ガラスの匣 ローズキーノベルズ

沙野風結子【著】

• 販売会社／発売会社: ブライト出版
• 発売年月日: 2011/12/21
• JAN: 9784861231711

商品レビュー

2012/01/11

俳優として生き残りを賭けて華族の末裔で美貌の画家那智の家で敏腕マネージャー正岡と共に暮らす事になった糸瀬紺。
生き残る為、融資してもらう条件はそこに集まる三人の男のうち一人を誑し込む事。
パトロンを得る為に、好きでもない男を落さなければならない事情にあまり興味が持てませんでしたが、やはり沙野さんの文章なのでぐいぐいと読ませられました。
ハンサムな敏腕マネージャーが何故でしょう、あまり魅力的に感じられませんでした。

2012/01/04

主人公・紺が複数の男たちの中から一人を落とすというボブゲのようなノリ。ボブゲなら狙った攻略キャラのルートに入るため自分で選択肢を決められるけどこれは小説。作者の決めたルートになるわけでｗ序盤はどのアプローチなのか掴めず戸惑ったけど、すぐに紺の心が一人に向き始めるので話に入り込めた。攻への恋情ゆえにリタイアとクリアで葛藤する紺とそれぞれに思惑を持つ他キャラがもつれていく話はなかなか複雑。4対1のHは攻へのトドメでもあるかも？ラスト1文の狂気にはゾッとした。でもその後味の悪さが美味しいと思う私も病んでるかｗ
ペナのキスシーンがやたらとエロいと思ってたら、沙野さん自身盛り上がってたのね(笑)あと、録画映像という設定での描写というのも引きの視点という印象になって面白かった。

2011/12/24

いつもの作風とはちょっと趣を変えていましたが、やはり主人公以外が病んでる方向で、妙な安心感を感じてしまったのです。
育成ゲーム風のようで、俳優を目指している美形なのに売れないタレント26歳の紺がメインキャラ。そして彼を取り巻く人々が個性豊かで魅力的。紺に群がる男たちにモテモテでさぞや本人は楽しかろうと思いきや、そうでもないのが育成ゲームとは一味違うところです。

紺は華やかな芸能界で頑張っているわりには、チャラくもなくて真面目で男同士でHなどありえない、と思っている融通のきかないタイプ。なので美形なのに全然芽が出ない。そこで、敏腕マネージャーの真岡に提示されたのは、芸能界に顔のきく「女王様」那智にスポンサーとなってもらうため「屋敷の男たちの一人をがっちり誑し込む」という条件をクリアすること。

男なんて、と思っている紺がどんな風にそのゲームに挑んでいくのかというのが読みどころ。真面目だった紺が目指すもののためばかりじゃなく、誰かのために頑張ろうと決意する姿にほっとします。そして、芸の幅を広げるためにも、あえて苦手なことにも挑戦しようとする意欲が出てきたのはよかったんじゃないでしょうか。おまけとして、色気も花開いたみたいなので。

紺の行動ばかりじゃなく、他の男たちも気になります。犬になっちゃった挑戦者とか…エロい。
罰ゲームのキスとか、衆人環視Hとか、よくこれだけ思いつくなーと思うような官能シーンがいろいろ。
ただ、人前Hは花シリーズの征一×斎のが一番萌えたので、あれ以上に煽られなかったのが残念。
紺がグレンとの情交の跡を見せつけるシーンはくらっとときた。
長田はSSペーパーでその後の様子がわかりますが、彼もめちゃエロス。
もう、エロは官能的＆扇情的で、クオリティの高さを感じさせられます。ほんとに高度。

そんなにエロで多人数、衆人環視などゲームの形をとりながらも結局純愛にたどり着いていて、後味がいいストーリーです。
その後、紺が芸能界にのし上がっていけたのか、そこは見てみたい気もしました。