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音楽とは何か ミューズの扉を開く七つの鍵 講談社選書メチエ521
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2012/01/13 |
JAN | 9784062585248 |
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音楽とは何か
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商品レビュー
3.8
7件のお客様レビュー
それはむかーしのことですが、私が高校生だった頃、一向に成績のよくならなかった教科の一つ数学の授業の時、先生がこんなことを言いました。 「日本では、高校の主要教科は理系文系と分かれていて数学は理系の教科だと言われているが、ヨーロッパなどでは、数学はほぼ哲学の隣あたりに位置して...
それはむかーしのことですが、私が高校生だった頃、一向に成績のよくならなかった教科の一つ数学の授業の時、先生がこんなことを言いました。 「日本では、高校の主要教科は理系文系と分かれていて数学は理系の教科だと言われているが、ヨーロッパなどでは、数学はほぼ哲学の隣あたりに位置している」云々……。 さて、それを聞いた時私がどんな感想を持ったのか、今となっては全く覚えていません。ただ、そう言われたことだけは今になっても覚えています。 後日、かなり月日がたってからですが、クラシック音楽の本を読んでいたら、音楽と数学の高い親和性について書かれた文章があって、そこにはバッハの「平均律」なんかが例として紹介されていました。 そこを読んだ時に私が思ったことは、なんとなく覚えています。 といっても、全然たいしたことのないことを考えていたのですが、なるほどそう言われれば音楽ってちょっと理系っぽいかな(やっぱり理系かい)、などと思ったわけです。(本当につまらない内容ですみません。なさけなー。) さて、この度冒頭の本書を読んで、私はとっても面白かったです。(一部音楽の専門的なところは理解できませんでしたが。) 要は、タイトルの通り音楽って何だと、かなり正面からあれこれ考察している本ですが、これは面白そうでしょう。 音楽とは○○である(ではないか)、という定義めいたものがいっぱい書かれてあってそのどれもが、私としてはとても説得力がありました。 また、そんな大層な定義だけでなく、いわゆる音楽を聴くことによって我々の心の中に起こる現象めいたもの(よーするに「感動」などですね)の説明なども、(当然と言えば当然でしょうが)詳しく書かれています。ここも、とても説得力がありました。 以下に、そのどれか一つを紹介しようと思いましたが、この記述もいいし、あの記述もいいと迷いました。でも一つだけ書いてみますね。 --------------- というのも、音楽は意味世界を叙述するのではないからです。音楽においては、むしろ発信されたもの――ある感情であれ、ある気分であれ、ある魂の状態であれ――が、他者のなかで呼び起こされるのです。概念的な理解が知識と照合されるのに対して、音楽的な理解は同じ感情を引き出します。ちょうどある波長が波動となって伝わり、同じ波長を共振、共鳴させるように、です。その時、コミュニケーションの根幹たるべき発信者にとってのことの重大さが同調されるのです。 --------------- ここに書かれたのを読んで、わたくしは(いつものように偏見と誤解にまみれつつ)こんな風に理解しました。 例えば小説に「絶世の美女」と書かれているのを読んだ時、読者の頭に浮かぶ美女の顔は、まさに十人十色でありましょう。しかし、ある音楽を聴いて悲しいと思った時の感情の「形」は、なんと十人いても十人とも同じ形だ、ということではありませんか。 ダイレクトに脳内に、ある感情の塊のようなものが姿を現す、ということではありませんか。 ……ということは、ということは、ですよ。 例えば小林秀雄がモーツァルトのト短調クインテットを聞いて、「かなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡に玩弄するには美しすぎる」と思った時彼の頭の中にあった悲しみの形は、私が同曲を聴いて「ああ、悲しい曲や。ほんま、ええ曲やなー」と感じた時の悲しみの形と同じものだということではないですか。 ……うーん、と、はじめ私も思いました。 でも、なんとなく納得してしまうんですよね。 私の呆けたような鑑賞はともかく、結局音楽を聴く感動とは、言葉で説明すればこのような理解が一番正しいんじゃないかと、とっても納得的に思ったわけです。 ……いやー、小林秀雄と私が同じ思いであったなんて、なんだかちょっと得したような気持ちになりました。 そんな、音楽とは何かが、あれこれ考察されている本です。 とても、面白かった。
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そもそものところ,音楽とは何物なのだろうか。本書は,7つのキーワード(魔法,システム,表現,リズム,旋律,ハーモニー,コミュニケーション)をもとに,音楽学のみならず多様な視点から音楽を語る。音楽についてあまり知らない人でも,自分の気になる音楽について考えながら読むだけでも面白いと...
そもそものところ,音楽とは何物なのだろうか。本書は,7つのキーワード(魔法,システム,表現,リズム,旋律,ハーモニー,コミュニケーション)をもとに,音楽学のみならず多様な視点から音楽を語る。音楽についてあまり知らない人でも,自分の気になる音楽について考えながら読むだけでも面白いと思う。 メモ ・音楽の描写能力の限界,音楽を説明する歌詞,音楽と歌詞の交差 ・踊りとリズム,身体運動を音化する ・音域の限界による表現 ・ハーモニーによる表現,明暗のバランス
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音楽の本質について、七つの視点に沿って著者自身の考えが展開されている本です。 本書の冒頭で著者は、音楽の起源をさぐる方法には「考古学的方法」「文化人類学的方法」「現象学的方法」の三つがあると述べています。これにつづいて、「音楽は魔法である」にはじまり、「システム」「表現」「リズ...
音楽の本質について、七つの視点に沿って著者自身の考えが展開されている本です。 本書の冒頭で著者は、音楽の起源をさぐる方法には「考古学的方法」「文化人類学的方法」「現象学的方法」の三つがあると述べています。これにつづいて、「音楽は魔法である」にはじまり、「システム」「表現」「リズム」「旋律」「ハーモニー」「コミュニケーション」の七つのテーマに沿って音楽の本質が探究されていくことになるのですが、そこでの議論は実証的な考古学や人類学の成果にもとづいているというよりも、むしろいささか素朴なしかたではありますが現象学の本質観取の方法がとられています。 こうした視点から音楽の本質を論じた本ははじめてだったので、興味深く読みました。ただし、こうした本質観取の方法にもとづいているために、たとえば民族音楽の固有性や現代音楽の問題性を掘り下げるよりも、音楽一般の普遍的本質へと議論の焦点が偏ってしまっているのではないかという疑問もあります。
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