折れた竜骨 ミステリ・フロンティア

米澤穂信【著】

• 販売会社／発売会社: 東京創元社
• 発売年月日: 2010/11/30
• JAN: 9784488017651

商品レビュー

2025/11/09

王道のヨーロッパ魔法ファンタジーに、巧みな論理が絡む特殊設定ミステリ
序盤でかなりわかりやすく伏線が置かれるため、ミステリとしてのオチはある程度見えてしまう
が、貴族としての責務を果たして戦いに身を投じる主人公や、固い絆で結ばれた騎士ファルクとニコラの人物像が胸を打つ

2025/08/29

ちょっと複雑で難しかったけど面白かった！
たった3日ほどの出来事を、こんなに細かく丁寧に描いてこの長編になるとはすごい。

中世ヨーロッパの雰囲気や、領主の娘の気高さ、魔術や呪いの特殊設定がよかった。
ちゃんと謎解きは論理で進めるのも良い。

アミーナとニコラの友情が育っていく感じも好き。

ちょっとしたツッコミどころとしては、エドリックたぶん死んでる説…見つけなくていいのか？
衛兵や見張り番が仕事怠けすぎて、領主甘すぎないか？
など守りがガバガバ感はあるけど、そのへんは国や時代にもよるということで…。

2025/08/21

　前評判から、魔法世界のミステリーと聞いていたので色々期待が高まっていました。魔法が存在する世界観や中世ヨーロッパを中心とする登場人物をイメージするのには苦労しましたが、一度絵が浮かべば読みやすく没頭できました。
　読後にあとがきを読み、この作品は、作者がプロデビューの前に考えられた作品が元であると知りました。著書の「満願」を先に読んでいたので、ファンタジーを書く印象はまるでなかったので意外だと感じていましたが、成程と納得しました。
　ファンタジーにすることで、作者と読者の間で特別な前提が共有され、より一層ミステリーを純粋に楽しめるという作者の思惑にしっかり嵌められました。
　後半の解決に向け、魔法があるからこそ推理が成り立ち、犯人とその真相に辿り着くところは驚きました。後出しや何でもありの世界ではなく、可能性をすべて排除したからこそという推理は名探偵ものを読んでいるようでした。
　漫画にもなっているようですが、小説で十分楽しませてもらいました。