商品レビュー
3.8
36件のお客様レビュー
- ネタバレ
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生きることは物語ることで救われる、、、これが彼女を支えてきた。 私(シルバー)はスコットランの北ソルツの崖に斜めに突き刺さった家で生まれた。なにもかも傾いていて、母親と綱で結び合っていた。 しかし母が、滑って崖から落ちて、(繋いでいた綱を切り)独りで死んだのでシルバーは生き残り孤児になってしまった。 養父は、1802年に建設が始まり1828年に完成した灯台に住んでいる灯台守(ピユー)だった。 光が仕事なのに、わたしたちの暮らしは闇の中だった。光はけっして絶やしてはならなかったけれど、それ以外のものを照らす必要はなかった。あらゆるものに闇がつきまとっていた。時化帽をかぶれば、つばが顔に黒い陰をおとした。ピユーがありあわせのトタンでこしらえてくれた小さな風呂場で、わたしは闇に中で立ったまま体を洗った。引き出しの中に手を入れれば、スプーンよりも先に指に触れるものは闇だった。<強力サムソン>の入った紅茶を取ろうと戸棚を開ければ、茶葉よりも黒々とした穴が口を開けた。 シンボリックな一節だ。 こうして、ピューから聞かされる昔語りは、灯台の歴史であったり、それを作ったダーク一族の100年にわたる物語だっりした。 灯台は要らなくなって火が消えた。 ピューに別れを告げて20年後、シルバーはまた灯台を訪れた。 ストーリーは、灯台の日常、ピューが話すダークの奇怪な生活のことなどが重なり合い、灯台で暮らしていた間シルバーは言葉の中に現れる海に漂っていた。 さまざまな巧みに挿入されたエピソードも興味深い。 実に奇妙な構成の物語だが、それぞれが齟齬なく重なり合い複合した中から、シルバーの強靭で孤独な生き方が見える。 作者も孤児で各所を転々として育ったそうだ、ハーバードに入り、物語を書いた。 生きることは物語ることで救われる、、、これが彼女を支えてきた。
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エッセイがとても愉快な岸本佐知子さん。海外翻訳小説は、ルシア・ベルリンに次いで2冊目です。スコットランド北部のさびれた港町ソルツの先端ケープ・ラスの灯台を舞台にした、「物語ること」が主軸となる壮大な話でした。 灯台で暮らす盲目の老灯台守と、孤児で灯台守見習いとして引き取られ...
エッセイがとても愉快な岸本佐知子さん。海外翻訳小説は、ルシア・ベルリンに次いで2冊目です。スコットランド北部のさびれた港町ソルツの先端ケープ・ラスの灯台を舞台にした、「物語ること」が主軸となる壮大な話でした。 灯台で暮らす盲目の老灯台守と、孤児で灯台守見習いとして引き取られた少女。かつて灯台守と船乗りが互いに物語を伝え合い、どんな灯台にも物語があったという。灯台守は夜毎、百年前にこの地に生きた牧師の人生を語り、少女は聴くことが灯台守修行の日課となります。 灯台の無人化計画が進み、灯台守と少女は離ればなれとなり、少女は再び孤独の身で旅に出ます。灯台守の教えを生かし(引き継ぎ)、灯台の代わりの支えを求め、自分を物語るようになります。次第に過去の牧師と今の少女の魂が交差し、救いを与えてくれる物語でもありました。 灯台がもたらすイメージの豊かさがいいです。灯台は暗闇の中の確かな点であり、そこから放たれる光も、導き、報せ、慰め、戒めてくれる物語そのものなのだという…。岸本さんの邦訳も、灯台やそこの暮らしの情景が浮かび、潮の匂いまで伝わるような描写で秀逸でした。 これらの語り口の巧みさ、灯台守の語りと少女の語りに牧師の半生が共鳴する構成は見事です。しかしながら、作品全体は読みやすいのに、流れる空気感がやや哲学的な難解さで、とらえどころがない側面を感じました。それもまた、海であり人生なのかもしれません。読み手を選ぶ作品?
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登場人物・舞台は最小限にしつつ、二人の主人公の物語が平行に進んでいく、という構造で読みやすかった。お話としては『オレンジだけが果物じゃない』のほうが個人的には好み。 あと改めて岸本佐知子さんの訳者あとがきの凄さを思った。 “愛している(アイ・ラブ・ユー)。 この世でもっとも難し...
登場人物・舞台は最小限にしつつ、二人の主人公の物語が平行に進んでいく、という構造で読みやすかった。お話としては『オレンジだけが果物じゃない』のほうが個人的には好み。 あと改めて岸本佐知子さんの訳者あとがきの凄さを思った。 “愛している(アイ・ラブ・ユー)。 この世でもっとも難しい、三つの単語。 でも、他に何が言えるだろう?”
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