穢翼のユースティア Auld Lang Syne 過去編 まるち文庫

沖田和彦【著】

• 販売会社／発売会社: パラダイム
• 発売年月日: 2011/12/24
• JAN: 9784894906471

商品レビュー

2014/01/28

オーガストから発売された美少女ゲームのノベライズ版。

「牢獄」と呼ばれる最下層民の暮らす地域で、「不触金鎖」という組織の殺し屋をしているカイム・アストレアが主人公。彼は、雇い主である不触金鎖のボスを務めるボルツの依頼で、最近信者を増やしている「灰翼教団」の動向を探っています。ボルツの見立てでは、最近「朗徳」で広まっている麻薬の元締めに、灰翼教団が関わっているのではないかと睨んでいました。

その一方でボルツは、２人の息子のうち、力の信奉者であるベルナドではなく、広く人から好かれる性格のジークを次のボスに指名します。この決定に不満を抱くベルナドは、ボルツたちのもとから去っていきます。そんな彼に、女の殺し屋で「狂犬」の異名を持つガウが接近します。

ベルナドを差し置いて不触金鎖の次のボスに指名されたジークは、自暴自棄となり、殺し屋の仕事をしているカイムに辛辣な言葉を投げつけてしまいます。やがて２人は和解しますが、カイムは殺し屋の仕事から足を洗うことを決意します。カイムが、雇い主であるボルツにそのことを告げると、ボルツは最後の仕事として、灰翼教団の女教祖の殺害をカイムに依頼します。ジークと共に教祖の殺害に向かったカイムは、すでに教祖がガウによって殺害されていることを知ります。

殺し屋という闇の仕事を引き受けるカムイの人物像と退廃的な世界観が、独特の雰囲気に仕上がっていて、短い作品ですがそれなりに楽しめました。