1,800円以上の注文で送料無料
夢の遠近法 山尾悠子初期作品選
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍
  • 1221-04-08

夢の遠近法 山尾悠子初期作品選

山尾悠子(著者)

追加する に追加する

夢の遠近法 山尾悠子初期作品選

定価 ¥1,980

1,375 定価より605円(30%)おトク

獲得ポイント12P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 国書刊行会
発売年月日 2010/10/23
JAN 9784336052834

夢の遠近法

¥1,375

商品レビュー

4.4

18件のお客様レビュー

レビューを投稿

2026/02/13

川野芽生の『奇病庭園』が好きで似た作品が読みたいと欲求を募らせていた所に、「幻想文学だ」以上の知識を持たないまま、ただ装丁が綺麗だという理由だけで山尾悠子氏の作品を購入していた事を思い出す。以前本作を読み始めた時は目が滑ってしまい結局他作品含め手を付けていなかったのだが、今回は「...

川野芽生の『奇病庭園』が好きで似た作品が読みたいと欲求を募らせていた所に、「幻想文学だ」以上の知識を持たないまま、ただ装丁が綺麗だという理由だけで山尾悠子氏の作品を購入していた事を思い出す。以前本作を読み始めた時は目が滑ってしまい結局他作品含め手を付けていなかったのだが、今回は「まさにこれだー!!!」という興奮と勢いのまま一気に読み終えた。ここではないどこか、ずっと前から行きたかった場所にいとも簡単に連れ去ってくれる初期短編集だった。 「夢の棲む街」円形劇場を中心に据えた漏斗状の世界。<夢喰い虫>のバクは今日も噂を求め街路を駆けて行く。脚以外の全てが退化するまでに踊り狂った劇場の乙女達。鳥籠の中で眠る嗜眠症の侏儒(こびと)。娼館で蠢く天使と人魚の群。天蓋の星座に四方を囲む海。約束された終焉が訪れるまで。完璧な一編だった。 「月蝕」親戚の少女に引き摺られ京都を巡る一日。幻想色が強かった「夢の棲む街」の次は現実を舞台にした短編を書きたかったとの事。固有名詞を並べるスタイルに真新しさはないが、京都の各所を登場人物と同じテンポで巡る楽しみと小気味良さに溢れた作品だった。 「ムーンゲイト」本当に短編かと疑う程の重量級ファンタジー。拐かされ、水上都市で育てられた少年「銀眼」が、「水蛇」と呼ばれる女性と共に月が昇る故郷まで遡上する。光や色彩、音や匂いだけでなく湿度や温度、標高を感じさせる文章に唸る。矢張りこちらでも滅びは必然。 「遠近法」基底と頂上がない円筒状の≪腸詰宇宙≫を記した草稿について。「夢の棲む街」の次に好きかもしれない。同じ様に複数の階層から成る不条理な世界を描いた、大好きなディストピア映画『プラットフォーム』を彷彿とさせるからかも。まんま「バベルの図書館」ではないか、と登場人物に言及させ、予め指摘を封じている所がニクイ。 「童話・支那風小夜華集」シノワズリを掌編にしたら。龍の帰還、支那の吸血鬼、料理人と家鴨の愛、令嬢と纒足の貴公子、刺客と病気の子供(春の桃を添えて)。なんとも豊潤。 「透明族に関するエスキス」とある街区を漂う透明な侏儒に関する6つのスケッチ。時には水路の流れの中で身を寄せ合い、時には広場に吹き溜まり、時には壁にぶつかると共に破裂し悪臭を放ち。眩光の描写が秀逸で、まるで印象派の絵画を幾枚も披露して貰っているようだった。あまりの美しさに嘆息した。 「私はその男にハンザ街で出会った」出会いと共に視線は絡み合い、視たい、触れたいという欲求を抑えられずにはいられない男。最後は鏡合わせのエレベーターに足を踏み入れ。短いが鬼気迫る何かがある。 「傳説」終末的世界の中、ただ互いの存在のみを確かめ歩き進む愛人達。それを囲む幾百もの甲冑の群。彼らの行き付く先は。こちらも壁に掛けられた、海上に浮遊する男女の絵を鑑賞しているかのような印象を受けた。強烈。 「月齢」月面を思わせる地を行く騎乗の男は侏儒達に襲われ。氏の作品は綺麗な物と同じくらい醜悪な物で溢れている点が良い。 「眠れる美女」ガラスの柩に眠る美女が目を醒ます時。 「天使論」京都の大学、階段と天使に纏わる掌編。 どの短編も、奥行が際限なく続く光景を一枚の絵に圧縮したかのような重厚感を持ち、ただただ圧倒された。著者の作品は今後全て読むと思う。

Posted by ブクログ

2019/01/30

気になりつつも耳にしていた評判に慄いて手を出せずにいたが遂に借りて来る。初期作品集ということで比較的読みやすい? とは言え緊密で硬質な文章は何の気なしに読んでいると、上滑りして全然頭に入ってこない。読む側にも集中力を求め、叙述された世界をしっかり再構築する必要を感じる。それでも作...

