貸出業務の王道

吉田重雄【著】

• 販売会社／発売会社: 金融財政事情研究会/きんざい
• 発売年月日: 2011/03/11
• JAN: 9784322117578

商品レビュー

2012/03/04

著者は早稲田大学卒業後、三菱銀行入行。支店長・融資次長等を経て同行退職後、現在は㈱日本国際清算機関で常勤監査役を務めている。

著書に「黄色いカンナが咲きました」「事例に学ぶ貸出判断の勘所」「事例に学ぶ貸出先実態把握の勘所」等多数。

現在の多くの銀行の実態として、貸出の基本原則を忘れ、貸出先の実態把握を十分に行わず、資金使途や借入申出金額の妥当性も十分に検証せず、多くの金額を貸すことが貸出業務の使命であると思い込んでいる職員がいることを指摘している。

上記のように銀行業務を経験してきた著者の視点により、現実に行われれている事実を踏まえて率直に意見を述べる中で銀行の諸問題を個人だけの問題だけではなく組織の問題として捉えている点を前提として担当者のみならず、支店長を含めた管理監督の立場にいる役席者から経営者にも気付きを与えることを目的として記されている。

構成は以下の8章から成っている。
①収益・ボリュームをふやすことが本質ですか
②債権管理（貸出先実態把握）を手抜きしていませんか
③法律的側面を軽視していませんか
④貸出業務に携わる人と組織の問題が何か、わかりますか
⑤貸出業務に携わる者としての自覚をもちましょう
⑥貸出業務の基本を守りましょう
⑦組織として貸出業務を見直しましょう
⑧貸出業務の原点回帰を目指しましょう

「真っ当な貸出」を実践していますか？
との問いに対しては「まぁ、そのつもりですが・・」と答えたいものの本書を読み進める度にそれが本当の意味では不十分であったと再認識することとなった。

本書の紹介として「現在行われている貸出業務の問題点を指摘し、貸出業務の真髄・原理原則を伝授する。金融機関職員が座右の書とすべき決定版」とあるばまさしくその通り。

多くを書くことは出来ないものの、多くの気付きを与えてもらった良書である。年代・経験・置かれている立場によって異論・反論はあるとは思うものの全てを拒むのではなく、一度自分の胸で考え、自分の仕事に対する思いに落とし込んでみようと思う。

5年程前に出会っていれば、見向きもしない本書。
今という時に出会い読むことができて良かった。

2011/10/20

先日の著者が講師を務める外部研修を受講してきました。研修の内容は全部この本から引用していますと仰っていました。元三菱銀行員だけあって、銀行業務、融資業務とはこうあるべきである！という考え方を学ぶ事が出来たと思います。