済学
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商品レビュー
4.1
20件のお客様レビュー
管政権の経済政策ブレーンをつとめ、「増税で景気回復!」みたいな主張が切り出して取り上げられて話題になっていたが、もう少し奥があるようなのでとりあえず読んでみる。 流動性選好っぽいのや財政支出重視でケインズ派なのかな?と思ったが、そういう訳でもないらしい。ケインズ派の想定する不況...
管政権の経済政策ブレーンをつとめ、「増税で景気回復!」みたいな主張が切り出して取り上げられて話題になっていたが、もう少し奥があるようなのでとりあえず読んでみる。 流動性選好っぽいのや財政支出重視でケインズ派なのかな?と思ったが、そういう訳でもないらしい。ケインズ派の想定する不況は「短期」の現象だが、こちらは「長期」の不況を想定しているという。さらに乗数効果への批判のところで分かったが、財政支出も増減税もぜーんぶクラウディングアウトしてしまいますよ、という所は新古典派的。けっきょく財政によって創り出される、所得移転以外の効用そのものが問題であり、そこから経済成長・雇用確保ができると。発想の根っこは新古典派に近いと思うが、供給力は足りているとの認識で需要サイドを問題にしているところ、貨幣への偏愛を問題にしているところが違う、かな? お金を保有したくなってしまう欲求にはキリがないというのがとにかく大事なポイントだ。この場合の「お金」は通常の意味での貨幣に限らない。本書ではあまりそこは直接に解説されていないが、ところどころの記述から推測するに、株だって土地だって価値を表象していて取引がされるのであれば「お金」的要素があると考えてよいみたいだ。そうなると、お金への欲望が土地や株に向かえばバブルが起こり、お金そのものに向かえばデフレと不況が起こる。両者はコインの裏表でしかなく、背後にあるのはモノ・サービスに対する供給力過剰と需要欠如だ。これは肌感覚的に説得力があるな。 かと言って、、、じゃあ需要不足を解消するために、政府が高齢者へ現物支給するだとか、環境だ新エネだとか言われると、「ホントにそこまでのことなのか?」と思ってしまう。いや、議論の方向性は分かる。社会保障にしろ復興にしろ環境にしろ、ある程度やった方が良さそうで、政府がやることでよさそうで、今現在十分にできていないことはたくさんある。バカバカしい公務員人件費削減の自虐プレイなんかしていないで、多少は増税しようが何しようがそういうことにしっかり資源を投入することは必要だろう。でも、この本の議論はあんまりに極端で引いてしまうところもある。そこまでしなくとも需要を見出すことはできるのでは?具体的にどうしろとは言えませんが。。。高齢化しても供給力過剰は続くとの見方だが、そこは危ういのではないか。リタイア年齢を延ばす余地がどれほどあるか、いわゆるロスジェネで未熟練な労働者(あるいは失業者)が増えているであろうことなど考えるとどうだろう。 金融緩和の効果に対しては否定的だが、ここは分量も少ないし、議論もなんだかフワッとして説得力がない。しかし、こここそ、貨幣愛が株・土地に向かってしまう可能性を持ち出すと面白いのでは。 しかし経済学ではいろんな論争があるが、意外と最大公約数がありそうと言うか、政策の実施にあたってはその論争にケリをつけなくたってできることは多い気がする。小野理論は理屈は違ってもけっきょく処方箋はケインズ理論と似ているし、輸出で稼ぐことばかり考えていないで稼いだ国富で消費しろと言うと、野口悠紀雄とまで似たことを言っていることになる。
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現在の日本の経済状況の閉塞感は「発展途上社会」から「成熟社会」に移っていることを認識していないで、「発展途上社会」では有効な経済方策を「成熟社会」で実現しようとしているところにあるそうだ。
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経済学の基本理論に忠実で、出るかねと入るかねは同じということで説明している。しかし、そこでの貧困で喘いでいる人の姿が書かれていないのはなぜだろう。
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