灯台守の話 の商品レビュー
まるでオリバー・ツィストな始まり。 世界文学に孤児ものは数あれど、最も有名なのは英国のディケンズでしょう。 この作品は、Englandではなく Scotlandを舞台にしています。 灯台というのはいろいろとロマンがありますね。人情もので言えば、the light between...
まるでオリバー・ツィストな始まり。 世界文学に孤児ものは数あれど、最も有名なのは英国のディケンズでしょう。 この作品は、Englandではなく Scotlandを舞台にしています。 灯台というのはいろいろとロマンがありますね。人情もので言えば、the light between oceansとか日本の「喜びの悲しみも幾年月」とか。ホラースリラーにもなってthe lighthouse とか。「光を灯す男たち」もthe lighthouseと着想元が同じと思われる実話ベーススリラーでしたね。 そこへ来てこの作品は、ちょっと毛色が違う。先のように孤児ものの英国小説の伝統のあるような具合でかつマルケス的な魔術的リアリズムも感じられる。灯台ものも幅を広げた作品だとも言えるのかな。
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孤児となった少女シルバーが、盲目の灯台守の老人に引き取られて見習い修行する中で、数々の物語を聞きながら成長し、旅立って真実の愛を探す話。 盲目の老灯台守ピューは、灯台を管理して船乗りを導くように、シルバーの人生の灯台であり続けたと思う。 シルバーがピューに再会する場面では、まるで...
孤児となった少女シルバーが、盲目の灯台守の老人に引き取られて見習い修行する中で、数々の物語を聞きながら成長し、旅立って真実の愛を探す話。 盲目の老灯台守ピューは、灯台を管理して船乗りを導くように、シルバーの人生の灯台であり続けたと思う。 シルバーがピューに再会する場面では、まるで自分が離れ離れの肉親に会ったかのように目頭が熱くなった。それも、シルバーが1人で旅していく中で色々な艱難辛苦を超えてきたからこその安心感、感極まり感なのだと思う。 私もピューに会って物語を聞いてみたい。
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なんともいえない不思議な雰囲気のお話です。 いつまでも読んでいたくなりました。 スコットランドのケープ・ラスにある灯台が舞台。 ソルツという地名は創作のようですね。 実在する地名が出てくるのに摩訶不思議な童話の中に迷い込んだような気分になりました。 この世界に行きたいなぁと思っ...
なんともいえない不思議な雰囲気のお話です。 いつまでも読んでいたくなりました。 スコットランドのケープ・ラスにある灯台が舞台。 ソルツという地名は創作のようですね。 実在する地名が出てくるのに摩訶不思議な童話の中に迷い込んだような気分になりました。 この世界に行きたいなぁと思ってしまう。 灯台の闇の表現がすごかった。 子供向けの本なのかなと思っていたらベッドシーンが普通に出てきてびっくり。 御伽話みたいな語りなのにシルバーの境遇も、周りの反応もダークの不倫の転末も世知辛くてリアル。 バベル・ダークとシルバー。同じように孤独を抱えているけれど対照的なラストを迎えます。 「折れた手脚や穴のあいた頭蓋骨は見つかるのに、心の痕跡はどこにもない。もっと深く掘ることだ。時の層に埋もれていても、現在と同じくらい真実の物語が、そこにはきっとあるから。」のところでなぜか泣いてしまいました。
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実際に読んだのはハードカバーのほうだけど、ブクログに見当たらないので白水Uブックスで登録しました。 海外文学好きな方の愛読書らしいので手に取る。 岸田さんの日本語好きだし。 読み始めてすぐ、前半は設定や文章がかっこよくて楽しめた。 灯台守の話って、絵本やら風車小屋だよりのワン...