気になりつつも耳にしていた評判に慄いて手を出せずにいたが遂に借りて来る。初期作品集ということで比較的読みやすい? とは言え緊密で硬質な文章は何の気なしに読んでいると、上滑りして全然頭に入ってこない。読む側にも集中力を求め、叙述された世界をしっかり再構築する必要を感じる。それでも作品の世界の理を理解出来ている訳でもなく、どれ程享受出来たかも怪しい。 「夢の棲む街」「ムーンゲート」「遠近法」想像力で世界を構築するというのはこういうことかと思わせる。言語による世界の構築に対するフェティッシュな欲望というか。温もりを排した鉱物的な冷厳な世界。 「夢の棲む街」の<脚>の踊り子や天使、人魚のイメージはグロテスクにして鮮烈。猥雑なのに静謐な世界観。 「月蝕」が大学生と小学生の姪の凸凹コンビの76年京都の街の彷徨譚という感じで、作者も「何ともお気楽」と記しているが読みやすく楽しい。姪の女の子がコケティッシュで小悪魔。というか彼女は誰だったんだろう? 「童話・支那風小夜曲集」は雰囲気のある作品。 「透明族に関するエスキス」面白いけど実際いたら汚れと悪臭で迷惑そう。 「眠れる美女」ブラック。ヒドイ。

Posted by ブクログ

2017/02/01

「幻想小説」と呼ばれるものは概して苦手なのだけど、ごくたまに心をわしづかみにされるようなビジョンを描き出す作品に出会うことがある。その筆頭が、本書にも収められている「遠近法」だ。SFのアンソロジーで読んだとき、そのイメージ喚起力に完全にノックアウトされた。 「作品集成」にはちょ...

「幻想小説」と呼ばれるものは概して苦手なのだけど、ごくたまに心をわしづかみにされるようなビジョンを描き出す作品に出会うことがある。その筆頭が、本書にも収められている「遠近法」だ。SFのアンソロジーで読んだとき、そのイメージ喚起力に完全にノックアウトされた。 「作品集成」にはちょっと手が出なかったのだが、これならばと買いこんでみたものの、最初の「夢の棲む街」がどうにも苦手な部類の「幻想小説」で…。「遠近法」だけ読み返して積んであったのを、なんとなくまた読んでみることにしたのだった。 「夢の棲む街」は、やはり好きとは言えないけれど、独特の硬質な世界に圧倒される。これが大学生の時のデビュー作とは。著者が巻末の「自作解説」で「すべてがここにある」と語っているのに納得した。グロテスクな要素もあり、血や粘液が流れる描写もあるというのに、冷え冷えとしたノーブルな空気に支配されている。 圧巻はなんといっても「遠近法」。何度読んでもすばらしい。SF的想像力で作り上げられた異世界には傑作が数々あるが、この「腸詰宇宙」は紛れもなくその一つだと思う。無限に続く塔の内側に階層としてある世界。その中を巡る太陽と月。《蝕》という現象。まさにめくるめくようなイメージで、ため息が出るばかり。断片的な記述を重ねるスタイルも効果的だ。世界の真実を求め、九万階上方の回廊を目指した人々の挿話が、残酷で、美しい。ラストの「ウロボロスの蛇」でとどめを刺されてしまう。「語り手」を揺らしてあるのも浮遊感を高めているのだろう。 本書ほど「自作解説」が役に立ったことはない。「月蝕」や「童話・支那風小夜曲集」は解説のおかげで、なるほどねえと楽しむことができた。著者は自分より少し年上なのだが、同じ京都で学生生活を送ったことを初めて知り、にわかに親しみも湧いた。初期の作品は京都で書かれたものも多いようで、さり気ない書き方ながらその頃への愛着が伝わってきた。

Posted by ブクログ

関連ワードから探す