隣人妻と女子大生 はじめての女 フランス書院文庫

秋月耕太【著】

• 販売会社／発売会社: フランス書院
• 発売年月日: 2010/11/25
• JAN: 9784829617533

商品レビュー

2010/12/04

恋心を前面に出した甘さと濃密な情交描写

[ＤＳＫ]

さすがの秋月作品と申し上げたい。ちっとも合体しない初体験モノかとタイトルで思わせておきながら見事に裏切る濃厚な官能成分が全編を覆い尽くしている。さらには、これに恋心満載の激甘成分が加わるのだから堪らない。何と言うか、ここ数作で若干の路線変更を試行している神瀬知巳作品の、その空いた隙間を埋めるような甘さであり、初期のぶっ飛んだ作風に抵抗を感じた諸兄にも是非再チャレンジを推進したい充実の内容である。

【理彩】 主人公（１６歳）のバイト先の先輩で１９歳の大学生。派手めで積極的だがウブな秘密もある。当初より主人公ラヴだが意地っ張りなところも。主人公を押し倒すように「筆おろし」のお相手となるが、その後しばらくの空白期間に事態が変わってしまう。

【真由美】 ２８歳の隣の人妻。主人公の想い人だが、とにかくお淑やかで奥ゆかしい人。こうもおとなしい人にどうアプローチするのかと思っていたら、思いの外強引な展開になっていた。溢れる情動に任せた主人公の独り善がりな交わりにも見えるが、プロローグに伏線がある。夫婦の営みが乏しかったこともあってめくるめく未知の愉悦を覚え込まされ、「女」を激しく思い知らされた果てに強烈な愛情を向けることとなる。開発・調教のテイストも若干滲ませる実にいやらしい展開である。

全５章立てだが、各章にしっかり「実用性」のある濃密な情交描写が圧倒的。ドラマ部分も練られており、２人が鉢合わせする場面ではフックを利かせた設定が飛び出す。本編には直接関係無いが、真由美の夫にも隠れ属性があって結末に寄与するオマケ付き。小さな恋心が肉欲を通じて増大する理彩、肉欲の悦びから大きな恋心に繋がっていく真由美と、主人公ラヴへの道筋にも好対照の面白味がある。

実はかなり都合の良い展開であり、主人公にも二枚舌なところはあるのだが、満たされる願望ファンタジーがそれを軽く凌駕してしまう。この魅力にやられてしまう作品である。