実際に読んだのはハードカバーのほうだけど、ブクログに見当たらないので白水Uブックスで登録しました。 海外文学好きな方の愛読書らしいので手に取る。 岸田さんの日本語好きだし。 読み始めてすぐ、前半は設定や文章がかっこよくて楽しめた。 灯台守の話って、絵本やら風車小屋だよりのワンシーンにしかないから、読んでみたいなあと思っていたから、灯台守の生活が面白かった。 もっとそこを細かく書いてほしい。 スティーブンソンが第2のテーマかと思いきや、途中からアーサー王ネタが出てきた。 嬉しいけど、ちょっと内容が散ってしまったかんじ。 後半にいくと、私が読み飛ばしたかと心配になるほど、話がバラバラになっていく。 うん、まあ…、嫌いではないけど、ちょっと分かりにくかった。 以下は一番ステキだと思った箇所の引用。 (※めちゃ長いです。写真→コピー機能は便利ですね。) 孤児になった主人公の少女と盲目の老人ピューの灯台守の生活シーン。 訳者をして、ずっとここを訳していたいと思わせたらしい箇所。 p28 光が仕事なのに、わたしたちの暮らしは闇の中だった。光はけっして絶やしてはならなかったけれど、それ以外のものを照らす必要はなかった。あらゆるものに闇がつきまとっていた。闇は基本だった。わたしの服は闇で縁かがりされた。時化帽をかぶれば、つばが顔に黒い陰をおとした。ピューがありあわせのトタンでこしらえてくれた小さな風呂場で、わたしは闇の中で立ったまま体を洗った。 引き出しの中に手を入れれば、スプーンよりもまず先に指に触れるものは闇だった。〈怪力サムソン>の入った紅茶街を取ろうと戸棚を開ければ、茶葉よりも黒々とした穴が口をあけた。 腰をおろすにも、いもいち闇を追い払ったり押しのけてから座った。闇は椅子の上にうずくまり、階段の途中にカーテンのように垂れさがった。時にはわたしたちが欲しいものの形に姿を変えた─鍋、ベッド、本。母さんが、黒く、声もなく、わたしのうえに舞いおりてくることもあった。 闇はひとつの実体だった。わたしはしだいに闇の中を見、闇を透かして見、自分の中にある闇が見えるようになった。 ピューは何も言わなかった。いい人なのかそうでないのかも、わたしをどうするつもりなのかもわからなかった。かれはずっと一人で暮らしてきた。 その最初の夜、ピューは闇の中でソーセージを焼いた。いやそうじゃない、闇といっしょにソーセージを焼いた。その闇には味があった。それがその夜の食事だった。ソーセージと、闇と。 わたしは寒くて疲れて首が痛かった。うんと眠って眠って、二度と目を覚まさなければいいと思った。知っていたわずかなものさえ失くして、ここにあるのは他の誰かのものばかりだった。わたしの中のものがわたしのものなら、それでも平気だったかもしれない。でも、そこには錨をおろす場所がなかった。 二つの大西洋があった。一つは灯台の外に、一つはわたしの中に。 わたしの中の海に、わたしを導いてくれる光の列はなかった。 …と、このテンションでずっと続いたら良かったのだが。小ダークの奥さんへのDVシーンが嫌すぎる。ふう。
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灯台がずっと気になっている。海に行けばポツンと立っているけれど、荒れた日にもしっかりしているししばしじっと見てしまいます。世の中には同じような人がいて、フリーペーパーまで発行している。「灯台どうだい?」https://toudaifreepaper.jimdofree.com/ ...
灯台がずっと気になっている。海に行けばポツンと立っているけれど、荒れた日にもしっかりしているししばしじっと見てしまいます。世の中には同じような人がいて、フリーペーパーまで発行している。「灯台どうだい?」https://toudaifreepaper.jimdofree.com/ そんな流れでこの本もずっと手元にあったのですが、海が恋しくなって読んでみる。思っていたのと、内容は全く違う「文学」でした。しかもちょっと苦手なタイプの。たくさんの寓意が込められているのは理解できるのですが、その象徴とるのものの描き方が自分の許容をこえているというか。崖に文字通り斜めに突き立った家に命綱をつけながら住んでいて、母親は転落ししてしまった・・・の冒頭でひっかかってしまってなかなか胸に響かない。目覚めたら一匹の虫になっていた不条理は受け入れられるのに。ダーウィンもでてくるのですが、2004年の作品でありながら自然淘汰のとらえ方も間違ってるし。ちょっと鼻につく表現が合わないのかな?この自分の受け皿の限界がどの辺にあるのか謎。ばかばかしいSFとかは楽しめるのになぁ。 孤児にしてカルト的な教会の説教師にまでなってあげくに追放という経歴をもつ著者自身に興味がわいた。自伝的要素をもつ「オレンジだけが果物じゃない」のほうが面白そうだし、なにより純粋に灯台を深堀りしたほうが楽しそうだ。
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この物語を知る前から灯台に対する関心が強くあり、 将来は灯台守になりたいとさえ思っていた。 日本各地の灯台へ足を運んで、 実際に内部まで登ってフルネルレンズを 間近で見たことがあったので、ピューとシルバーが 闇と共にウィンナーを食べていた情景や、 船と鳥と眼下に広がる青い海が目...
