四十一番の少年 新装版 文春文庫

井上ひさし【著】

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 2010/12/10
• JAN: 9784167111298

商品レビュー

2024/09/04

「母親と別れて東北のキリスト系養護施設に預けられた子どもの成長を描いている自伝的作品集。表題作にある「四十一番」とは、少年の洗濯札の番号のこと。読者とはまったく異なる境遇の少年ではありますが、子どもの孤独感や大人の理不尽さは大いに共感できるところがあるでしょう。」
（『中学生のための読解力を伸ばす魔法の本棚』中島克治選書 ）

2023/07/29

中学生のときに読んだ作品の再読。
いまの表紙の暗い絵とは違って、当時は夕日に少年のシルエットが描かれているデザインで、少年が希望を持って頑張るような内容だと思って購入した。
ところが…中学生には衝撃的な誘拐殺人事件の話で、読みながら驚愕したのを覚えている。刺激が強過ぎて本作のベースとなる兄弟の愛とかを読み取ることすらできず、これを機にミステリーの沼にはまり込むようになる。
いま読み返してみて、現在のミステリー作品にはない昭和の懐かしい風情や純真な感情に触れ胸が熱くなる。

2021/06/04

この時代の孤児と、現在の養護施設にいる子たちは、全く違う理由でそこにいるかもしれない。
が、保護者から保護されなかった子たちはかなり強い意志で未来を切り開かなくてはならないという意味では、今も当時も変わらないのかも。
作者が全日制の高校に行こうとしたように、諦めて、弟を救ったように…。

人格形成って周りの人の影響が多大なのに、同じ環境で育っても同じにならない、本人の受け止め方、資質、ささいなきっかけ。