慈雨の音 流転の海 第六部

宮本輝【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2011/08/31
• JAN: 9784103325154

商品レビュー

2024/11/07

感想
モータープールも軌道に乗ったが、期限付きということでまだ熊吾たちが安定を得るにはもうひと頑張り必要そう。

犬のムクの妊娠騒動など、熊吾たちの生活が落ち着いてきた象徴として見られる。

出鱈目でも熊吾は、こうしにゃいけん！と断言する生き方が好感が持てる。

あらすじ
時代は、皇太子の婚礼や東京オリンピックが騒がれる、1950年の終わりの頃だった。

伸仁は私立小学校に入り、中学生になった。城崎の浦辺ヨネが亡くなり、麻衣子では93歳の婆ちゃんとヨネの5歳の子供の世話をしながら、小料理屋は出来ないとのことで、丸山夫婦が子供の正澄を引き取ることになった。

ヨネの遺言通り、お骨を余部鉄橋から散骨する。熊吾はまた中古車業のエアー・ブローカーを始める。城崎でムメばあちゃんが亡くなり、犬のムクは6匹の子を産んだ。

伸仁は落ちてきた天井で鎖骨を痛めたり、花火で失明しそうになったり、相変わらず怪我などしたが、順調に成長していた。

海老原太一が衆議院選挙に出ることになった。熊吾は井草から預かった名刺を、たまたま会った観音寺のケンに渡していた。

その後、何が原因か分からないが、海老原は自殺する。また、熊吾に目をかけていた亀井も胃がんとなり、余命いくばくもない。そんな中熊吾は中古車のハゴロモを始める。熊吾たち一家は何処へ向かうのか。

2019/01/31

中心は駐車場の管理人として日々で比較的安定している。ヨネの散骨などエピソード的な内容が多い。少しマンネリ気味かと思ったが、こうした日常こそがこの話の面白いところかもしれない。あまりにリアルで、読み終わったら流転の海ロスになりそう。房江が熊吾に電話したら、まちがえて算盤を落としてしまって、計算がすむまで電話してくるなと怒ったりするようなエピソードが面白い。

2019/01/20

第5部「花の回廊」を読んだのは記録によると 2008年3月。つまり4年以上前なのか。
設定とかすっかり忘れてたけど、読んでいるうちに思い出したりして、最終的にはだいたい思い出した感じ。

急展開、はしないタイプの小説で、落ち着いて読めました。