聖アンセルム923号室 ハヤカワ・ミステリ506

コーネル・ウールリッチ(著者), 宇野利泰(著者)

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 1983/06/01
• JAN: 9784150005061

商品レビュー

2022/04/25

ニューヨークの「聖アンセルムホテル」の開業から廃業まで、923号室の泊まり客の姿を映す。

２つの大戦をはさみ映し出される人生の一こま。悲劇か幸せか。特に第一次大戦の出征前に泊まった高揚した恋人たちは、戦争が終わったら同じこの部屋でまた会おうと約束する。その約束は果たされるのだが、二人の見ている世界は違っていた・・　皮肉をこめたウールリッチの視線が痛い。

1896年6月20日の夜　開業 　新婚旅行に車に缶をつけならがやってきた夫婦。妻がネグリジェに着替える間外に出ていた夫は・・

1917年4月6日の夜　第一次世界大戦に出征しようという若い男。好きだった女性を呼び出しホテルに部屋をとる。

1918年11月11日の夜　さあ、戦争は終わった。戦争が終わったら、またこのホテルのこの部屋で会おうと約束して、幸福にもそれは果たされたのだが・・

1924年2月17日の夜　ギャングと女達の夜

1929年10月24日の夜　ジョン・スミスはある決意をしてやってきたが・・

・・・の夜。真珠湾攻撃前夜　ケンという男と結婚しようとするアメリカの女。日系の設定。日本では当時は結婚は家と家のもの、と描かれている。そういうことを知っていたのか。

1957年9月30日の夜　最後の夜　最初の泊まり客がやってきて幕は閉じる。

1958発表
1959.9.15発行　図書館