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成熟社会の経済学 の商品レビュー

4.1

20件のお客様レビュー

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2018/11/05

管政権の経済政策ブレーンをつとめ、「増税で景気回復!」みたいな主張が切り出して取り上げられて話題になっていたが、もう少し奥があるようなのでとりあえず読んでみる。 流動性選好っぽいのや財政支出重視でケインズ派なのかな?と思ったが、そういう訳でもないらしい。ケインズ派の想定する不況...

管政権の経済政策ブレーンをつとめ、「増税で景気回復!」みたいな主張が切り出して取り上げられて話題になっていたが、もう少し奥があるようなのでとりあえず読んでみる。 流動性選好っぽいのや財政支出重視でケインズ派なのかな?と思ったが、そういう訳でもないらしい。ケインズ派の想定する不況は「短期」の現象だが、こちらは「長期」の不況を想定しているという。さらに乗数効果への批判のところで分かったが、財政支出も増減税もぜーんぶクラウディングアウトしてしまいますよ、という所は新古典派的。けっきょく財政によって創り出される、所得移転以外の効用そのものが問題であり、そこから経済成長・雇用確保ができると。発想の根っこは新古典派に近いと思うが、供給力は足りているとの認識で需要サイドを問題にしているところ、貨幣への偏愛を問題にしているところが違う、かな? お金を保有したくなってしまう欲求にはキリがないというのがとにかく大事なポイントだ。この場合の「お金」は通常の意味での貨幣に限らない。本書ではあまりそこは直接に解説されていないが、ところどころの記述から推測するに、株だって土地だって価値を表象していて取引がされるのであれば「お金」的要素があると考えてよいみたいだ。そうなると、お金への欲望が土地や株に向かえばバブルが起こり、お金そのものに向かえばデフレと不況が起こる。両者はコインの裏表でしかなく、背後にあるのはモノ・サービスに対する供給力過剰と需要欠如だ。これは肌感覚的に説得力があるな。 かと言って、、、じゃあ需要不足を解消するために、政府が高齢者へ現物支給するだとか、環境だ新エネだとか言われると、「ホントにそこまでのことなのか?」と思ってしまう。いや、議論の方向性は分かる。社会保障にしろ復興にしろ環境にしろ、ある程度やった方が良さそうで、政府がやることでよさそうで、今現在十分にできていないことはたくさんある。バカバカしい公務員人件費削減の自虐プレイなんかしていないで、多少は増税しようが何しようがそういうことにしっかり資源を投入することは必要だろう。でも、この本の議論はあんまりに極端で引いてしまうところもある。そこまでしなくとも需要を見出すことはできるのでは?具体的にどうしろとは言えませんが。。。高齢化しても供給力過剰は続くとの見方だが、そこは危ういのではないか。リタイア年齢を延ばす余地がどれほどあるか、いわゆるロスジェネで未熟練な労働者(あるいは失業者)が増えているであろうことなど考えるとどうだろう。 金融緩和の効果に対しては否定的だが、ここは分量も少ないし、議論もなんだかフワッとして説得力がない。しかし、こここそ、貨幣愛が株・土地に向かってしまう可能性を持ち出すと面白いのでは。 しかし経済学ではいろんな論争があるが、意外と最大公約数がありそうと言うか、政策の実施にあたってはその論争にケリをつけなくたってできることは多い気がする。小野理論は理屈は違ってもけっきょく処方箋はケインズ理論と似ているし、輸出で稼ぐことばかり考えていないで稼いだ国富で消費しろと言うと、野口悠紀雄とまで似たことを言っていることになる。

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2018/10/20

現在の日本の経済状況の閉塞感は「発展途上社会」から「成熟社会」に移っていることを認識していないで、「発展途上社会」では有効な経済方策を「成熟社会」で実現しようとしているところにあるそうだ。

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2016/03/10

経済学の基本理論に忠実で、出るかねと入るかねは同じということで説明している。しかし、そこでの貧困で喘いでいる人の姿が書かれていないのはなぜだろう。

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2014/05/09

目からウロコの本です。ある対談集で著者の名前を知り単著を読んでみたのですが、現在の経済に関する状況が次々と論破されていき、驚きの連続でした。

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2013/03/05

不況だ不況だというネガティブなこの日本社会はなんなんだと もやもやしている時に出会った本。 大企業のコスト削減による効率化の競争が結果として、自分たちの首をしめていることにつながっていることなど気にしておく必要がある。 需要が慢性的に不足し、生産力が余っている成熟社会では、 ・プ...

不況だ不況だというネガティブなこの日本社会はなんなんだと もやもやしている時に出会った本。 大企業のコスト削減による効率化の競争が結果として、自分たちの首をしめていることにつながっていることなど気にしておく必要がある。 需要が慢性的に不足し、生産力が余っている成熟社会では、 ・プロセスイノベーションよりもプロダクトイノベーション ・生産よりも消費(生産そのものを目的とせず、消費を目的とした生産) が重要。 人々の意識の中に慢性的に需要があった経済成長期の成功体験が残っているため、行き詰まっている。 しかし、僕の周りの人の中にはこの社会の未来を切り開こうとしている人たちがいる。僕もその未来を切り開く人間となりたい。

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2014/05/10

現代日本のような成熟社会では、人々は既に欲しい物をほとんど手に入れているので、お金をばら撒いても銀行の金庫に積み上がるだけ、との説明はシンプルでわかりやすい。我が身を振り返ってみても、確かにどうしても欲しいものなんてほとんど無い(その割にはお金がウチの金庫にだけ積み上がらないのは...

