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無限 新潮クレスト・ブックス
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無限 新潮クレスト・ブックス

ジョンバンヴィル【著】, 村松潔【訳】

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定価 ¥2,420

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2010/10/30
JAN 9784105900878

無限

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商品レビュー

4.3

6件のお客様レビュー

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2018/07/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

「神の視点」。私、僕など一人称で自分を表す語り手による物語に対し、登場人物全てが彼・彼女といった三人称で呼ばれる物語が、神のように俯瞰した立場から書かれているとき、使われる言葉である。 ここでの「神」は比喩なのだが、近年この言葉を逆手に取ってか、神そのものが人格を持って物語を綴る「神の視点の一人称小説」が現れるようになった。本書もそんな中の一冊である。 舞台はアイルランドの片田舎にある屋敷。ここに降臨している語り手は、古代ケルトの神でもなければ、カトリックの神でもない。ギリシャ神話でお馴染み、オリンポス十二神の一人であるヘルメスだ。 ヘルメスは神々の伝令で、旅人の守り神。ひいては死者の魂を冥府へ導く神であるともされる。 そんなヘルメスが見守っているのは、屋敷で死にかけている一人の老数学者・アダムと、彼を取り巻く面々。アダムの妻、息子と娘、息子の妻、使用人、訪問者、飼い犬……。 ヘルメスは皆の間を縦横無尽に飛び回り、昏睡状態にあるアダムも含めた彼らの心の機微を陽気にさらけ出す。 ヘルメスの父である天帝ゼウスも時折登場しては神話通りの好色ぶりを発揮、アダムの息子の美しい妻に戯れかかる。そんな父に呆れつつ、ヘルメス自身も人間に変装して彼らの間に立ち混じり、いたずらを楽しむ。 人間以上に人間くさいギリシャ神話の神々ならではの行動で、だからこそ著者に語り手として白羽の矢を立てられたのだろう。 不死の存在が死すべき人間にちょっかいを出し、新鮮な生命の刺激を享受する、という設定には既視感があるものの、微笑ましい描写となっている。 「神が降りた」とか「魔が差した」という瞬間の出来事がすべてこうした人格神たちのいたずらであるとしたら、腹立たしくも可笑しいものだ。 死にゆくアダムを遠く近く取り巻いて紡がれる夏の一日。悔恨や追憶に浸ったり、意外な新しい関係が芽生えたり。すべてを見ている「神の視点」は透徹しつつも温かく、死という容赦ないものに向き合いながらも読後感は明るい。ラストはヘルメスが「思いがけない幸運」や「家畜の増殖」をも司る神であったことが思い出され、にやりとさせられる。

Posted by ブクログ

2013/02/25

「無限」(ジョン・バンビル:村松 潔 訳)を読んだ。いきなり神が語りはじめる。(神といってもヘルメスとかそっちのほう。)そして彼らの創造物である人間の生活に見えざるちょっかいを出しまくるのだ。かなり捻れたユーモアが笑える傑作。ひょっとすると神様も退屈なのかもしれないな。  『われ...

「無限」(ジョン・バンビル:村松 潔 訳)を読んだ。いきなり神が語りはじめる。(神といってもヘルメスとかそっちのほう。)そして彼らの創造物である人間の生活に見えざるちょっかいを出しまくるのだ。かなり捻れたユーモアが笑える傑作。ひょっとすると神様も退屈なのかもしれないな。  『われわれが彼らのためにこしらえてやった、彼らの慰めになるかもしれないもののなかで、うまくいっているのが夜明けである。』という書き出しがいいな。この作品の素晴らしさを象徴してます。やっぱり神様は神様なんだよね。お薦め。

Posted by ブクログ

2012/03/04

ジョンバンヴィル「無限」読んだ。http://tinyurl.com/3hvsch5 死にゆく父アダムのために集まった一家のある夏の一日が神の視点で語られる。手法としての神の視点じゃなく本当にギリシャ神話のヘルメスやゼウスが語る。メタ神の視点?笑。で語り手はころころ変わる(つづく...

ジョンバンヴィル「無限」読んだ。http://tinyurl.com/3hvsch5 死にゆく父アダムのために集まった一家のある夏の一日が神の視点で語られる。手法としての神の視点じゃなく本当にギリシャ神話のヘルメスやゼウスが語る。メタ神の視点?笑。で語り手はころころ変わる(つづく 神たちは男たちに乗り移るし、登場する親子の名前は両方アダムだし、同じ人称のまますっと語り手が変わるしで、うっかりすると読み違える。一昔前の時代設定かと思いきや近未来で、妙なねじれのある時間と場所を舞台に、スコットランド女王がエリザベスを処刑する(笑)とかの歴史が挿入される。 最後)パラレルワールド?読んでいて混乱するし何度も前に戻ったけど楽しい。最後は、不協和音で緊張を続けていた曲が最後の最後に見事な美しい音で解決する感じ。人の一生、神の時間、際限なく広がる思考、「無限にある無限」。神の糸のひと引きが無為になるほどに人間は不可思議で理屈を超えている。

Posted by ブクログ

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