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大きなハードルと小さなハードル 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2011/06/06 |
JAN | 9784309410845 |
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商品レビュー
4.2
9件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
解説より みなが前がかりになっているときに、下を向くだけでなく後ろを向かなければならない自分を、あるいは、流れに逆らって後戻りしなければならない自分を見据えてみた者の焦りや怒りが、文章単位では明るく小気味のいいリズムのなかから、ふつふつとわき出してくる。 まさに、わたしが感じていた佐藤泰志の小説でした。 最初に読んだ佐藤泰志の小説は「美しい夏」でした。 秀雄シリーズと言われるものの最初の作品だったんですね。 本著にはこの秀雄シリーズが時系列に収められており、その他、表題の他「夜、鳥たちが啼く」があります。 佐藤泰志は奇妙な三角関係、奇妙な疑似家族関係が良く出てくる設定なのでしょうか?あと、季節は夏が多いでしょうか? 秀雄シリーズ 85 私小説的な作品ということらしい。時系列に並べられていて、秀雄と光恵と陽子の変遷が垣間見えて面白い。41歳で妻と子供を残して自死してしまうという結末を知っているせいか、その緊張感が美しいと思ってしまう。 鬼ケ島 75 近親相姦と家族、障がい児、堕児、吐物、閉塞感と苛立ちがへばり付いているが、ビリヤード場の老婆の諦観の光が薄暗い闇の中に有るような、無いような 夜、鳥たちが啼く 85 独りがいい時もあるけど、やっぱり人恋しい時もある。閉塞感と苛立ちは解消されてはいないけど、前を向いて歩いていこうとふと思ってしまう。解説にもあったが、秀雄シリーズの一編目の緑色の光が、本作では花火に昇華しカタルシスを感じてしまう。 この作品順は絶妙!
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この時期に読めてよかった。暑すぎる夏にぴったりの作品集だ。 IIに収録されている「鬼ガ島」と「夜、鳥たちが啼く」がとても好き。どちらも最後が良かった。最後の良い小説は、読んでいてうんと元気が出る。
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”世間の眼などどうでもよかった。鳥は夜に眠り、啼かないものだ、と教えてくれる世間など。” 作品の空気感みたいなもので言えば、一番クセになっている著者。 今作も男女や家族の3つの短い物語から、カラッと晴れてはいないけど雨でもない、それでいてジトっとともしていないような、独特の空気...
”世間の眼などどうでもよかった。鳥は夜に眠り、啼かないものだ、と教えてくれる世間など。” 作品の空気感みたいなもので言えば、一番クセになっている著者。 今作も男女や家族の3つの短い物語から、カラッと晴れてはいないけど雨でもない、それでいてジトっとともしていないような、独特の空気を感じとれた。 どの作品も明るく朗らかって感じてはないし、早々特別なことがあるわけでもないけど、日常生活の些細な機微がきっかけとなり、微かなこれからへの希望を見出していた。 長い時間をかけて、この人の物語をできるだけ多く読んでいきたい。
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