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折口信夫天皇論集 講談社文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2011/05/12 |
JAN | 9784062901239 |
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折口信夫天皇論集
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どうもこの安藤礼二さんとやらいう編者の仕事が二流である。第一、題名が「天皇論集」となっているにも関わらず、天皇について論じた文章はほとんどなく、この本を読んでも折口信夫の「天皇」についての考えはあまりはっきりとはわからない。編者の解説は好き勝手なことを書いているが、この本に収めら...
どうもこの安藤礼二さんとやらいう編者の仕事が二流である。第一、題名が「天皇論集」となっているにも関わらず、天皇について論じた文章はほとんどなく、この本を読んでも折口信夫の「天皇」についての考えはあまりはっきりとはわからない。編者の解説は好き勝手なことを書いているが、この本に収められていない折口の文章をどんどん引き合いに出す。この人は結局、この「解説」を書きたかっただけなのではないだろうか。 さて、読み始めてみるといきなり「折口信夫って右翼なんじゃねーの?」という疑惑にとらわれる。天皇について言及するにあたっては紫式部並みに敬語を乱発するし、「神道」を日本人はもっと信仰しなくちゃいかん、と盛んに鼻息を荒げている。信仰が足りないから戦争にも負けたんだ、みたいなことも言っていて、やれやれという感じがした。 けれども、さすがに天皇の人間宣言のあとに書かれた文章だけあって、この「神道」は、どうやら必ずしも天皇絶対主義ということではなく、天皇=天子ではあるが、イコール神という考え方はしていないようだ。折口信夫は天照大神のような日本の神々を信仰せよ、と言いたいらしい。・・・もちろんこれは無理のあるイデオロギーで、戦後の時点でそんなこと言っても、不可能な話である。 そもそも折口が「日本人には宗教がない」というとき、それは西洋的な体系化された「宗教」の概念に他ならない。日本人にはそもそもこの型の宗教は存在しない。形而上学的思考は日本人にはマッチしないので、民俗的な・あるいは祖先供養的な習俗としての宗教しか根付かないのではないだろうか。そこへ無理矢理西洋式の「宗教」を、と言われてもどうなるわけでもない。 折口によると天皇は「ミコトモチ」、神のみことばを自身の内に預かる人間、つまり「預言者」というポジションであるらしい。だから天皇は神格ではないが、宗教装置としてはやはり特権的な存在になる。 まあ、さすがに折口信夫、そのへんの右翼のように馬鹿ではないが、右翼に利用されそうな思想である。 天皇論とはほとんど関係ないが、後半の「玉」や「他界」に関する民俗学的な論考はおもしろかった。 ただし「トーテミズム」が日本にもあった、とりわけアイヌや沖縄に、という指摘は間違っていると思う。日本には古代以降(有史以降)トーテミズムは存在しないと思う。沖縄のことはよくわからないが、アイヌについては確かに存在しない。熊などの動物を神格化したからといって、だからトーテミズムとまでは言えないはずだ。トーテミズムは動物等への信仰が、人間社会の諸氏族を区分する構造として、組織的に機能することである。折口信夫の認識はちがっていると思う。
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