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夜を希う 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2011/10/11 |
JAN | 9784488117030 |
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商品レビュー
3.5
3件のお客様レビュー
著者はマイクル・コリータ。コナリーじゃなくてコリータだ。しかし、マイケル・コナリーをして"Koryta is one of the best of the best, plain and simple."「早熟の天才」と言わしめる。 本書はあの『Child44...
著者はマイクル・コリータ。コナリーじゃなくてコリータだ。しかし、マイケル・コナリーをして"Koryta is one of the best of the best, plain and simple."「早熟の天才」と言わしめる。 本書はあの『Child44』のトム・ロブ・スミスを押しのけて、2008年度の Los Angeles Times Book Prizeのミステリ部門を受賞している。 主人公はフランク・テンプルⅢ世。彼の祖父は勲章を与えられた朝鮮戦争の英雄で、彼の父親はその名を引き継いだ。名誉ある名前は父親から息子へまたその孫へと引き継がれた。しかし、フランクの父は殺人者として名を馳せることになる。 事件から7年、父の友人エズラから「デヴィンが戻ってくる」というメッセージを受け取る。デヴィンは自らの取引のために父親を警察に売り、自殺に追い込んだ男だった。フランクはかつてエズラとある約束をしていた。父親を売った男、デヴィンがマイアミにいる限りは寿命を全うさせてやるが、ザ・ウィローに戻ってくることは許さない、と。 そして今、フランクは復讐心をたぎらせてウィスコンシン州のウィロー・フローウィッジ、通称ザ・ウィローに向かってジープを走らせる。しかし、途中で車の追突事故を起こしてしまう。 事故の相手は挙動不審な男で、車はフロリダナンバーのレクサス。警察を呼ぶのを頑なに拒み、自分は被害者だというのにフランクの車の修理代までも自分が出すと言い出す。その男は保険もクレジットカードも使いたがらず、明らかに身元を隠したがっており、さらに謎めいた美女とともに湖畔にあるデヴィンのキャビンに滞在していた。 彼らは何者なのか? デヴィンとの関係は? この本はハードボイルドミステリというカテゴリに入るんだろうけれど、ミステリの部分は実はそう大したことはない。ストーリー自体は割とシンプルだ。 ねじれているのは登場人物それぞれが心にかかえている問題だろう。フランクの抱えるもつれた感情が融解していくのが本書の見所だろうと思う。キャッチは「復讐と癒しの物語」とあるが、なるほど雪がゆっくりととけていくような物語である。ほどけていくのはフランクの感情だけではない。修理工場の女店主ノーラも、エズラもそうである。 「それが過去の自分になるまで新しい自分を詰めこみ、よりよい自分が現れるまで過去をじわじわと消していけば、人はなりたいものになれる」という言葉は心に響く。 私は何度もこの物語を「しみじみ」と表現したけれど、ハードボイルドの部分もしっかりとある。 フランクはそのままCIAに入れるほど強く、アクションシーンにも見応えがある。特に後半数十ページはかなりスリリング。ラストもよい。 http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-159.html
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この作家のデビュー作「さよならを告げた夜」を偶然、読んでいた。早川書房からハードカバーで出ていた。私立探偵ものだったと記憶している。 その後、日本での紹介は途絶えていたが、本国では順調に作家活動を続けていたらしい。この本は、ノンシリーズとして出た第四作。 父を裏切った男を殺すため...
この作家のデビュー作「さよならを告げた夜」を偶然、読んでいた。早川書房からハードカバーで出ていた。私立探偵ものだったと記憶している。 その後、日本での紹介は途絶えていたが、本国では順調に作家活動を続けていたらしい。この本は、ノンシリーズとして出た第四作。 父を裏切った男を殺すために、フローウイッジヘ向かうフランク。その途中で、思わぬ交通事故に巻き込まれる。これが、すべての発端だった。 面白いはずなのに、ページをめくるスピードがなかなか上がらなかった。
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祖父は第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦で活躍した英雄。亡き父はベトナム戦争中、特殊部隊で活躍。しかし尊敬していた父は闇の仕事に手を染め自殺した。自殺に追いやった者への復讐だけを糧に生きている主人公。父が戦友と交わした約束が息子を想い出の地ウィロー・フローリッジに呼び寄せ、こ...
祖父は第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦で活躍した英雄。亡き父はベトナム戦争中、特殊部隊で活躍。しかし尊敬していた父は闇の仕事に手を染め自殺した。自殺に追いやった者への復讐だけを糧に生きている主人公。父が戦友と交わした約束が息子を想い出の地ウィロー・フローリッジに呼び寄せ、ここに血の贖罪が始まる。 途中で読むのを止めることが難しい。さして激しいシーンがあるわけでもないが、キーとなる登場人物たちそれぞれが美しい湖の湖底に沈む醜く枯れた樫のように、拭えぬ罪を沈殿させ、ラストの贖罪へとつながる語り口は思いのほか静かだった。カタルシスではなく、ウィロー・フローリッジの湖面のように心が静かに波打つ読後感。
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