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喪の作業 夫の死の意味を求めて
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喪の作業 夫の死の意味を求めて

半田たつ子(著者)

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喪の作業 夫の死の意味を求めて

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 地方小出版流通センター
発売年月日 1992/06/01
JAN 9784900542150

喪の作業 夫の死の意味を求めて

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2014/05/31

本棚をあちこち片づけていて、久しぶりにこの本を読む。母が死んだあとに読んだものなので、もう10年以上ぶりか。うっすらとおぼえている箇所もあるし、まるでおぼえていない部分もあって、そのことに過ぎた年月を感じた。 半田さんの夫は、体調の異変から2月に会社を休んで病院にかかり、それ...

本棚をあちこち片づけていて、久しぶりにこの本を読む。母が死んだあとに読んだものなので、もう10年以上ぶりか。うっすらとおぼえている箇所もあるし、まるでおぼえていない部分もあって、そのことに過ぎた年月を感じた。 半田さんの夫は、体調の異変から2月に会社を休んで病院にかかり、それからあっという間に容態がわるくなって、その年の9月末に亡くなられた。1990年のこと。 この本は、半田さんが夫の死を「社会化」しようと、入院時の日誌から看取りの日々を明らかにし、その後のご自身のグリーフワーク(癒しの作業)を綴り、末尾に夫亡きあとに受け取ったさまざまな人からの手紙のうち掲載を許されたものを収めている。 今回読んでいて私が気持ちをひかれたのは、半田さんの夫が転院して最期まで過ごした東京衛生病院で、看護婦さんや看護実習の学生さんに接した半田さんが「素敵な看護婦さんを育てた学校をいつの日か訪ねたい」と、夫を見送って1年の後に、その学校を訪れた場面。 その三育短期大学のキャンパスは、千葉県大多喜町の高台に、夷隅川の清流を見おろす広大なものだという。知育・徳育・体育の三育をうたい、「体育とはスポーツの記録を競うことではなくて、汗を流し、労することによって体を鍛えることを意味しているそうだ」(p.80)。 半田さんが、長窪専三学長の言葉を引いている。 ▼「知・徳・体の調和ある発達─全人教育を行うためには、広々としたキャンパスやきちんと整った学寮が絶対に必要です。全人教育は教室・図書館・運動場だけでは不十分なのです。衣食住─毎日の生活の諸領域を含む生活教育・人生教育のためには、学寮における生活を教育の柱とし、広々とした自然に触れ、自然のなかで生活することによって人間性を涵養することが大切なのです。三育学院は学問の場であるばかりでなく、同時に青年男女の人間形成の場でもあります」。(p.83) そして、夫が病み、死を迎えたちょうど同じ頃に審議を続けていた「脳死臨調」に、半田さんが「全くの素人の感覚で」(p.92)関心を寄せ、思い考えたことを書いた箇所にも興味をもった。 1991年8月9日に開かれた「臨時脳死及び臓器移植調査会」の関東地区公聴会に申し込んで参加した半田さんは、そのもようを綴る。 ▼会場の入口には"全国「精神病」者集団"の人々が必死の面持ちで、"我々に「生命の尊厳」はない"という声明を参加者に手渡し、強い抗議をしていた。(p.97) 半田さんは他の参加者の意見をいくつか書きとめて「ウーン、と考えこんでしまった」と書き、92年1月に脳死臨調がまとめた最終答申(脳死・臓器移植を容認するもの)に対して、日弁連が「いまだ合意は成立しておらず、さらなる論議が必要」と批判したことや、「脳という一つの臓器を他の臓器より重視する考えは、やがて無脳児や植物状態の患者をも死とする危険性をはらんでいる」という意見書を紹介している。 久しぶりに読んで、半田さんが「あとがき」に書いている野田正彰の『喪の途上にて』を、母の死後に私も買ったことを思い出す。買ったものの、ほとんど読めないままにずっと本棚の上に置いていた本を、そろそろ読んでみようかと思った。 半田たつ子さんは、現在の『We』誌の前身にあたる『新しい家庭科―We』を創刊し、10年出した人。 (5/26了) *三育短期大学の看護学科は、その後、三育学院大学看護学部となっている。  http://www.saniku.ac.jp/ *全国「精神病」者集団 (※全国の「精神病」者個人、団体の連合体)  http://www.jngmdp.org/ *「脳死及び臓器移植に関する諸問題についての答申について」(日弁連、1992年1月22日)  http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/1992/1992_1.html

Posted by ブクログ

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