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暗い鏡の中に 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2011/06/22 |
JAN | 9784488168070 |
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暗い鏡の中に
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商品レビュー
3.7
30件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
精神科医ウィリング8作目。 今回は、前にも登場したウィリングの恋人ギゼラが勤める女子寄宿学校に、 他の先生のドッペルゲンガーが現れるお話。 その先生が前に勤めていた学校の生徒が、 今は同僚になっていると判った時点で、 心霊現象ではないと見切るべきだった。 殺されてしまったその同僚の元恋人が、 「貴族的」な柳腰のほっそりとした体形だと書いてあることに 気がついていたのに。 ウィリングがどさくさまぎれに、プロポーズして、 イエスという返事がもらえて良かった。 印象的だったのは、来客に煩わされないために、 朝の6時から7時の間だけ、 来るものを拒まず面会する弁護士。 共同経営者や秘書がいるからできる技ではあるが、 なかなかユニークで面白かった。
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理由も告げられず、突然女子校の教師をクビになってしまったフォスティーナ。彼女の友人ギゼラから相談を受けた心理学者のベイジル・ウィリングが校長に解雇の理由を問いただすと、フォスティーナは不可解な怪奇現象の元凶として気味悪く思われているとわかる。そんな折、学校で開かれたパーティーでフォスティーナたちの同僚であるアリスが転落死してしまう。だが、アリスを突き落としたのはそこにいないはずのフォスティーナだと証言する目撃者がいて……。 怪奇現象VS現代科学。怪奇小説と呼ぶには伏線が見事に回収されるし、推理小説と呼ぶにはホラー色の強い両義的な作品。ドッペルゲンガーの扱いと読後にモヤモヤが残る感触に遠藤周作の『スキャンダル』を思い出したり。いや、あっちとは比べものにならないくらいちゃんとトリックでミステリー的な回収もしてくれるけど。(でもゴム底靴の消音効果に期待しすぎじゃない?) この小説が幻想怪奇方面で評価されている理由はよくわかった。開幕のフォスティーナ視点の解雇シーンから秘密が隠された不穏な空気に満ち満ちており、庭で絵を描くフォスティーナを見て女生徒が失神する一連のシーンで幻想味が頂点に達する。しかし学校を追い出されたフォスティーナはその後存在感を失ってしまい、次に実体がでてきたときには死んでいる。ベイジルが調査を進めるうち、フォスティーナに代わって主役の顔を見せはじめるのは、大昔に亡くなった彼女の母ローザ・ダイヤモンドである。 人生の主役は自分だ、と思えたことがない女性の心理が現実世界に影響を及ぼす。そこに特権的な傍観者として心理学者が関わる。この構図はシャーリィ・ジャクスン『丘の屋敷』と同じであり、自身の介入が暴力であることに気づかぬベイジルの視点で幕を閉じる分、本書のほうがより残酷と言える。マクロイはその点に気づいていて、科学では届かない場所を示唆して物語を終えたのかもしれない。
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幻想小説かつミステリを絶妙に混ぜ合わせた作品。不気味な怪現象と、論理的な推理、しかししこりの残る終幕…とてもおもしろかった。
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