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堀江敏幸【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2011/04/30
JAN 9784087713770

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商品レビュー

3.9

95件のお客様レビュー

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2023/02/25

赤ちゃんのいる暮らしそのものな物語だった。何が起こるわけじゃないけどみずみずしくて眩しさが満ちている日々。今思えばこんなに尊い日々はない。こうやって文章にしてもらうとそれをまざまざと感じる。赤ちゃんって神々しい。自分にも周りにも愛を生む。こうであってほしいけどね、世の中。

Posted by ブクログ

2022/08/28

この「なずな」というのは、主人公の弟の娘の名前
独身の40前後の男性主人公が、急にこの生まれて間もない姪の面倒をみなければならなくなります。

まず最初に、夜中の授乳やおむつ替えなどで睡眠不足になり、ボヤを起こすシーンから始まります。
赤ちゃんの食事は3時間に一度、夜でもやってき...

この「なずな」というのは、主人公の弟の娘の名前
独身の40前後の男性主人公が、急にこの生まれて間もない姪の面倒をみなければならなくなります。

まず最初に、夜中の授乳やおむつ替えなどで睡眠不足になり、ボヤを起こすシーンから始まります。
赤ちゃんの食事は3時間に一度、夜でもやってきますもんね。

そういう一人子育てを、近くの小児科医や、そこの娘(看護師)さんに助けてもらいながら、少しずつ主人公も変わっていく話です。ローカル日報紙記者としての地域の話もこまごまと出てきてそこも楽しめます。


弟の妻は、産後一ヶ月ほどで感染症かもしれない原因不明の病気になり入院。
弟はツアーコンダクターで海外で交通事故に遭い入院。
他の親戚にもみてもらえない諸々の事情があり、主人公のところにやってきた。

その時まだなずなは2ヶ月!
主人公は地方の、3日に一度発行する新聞に記事を書いていて、普段は出社し取材にでかけたりしていたところを、在宅ワークにしてもらい、赤ちゃんにミルクを定期的にあげながら、記事を書く仕事をしている。
最初は睡眠不足で疲労し、それでもだんだん子供の成長とともに楽になり、そして日々少しずつ確実に大きくなっていく赤ちゃんを、細かに表現しています。
ベビーカーで散歩に行くと近所の人と話すようになったり、ベビーカーとともに取材に行ったりもします。
新聞取材も少しずつ身近なものの見る目が変わってきて、面白い記事になっていくのです。


一ヶ月ほどの赤ちゃんの成長を、これほど具体的に、そして感情的になったりせず見ることができるのも伯父だからかなぁと思いつつ、その細やかな描写にリアルな子育てを感じます。
最初の涙、最初の発声、あー、とかおーおー、とか、あ、お、とか。


もともとハードカバーで買ったのですが、あまりの分厚さに読む気になれず、きれいな装丁の本は本棚で飾られるだけだったのを、先日の堀江敏幸さんの別の本をきっかけに読みたくなり、文庫本を買って読みました。

この装丁、堀江敏幸さん自身の装丁だそうです。
だれかのらくがきなのか、それ風なのか・・・・・・


Posted by ブクログ

2022/02/10

 海外で事故に見舞われて帰国できなくなった弟と、大病を患った彼の妻に代わって、新生児の姪っ子「なずな」を一定期間育てることになった記者、菱山秀一。決して社交的な性格ではないけれど、近所に住む心優しい人々の力を借りながら、真摯になずなと向き合い、未経験の子育てに奮闘する。彼がなずな...

 海外で事故に見舞われて帰国できなくなった弟と、大病を患った彼の妻に代わって、新生児の姪っ子「なずな」を一定期間育てることになった記者、菱山秀一。決して社交的な性格ではないけれど、近所に住む心優しい人々の力を借りながら、真摯になずなと向き合い、未経験の子育てに奮闘する。彼がなずなと過ごした期間はほんの数ヶ月なのに、この本は実に436頁。たわいもない日常の中で、周囲の人の温もりを感じる出来事を丁寧に大切に掬い取って描いている。新生児の肌の柔らかさのようにふわっと読者を包み込んでくれるような作品。  最後まで読めたり読めなかったり、相性の波がある堀江敏幸氏の作品。まだわたしには早かったかなあと思うこともしばしば、それでもどうしても気になってしまって堀江さんの作品を見つけると性懲りも無くつい手に取ってしまう。この本はちゃんと最後まで読めた。未婚男性の育児奮闘記ではあるのだけれど、いかにも奮闘記然とした暑苦しさは一切なく、淡々と、静かに、ここは永遠に春ですか?って感じの清らかさを携えて物語は進んでいく。さらさらと。暑苦しい育児奮闘記とか最悪だもんね、「わたし頑張ってます!!!どうすか!!!!!」みたいな。んなもんみんなそれぞれ頑張ってんだよって言いたくなる。  わたしもこんな温かい人たちに囲まれて子育てできていたら、幸せだっただろうなあ。菱山氏は、はなから自分一人でなんとかしようと意固地になることなく、周囲の優しさや気遣いをありがたく受け止めて、若干お節介と思うようなことでも拒絶するのではなく苦笑いしながらきちんと感謝する。必ずしも自分が求めている形ではなくても、手助けしようとしてくれる人々の行為の裏には確実に善意があるということを、菱山氏は忘れないからだと思う。他人は自分が思った通りには動いてくれない。違うそうじゃない、というやり方でびっくりするような方向から手を差し伸べてくる。それでも、その裏にある善意に意識を向けられれば感謝できるし、助けを求めることができる。なかなか難しいけれど、、、少なくともわたしはできていなかった。違うそうじゃない、って悶々とするばかりだった。未熟だったんだなあ、今もだけど、今とは比較にならないほど、もっとずっと未熟だったなあ。

Posted by ブクログ

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