この物語を知る前から灯台に対する関心が強くあり、 将来は灯台守になりたいとさえ思っていた。 日本各地の灯台へ足を運んで、 実際に内部まで登ってフルネルレンズを 間近で見たことがあったので、ピューとシルバーが 闇と共にウィンナーを食べていた情景や、 船と鳥と眼下に広がる青い海が目に浮かんで、 読んでいてとても楽しかった。 灯台守の仕事は真に孤独で闇の中にあって、 途方もなく同じ仕事"光の世話"が続くだけに思えるが、 灯台の一つ一つには語られる物語があり、 地図のなかった時代の船人は皆、岬にある灯台の場所を 物語で覚えていたと言う話がすごく素敵だった。 灯台を舞台とした愛と人生の物語。 すでに現代では、海保が管理し無人と化した灯台に 灯台守の居場所はどこにもない。 でも、ピューや、シルバーにとって灯台が 物語であったように、これから私は私だけの 灯台を探していきたい。 それは夜の海を一条の光で照らして 陸地の位置を知らせる、美しく頼もしく、 人を導くもの。確固として揺るぎないもの。 人々が見るために外界を明るく照らしながら、 自らのうちには闇を宿すもの。 暗い記憶の海を照らし出すもの。 そして命を救うもの。
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比喩が洒落ていてロマンチックな雰囲気の文章が、くすぐったかった。 物語ることへの厚い信仰心と、並んで大きなテーマとなっていそうな「愛」、それぞれ独立して見えて、ほどけた感じのまま読了。 ダークだって自分の人生の異邦人となり(これは語り手姿勢に近いのでは)いちどはスティーヴンソンやピューや自分に、語っていたのだけどなぁ。さいごの幻想的な彼の物語は、救いだったのかしら。
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書評ブログ『ボヘミアの海岸線』で星5のお気に入り作品に選ばれていたのをみた日からずっと読みたくて、5年間ほど積んでいたのをようやく読んだ。 ……好みじゃなかった!笑 単線的でない重層的な語りの構成や、〈物語(ること)〉礼賛というテーマなど、ありきたりなポストモダン現代文学の優等生って感じ。 バベル・ダークの二重生活不倫痴話も退屈。 灯台や物語を愛する私たち、を自己陶酔的に愛撫するような姿勢も気に入らない。 作中で、人間的な機微が分からない”嫌なひと” として造形されているミス・ピンチが結局いちばん好きだった。 ラストには驚いた。徹底してミス・ピンチを「嫌なひと」として描いておいて、最後の最後で哀れな境遇だったことを明かして、その「嫌な性格・振る舞い」に同情的な理由付けをする。馬鹿にしすぎだろ。登場人物を。そして読者を。 要するに、本作は「わたし」(シルバー)やピュー、ダークらの主人公サイドの人物にはすこぶる甘くて優しくて、そんな自分たちを肯定するための踏み台として、ミス・ピンチのようなサブキャラを配置している、という残酷な構造をとっている。それが自分にはどうも受け入れがたい。 でも、皮肉なことに、けっきょくいちばん魅力的なのは、そんな「嫌な奴」であるミス・ピンチと「わたし」が触れ合って言い合っている場面である。上の引用の直後に「わたし」が思い出すのが「カモ丸ごと一羽の羽根ぶとん」をかぶって眠ろうとした夜であるのが象徴的だ。 振り返れば、最初のほうが(まだ)いちばん面白くて、どんどんつまらなくなっていったというか、苦手な作品姿勢が次第にあらわになってきて落胆していった。 冒頭の、崖っぷちに建つナナメの家でお母さんと暮らしている描写や、ミス・ピンチの家で一夜を明かし、ピューに引き取られた直後くらいが面白さのピーク。「二人のダーク」の挿話もぜんぜん面白くない。スティーブンスン『ジキル博士とハイド氏』やダーウィン『種の起源』への言及/活用なども、作品に雑に深みを出そうとしてるな〜という小手先感が……。
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盲目の灯台守ピューが、孤児になった少女シルバーを引き取り、灯台守の見習いにする。2人は物語を語り合い、闇にまみれた灯台での生活を重ねる。 とても不思議な本だった。翻訳物は難しい。岸本佐知子さんの訳はとても自然で美しかった。それでも、あまり内容を掴みきれなかった。でも、惹かれ続け...
盲目の灯台守ピューが、孤児になった少女シルバーを引き取り、灯台守の見習いにする。2人は物語を語り合い、闇にまみれた灯台での生活を重ねる。 とても不思議な本だった。翻訳物は難しい。岸本佐知子さんの訳はとても自然で美しかった。それでも、あまり内容を掴みきれなかった。でも、惹かれ続けて読むのをやめられない。そんな本だった。 またいつか読み直したいと思う。 …どんな辛い経験をした人でも、恋をして人生が輝き、美しい時間がある。 アイ ラブ ユー この世で最も難しい三つの単語、 「で、その誰かさんに、お前さんは私わしが言ったとおりのこと言ったかい?」 「もしも誰かを愛したら、そのとおりに言うこと」 「ああ、そうだ」 「ピューに言われたとおりにしたわ」 「そうか、うん。それでいい」 「愛してるよ、ピュー」 「うん、何だね?」 「愛してる」 〈物語ること〉で人は救われる、と、作者ウィンターソンは言っている。「自分を物語のように話せば、それもそんなに悪いことじゃなくなる」という台詞があった。確かにそうかも…と自分にも思い当たる経験がある。辛い思いをしている人に、その経験から抜け出せない人に、物語ることの不思議さを体験して欲しい。
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灯台守の不思議なお話。 主人公とピューの関係性が温かく心地よい。 岸本さんの翻訳が素敵でずっと物語を読んでいたくなった。
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