現代日本のような成熟社会では、人々は既に欲しい物をほとんど手に入れているので、お金をばら撒いても銀行の金庫に積み上がるだけ、との説明はシンプルでわかりやすい。我が身を振り返ってみても、確かにどうしても欲しいものなんてほとんど無い(その割にはお金がウチの金庫にだけ積み上がらないのは何故なんだぜ?)。  経済学を学んだことがないので、著者の言うことを完全には理解できないが、所々に出てくる「お金は増えも減りもしない」という原則が、熱力学の第一法則や質量保存の法則と同じで妙に納得できた。 しかしながら、その処方箋については「そんなにうまく行くかな?」と言うのが正直な感想である。現物支給=期限付きのバウチャーは良いアイデアに思えるし、いくつかの提言は国全体としては効果があるのかもしれない。ただ著者が言うほど産業間の労働移動=「玉突きのようなこと」は起こりそうも無いから、結局はある特定の層に所得が集中してお金が金庫に積み上がるだけではなかろうか?  やっぱり良く分からない。

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2013/02/11

デマンドサイドの立場には立つが、伝統的ケイジアンとの間には一線を引いた立場の主張。拝金主義を戒めており、お金は使われてこそいみがある、その意味では供給に重きをおく「発展途上経済」とは異なる現実をよく見なさいと説いている。成熟社会で大事なのはお金を使ってこそ幸せになれるはず、その意...

デマンドサイドの立場には立つが、伝統的ケイジアンとの間には一線を引いた立場の主張。拝金主義を戒めており、お金は使われてこそいみがある、その意味では供給に重きをおく「発展途上経済」とは異なる現実をよく見なさいと説いている。成熟社会で大事なのはお金を使ってこそ幸せになれるはず、その意味では増税〜適切な政府支出〜サービスや夢の創出につながって国民の幸福の向上につながるはずと見てはいるが。まず信用できる政府になってもらわないと。

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2013/01/27

成熟社会である現在の日本では,ケインズ等の従来の経済学が成立しないことを数々の事例で解説している好著だ.生産力は既に十分あるので、それを活用して生活の質を向上させる必要がある,という主張はうなずけるものがある.要はお金の使い方を考えることに尽きるのだろう.

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2012/09/23

従来の経済学は短期不況かつお金自体への所有欲は無いものとして述べており、お金自体に執着を持っている現在のような長期不況については述べられていないするもの。 いくらか乱暴な論理展開や数字のマジックもあったが、ずっと疑問に思っていたことについて述べらていたので、衝撃的であった。ただ、...

従来の経済学は短期不況かつお金自体への所有欲は無いものとして述べており、お金自体に執着を持っている現在のような長期不況については述べられていないするもの。 いくらか乱暴な論理展開や数字のマジックもあったが、ずっと疑問に思っていたことについて述べらていたので、衝撃的であった。ただ、創造的な仕事に主軸を置くべきといっているが、万人が万人そんなことに従事することはできないであろう。学者的な解である。

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2012/07/13

 「成熟社会」ということが、言われている。著者は1980年代から90年代を境に発展途上社会から成熟社会に「大きな変貌」(はじめに i)を遂げたとし、成熟社会を「いますぐ欲しいような物はほとんどすべてそろっています」と整理し、「(需要不足が原因)不況を長期的な現象として捉える必要が...

 「成熟社会」ということが、言われている。著者は1980年代から90年代を境に発展途上社会から成熟社会に「大きな変貌」(はじめに i)を遂げたとし、成熟社会を「いますぐ欲しいような物はほとんどすべてそろっています」と整理し、「(需要不足が原因)不況を長期的な現象として捉える必要がある」する。  各章で「発展途上社会から成熟社会」、「財政破綻の常識を覆す」、「金融政策の意義と限界」、「成熟社会の危機にどう対応するか」、「国際化する経済」の順で、解決を生産の効率・安価・輸出増ではなく、需要を変えることに求めている。  国際競争力を高め、国外市場を確保し、外国資産(外貨)を保有する努力は円高を結果し、自分で自分の首を絞めるとも述べる。  環境とエネルギー分野で新規の投資と雇用の確保が可能で(195p)、国民は金を貯めるまえに「国内の消費者に夢や楽しみを与え快適な生活をもたらす商品やサービスを開発して、内需を刺激するしかありません」(193p)とする。  若者の就職困難、中年の離職を「自己責任」とするのではないとする点は理解する。  日本人の貯蓄志向をかえ、内需拡大をすすめているが、高齢者の老後生活不安は小さくない、はず。  「現役時代に働いて退職したすべての人に、一定水準の老後生活を保障すること」は、重要な指摘。  しかし、そこに至る図式と展望を、もう少し踏み込んでほしい。  確かに≪高齢者のこれから≫は新規雇用可能な領域ではあるが、高齢者に対するサービスも、従事するサービス提供者への処遇も、いささか≪低レベルではないか≫と、思う点が多いからである。

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