清水アリカ全集

清水アリカ【著】, 清水アリカ全集編集委員会【編】

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2011/08/26
• JAN: 9784309020624

商品レビュー

2014/01/28

砕け散る腐肉と飛沫をあげる血の錆びた匂い。でもどこかに限りなく澄み切った空気が混じってる。錆びた金属の軋むノイズ。植物を腐らせてだぼだぼと飲み込むような心地。蒸留された言葉の渦に奇声が混じる

2011/10/09

この本を見つけるまで、清水アリカが去年の９月４日に亡くなっているなんて全然知りませんでした。まだ46歳だったそうです。

私は、すばる文学賞を受賞したデビュー作『革命のためのサウンドトラック』と、ウィリアム・Ｓ・バロウズの翻訳『トルネイド・アレイ』しか読んでいませんが、とても印象深く余韻を残して、ジワリジワリと拡がりつつある気持ちのいい音と感覚と色の織りなすカタルシスあるいはエクスタシーといっていいかもしれませんが、何かこう、とてつもない、世界でまだ誰もやったことがないことを表現してやろうじゃないか、という強い意志とか孤高の渇望のようなものを感じて読んでいました。

この、全小説と創作ノートが収められた全一巻の全集は、鎮魂とか墓標という意味ではなく、彼の成しえた表現の再認識・再確認とともに、書かれざる第５作・第６作を夢想するために、ここしばらくは私のそばを離れないにちがいありません。