ワード・オブ・マウス ジャコ・パストリアス魂の言葉

松下佳男【編著】

• 販売会社／発売会社: リットーミュージック
• 発売年月日: 2010/12/20
• JAN: 9784845618972

商品レビュー

2010/12/01

初回読了。この本は資料としても何度も読み返すものになりそうです。
最も嬉しいのは、「Jaco論」を押しつけていないところですかね(笑)。
もちろん著者の意見、芯はしっかりとしたものがあります。そこに至る経緯を、インタビューや客観的な事実で構成し、無理なく導いているので納得感が強いのかもしれません。でも、一番大きな要素は「ジャコ愛」ですね！

内容としては、Jacoが好きな人なら読んだ事のあるインタビューも含まれているかもしれません。が、まとめ方・テーマ設定が明確なので、今まで以上に、同じインタビューからでも読み取れる事が多く、深く理解できたような気がします。
個人的には、ベースという楽器を楽しんでいる関係もありますが、第３章以降、楽器観や演奏スタイル観について、踏み込んだ内容に惹かれました。
もう一つ気持ちよく読めた要因としては、所謂「ゴシップ・ネタ」、「噂ネタ」にほとんど言及せず、あくまでも語られた内容、残された音源、つまり明かな事実をベースに書かれているところにあるのかも知れません(もちろん、ファンとしては「カッパのジャコさん」や死に至る経緯の真相を知りたいという気持ちはありますが)。ある意味、正しいジャーナリストが、正しく書いた書籍と言えるでしょう。
書籍の装丁・組み方としては、大きくは２段組で、本文+解説・注釈で構成されており、はじめてジャズ、ジャコに触れる方でも背景情報をひろったり、関連するアルバムなど、多角的に把握する事ができるようになっています。(出来れば引用インタビューの出展情報を、注釈に入れてくれると判りやすかったのですが…)

「ビッグ・マウス」と「ワード・オブ・マウス」。形容詞のつかない、まさにイノベーターとしての音楽・ジャコ。とても楽しく読む事が出来ました。
お勧めです。

アマゾン紹介文より。

エレクトリック・ベースの概念を覆し、今なお多くのフォロワーを生み出し続ける天才、ジャコ・パストリアス。35歳という若さで他界するまでに残した、数々の常識を打ち破ったベース・プレイはどのようにして育まれたのか？ 未だに謎に包まれた部分が多いのが事実です。そこで本書は、その謎に迫るべく世界各地に散らばったジャコのインタビューを集め、テーマごとに分類。圧倒的な存在感を持つベース・スタイル誕生の秘密を、ジャコ自身の言葉からひも解くとともに、激しく濃密に、そして誰よりも鮮烈に生き抜いたひとりのベーシストの生き様が、再び明らかになります。全ベーシスト／ミュージシャン、すべてのクリエイター必携の1冊です。

【CONTENTS】
■第1章　ジャコを形作った事象と経験
■第2章　フロリダという地
■第3章　ベーシスト／コンポーザーとしての立身
■第4章　“世界で最高のベーシスト”
■第5章　『ジャコ・パストリアスの肖像』
■第6章　ウェザー・リポート、セッションの日々
■第7章　『ワード・オブ・マウス』
■第8章　楽器という愛でるモノ、壊すモノ
■第9章　魂のゆくえ

著者について
松下佳男 プロフィール
1948年生まれ。早稲田大学卒業後、1973年、スイングジャーナル社編集部に入社。73年に音楽ジャンルを超越した新雑誌『ADLIB』を立ち上げ、ジャズ／フュージョン、AOR、ブラック・コンテンポラリー、ワールド・ミュージックなどさまざまな音楽を紹介。1980年に編集長となり以後30年間活躍。敬愛するジャコ・パストリアスの企画アルバムも多く、『ジャコ・レア・コレクション』、『ジャコ・ソングス』、『プレイ・ジャコ』、『ジャコ・アーリー・イヤーズ・コレクション』などの企画・監修をはじめ、ジャコ関連のライナー・ノーツの大半を執筆している。また「ジャコ・フィギュア」の制作も世界から注目された。現在、フロリダのプロデューサー、ボブ・ボビングと共に未発表音源『ジャコ・アーリー・イヤーズ・シリーズ』のアルバムを順次プロデュース中。
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