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災害論 安全性工学への疑問 世界思想社現代哲学叢書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 世界思想社 |
発売年月日 | 2011/10/19 |
JAN | 9784790715412 |
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災害論
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4件のお客様レビュー
3.11を経験した哲学者が,これまでの安全性工学に欠けていた視点を明らかにしてくれます。 これまでに読んだ,震災関連,原発事故関連の本とは違った視点で語っているところが,哲学者らしいです。が,加藤さんたち哲学者は,これからの日本の進むべき道を教えてくれるのだろうか…と考えると...
3.11を経験した哲学者が,これまでの安全性工学に欠けていた視点を明らかにしてくれます。 これまでに読んだ,震災関連,原発事故関連の本とは違った視点で語っているところが,哲学者らしいです。が,加藤さんたち哲学者は,これからの日本の進むべき道を教えてくれるのだろうか…と考えると心許ないです。学者たちに働きかけて欲しいなと思います。 個人的には,板倉聖宣さんの名前が出て来たのにビックリしました。
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例えばロシアンルーレットというゲームで、あなたは1/6の確率で死ぬが、生き残った場合に1億円がもらえると想定しよう。ゲームの条件としてあなたの命を1千万円としたとき、期待利益は8,166万円となる。数字だけ見れば、このゲームは絶対に得である。だがだからといって、あなたはこれを進...
例えばロシアンルーレットというゲームで、あなたは1/6の確率で死ぬが、生き残った場合に1億円がもらえると想定しよう。ゲームの条件としてあなたの命を1千万円としたとき、期待利益は8,166万円となる。数字だけ見れば、このゲームは絶対に得である。だがだからといって、あなたはこれを進んでやろうとするだろうか。 これは、確率論が人間の実際の生活態度とは一致しないという一例だが、工学における安全評価には、この確率論が著しく重用されている。「確率論的安全評価システム」は最高度の合理的予測であり、安全技術の基本概念であるが、このシステムそのものに事故の原因を見出せることが、福島原発事故の本質ではないかと本書は問う。 相反する要素がせめぎ合う原発問題という袋小路で、それでも視野を公平に、透明に保とうとする著者は、「現代技術は、技術が自然のバランス維持機構そのものを破壊する形で成り立つように」なり、「破壊されても元どおりに戻る力を、もはや自然はもっていない」と焦慮しつつ、「確率論的安全評価」の、その先を見据えようとしている。
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推薦理由: 環境倫理学が専門の哲学者である著者が、東日本大震災による福島原発事故について、技術や体制など様々な問題点を考えてその原因を追求している。安全をどう捉えるか、事故と責任についてどう考えるかなどが論じられており、原子力発電の問題について色々な視点で考えることができる。 ...
推薦理由: 環境倫理学が専門の哲学者である著者が、東日本大震災による福島原発事故について、技術や体制など様々な問題点を考えてその原因を追求している。安全をどう捉えるか、事故と責任についてどう考えるかなどが論じられており、原子力発電の問題について色々な視点で考えることができる。 内容の紹介、感想など: 福島第1原発の事故はなぜ起きたのか。事故直後に繰り返し発言された「想定外」とはどういうことか。 日本の原子力関係者、電力会社、行政機関、研究者などは、「事故が起きる確率はゼロではないが非常に小さくなるように設計されているので、日本では大きな原発事故は起こらない」と予測していた。この「確率論的安全評価」の考え方は、安全対策のコストをなるべく低く抑えるため、小さなリスクのために多くの安全対策をとるべきではないとする危険な傾向がある。この考えに従えば、数百年1度の地震、起こる確率の低い大事故などは「想定外」ということになるだろう。 原発事故のような過度の損害を与える「異常な危険」には無過失責任(故意や過失が無くても責任を問われる)を適用するという法律論で、事実上リスクゼロにするように要求されているにもかかわらず、原子力発電所の安全の設計原理には確率論に基づく概念が使われている。この点が、福島原発事故の制度的な原因であると著者は述べている。 著者は、原子力発電のコスト問題、安全性評価への疑問、原子力ムラの異常な体質、国家と原子力の関係、情報の操作や隠蔽などのコミュニケーションの問題などについてどのように考えるかを、哲学者の立場から提示している。そして、原子工学と確率論、刑法過失論、地震学などの異なる学問分野の間の関係を繋ぎ、社会生活にとって重要な問題について理性的な国民の合意形成が行われる条件を追求するのが、現代における哲学の使命だと述べる。最終章「復興の倫理」の、「東日本大震災が、まず困っている人、弱い人を無条件に助けるという原則を日本人の中にもっと強く根付かせる結果になってほしいと思う」という著者の言葉が印象的である。 著者の意見を参考に、福島第1原発事故がどのような社会構造によるものなのか、これからの日本はどうするべきなのかを考えてみて欲しい。
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