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親切な進化生物学者 ジョージ・プライスと利他行動の対価
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親切な進化生物学者 ジョージ・プライスと利他行動の対価

オレンハーマン【著】, 垂水雄二【訳】

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親切な進化生物学者 ジョージ・プライスと利他行動の対価

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2011/12/22
JAN 9784622076667

親切な進化生物学者

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2013/12/27
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オーレン・ハーマン『親切な進化生物学者 ジョージ・プライスと利他行動の対価』みすず書房、読了。晩年はホームレスとして死んだ天才理論生物学者プライス。本書は初の浩瀚な評伝。歩みを詳述するだけでなく、その利他的行動の研究史ともなっている。 http://www.msz.co.jp/news/topics/07666.html 原題は「The Price of Altru-ism」。利他主義のプライスと利他主義(的行動)の代償という二重の意義。利他的行動研究に没頭したプライスは、最終期をホームレス救済に人生を捧げ、みずからホームレスとして自死した。 遺伝子や血縁研究も見られるが、プライスはあくまで一般論で説明しようと試みる。それがプライスの共分散方程式(The Price Equation)。説明の探究から実践への没頭。利他とは一体何だろうかと考えさせられる。

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2013/04/08

第1章 戦争か平和か 第2章 ニューヨーク 第3章 淘汰 第4章 放浪 第5章 友好的なヒトデと利己的なゲーム 第6章 奮戦 第7章 さまざまな解決策 第8章 容易な道はない 第9章 ロンドン 第10章 「偶然の一致による」回心 第11章 「愛の」回心 第12章 清算 第13章 ...

第1章 戦争か平和か 第2章 ニューヨーク 第3章 淘汰 第4章 放浪 第5章 友好的なヒトデと利己的なゲーム 第6章 奮戦 第7章 さまざまな解決策 第8章 容易な道はない 第9章 ロンドン 第10章 「偶然の一致による」回心 第11章 「愛の」回心 第12章 清算 第13章 利他行動 第14章 最後の日々 エピローグ

Posted by ブクログ

2012/10/04

本書は,生物学史学者である著者によるジョージ・プライスという進化生物学者の伝記だ。幼いころから優秀で,しかしやや変わったところがあったジョージは化学とコンピュータの分野で研究者としての人生をスタートさせた。そして,研究分野を進化生物学へと変更し,そこで生物の利他行動にまつわる大き...

本書は,生物学史学者である著者によるジョージ・プライスという進化生物学者の伝記だ。幼いころから優秀で,しかしやや変わったところがあったジョージは化学とコンピュータの分野で研究者としての人生をスタートさせた。そして,研究分野を進化生物学へと変更し,そこで生物の利他行動にまつわる大きな発見をすることになる。(しかし必ずしもその時点では高い評価を受けなかったようだ)。その後,ジョージは突如としてキリスト教徒に転向することになる。そして最後はホームレスとなって1975年に52歳で生涯を終える。 ところで,著者が謝辞の中で「しかし私は最初からこれを単なる伝記として描きたいと思ってはいなかった(503頁)」と書いているように,本書はただの伝記ではない。実際に,利他行動にまつわるひとつの科学史・哲学史として本書を読むことができる。自分を利する性質が選抜されることが進化の本質なのであれば,(自分ではなく)他者を利するような利他行動(=親切な行動)を生物が見せるのはなぜなのか。チャールズ・ダーウィン自身もこの問題に頭を悩ませたという。しかし実は,幾つかの異なるレベルで利他行動は自分を利しているのである(「情けはひとの為ならず」)。ロナルド・フィッシャー及びJ.B.S.ホールデンは,自分に「近い」生物に対する利他行動は,自分と共通する性質を子孫に伝えられるという意味で自分を利する行動なのだと主張した(血縁淘汰)。他方で,シューアル・ライトは自分を含む群に対する利他行動は自分を利することになると主張した(群淘汰)。血縁淘汰か,それとも群淘汰か。長く続いたこの問題に対して統一的な解決を示したのがジョージである。 本書は伝記と科学史というふたつの側面を持っているため,必ずしもジョージが生きた時代のみについて書かれているわけではない。実際に本書ではダーウィンの時代から話が始まる。そのため,最初のうちは話を追っていくのがなかなか大変である。話の着地点がどこなのかが分かりにくいからだ。後の方まで読んで全体がようやく見えてくるので,内容を理解するためには何度か読み返したり,途中で前の方の内容に戻ったりする必要があるかもしれない。 何かの折にジョージ・プライスの名前や彼の数奇な人生について耳にしたひとに対して,何よりもまず本書はおススメである。また,進化と利他行動に関心があるひとにとっても本書は良質な案内書であると言えるだろう。最後に,人間の行動について深く考えたいひとにも本書を勧めたいと思う。本書によれば結局のところ,進化生物学が示したのは,動物について純粋な利他行動はあり得ないということだ。しかしほかの生物と異なる人間ならば,純粋に利他的に振る舞えるのではないか。それが晩年のジョージがホームレスとなって試みたことである(493-496頁)。彼は結局それに失敗したように見えるが,著者によれば,「すべてのなかでもっとも重要なのは,ほとんどの人間行動は(・・・)自然淘汰とはまったく関係がない」(488頁)という。安易に「遺伝子がひとの行動を決めている」ことを主張するイージー・リーディングな本が多いなか,本書の内容には非常に考えさせられる。

Posted by ブクログ

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