![パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い](https://content.bookoff.co.jp/goodsimages/LL/001644/0016446779LL.jpg)
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パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2010/10/07 |
JAN | 9784062164474 |
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パンとペン
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商品レビュー
4.3
17件のお客様レビュー
社会主義者にとってもっとも厳しい時代を現実的に生き抜くために仲間や後輩を支えた堺の売文社の活動を軸に著者が、緻密に積み重ねた資料をもとに克明に描き出す。 パンとペン。これは好きなことなど追い求めたいものをもつ人間にとって、ついてくる問題で、音楽家や小説家、などといった職業にも言...
社会主義者にとってもっとも厳しい時代を現実的に生き抜くために仲間や後輩を支えた堺の売文社の活動を軸に著者が、緻密に積み重ねた資料をもとに克明に描き出す。 パンとペン。これは好きなことなど追い求めたいものをもつ人間にとって、ついてくる問題で、音楽家や小説家、などといった職業にも言える。堺はペンを支えるためにパンを得る手段を創出した。時期を待つために、生き抜き思いを実現するために編み出した知恵といえる。知識階級であるものの、成功したエリートでもなかったという点が、私にも共感というか、どこかに埋もれていた傷に指さされる感覚があって、そこも堺の生き方にひかれたのかも知れない。 膨大な固有名詞が登場し、かなり厄介な作品だけれど、読んでよかったと思う。題材となった堺だけでなく、著者の黒岩氏にとってこれが死の直前の作品だったという点もある意味衝撃だった。研究者のように精密に調べあげ、丹念に練り上げられた文章は圧巻。
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堺利彦の「売文社」時代に焦点を絞った評伝。社会主義史や大正デモクラシー史では、大逆事件後の「冬の時代」のカムフラージュ稼業として軽視されがちな「売文社」を、編集プロダクションや翻訳エージェントの先駆として高く評価している。「万朝報」「平民社」時代や大逆事件にも紙幅を割いているが...
堺利彦の「売文社」時代に焦点を絞った評伝。社会主義史や大正デモクラシー史では、大逆事件後の「冬の時代」のカムフラージュ稼業として軽視されがちな「売文社」を、編集プロダクションや翻訳エージェントの先駆として高く評価している。「万朝報」「平民社」時代や大逆事件にも紙幅を割いているが、社会主義者・運動家としての姿よりも、文人・編集者としての姿に重きを置いている。
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※このレビューにはネタバレを含みます
苦境を笑いとばし、文で闘う堺利彦の抵抗の精神 大逆事件以降、社会主義運動は「冬の時代」を迎える。その時期に、翻訳・編集会社「売文社」を興し、運動の資金稼ぎを行った堺利彦を描く一冊だ。幸徳秋水、大杉栄、荒畑寒村らキラ星に比べると履歴も地味だし、これまで論じられる機会の少なかったが堺利彦だろう。本書は初の堺についての本格的な評伝であり、著者・黒岩比佐子さんの遺作でもある。 若き日の堺は無頼放蕩の繰り返しだ。遊ぶために「文」を書く。しかし万朝報に入社し社会主義へと目覚めていく。大逆事件では連座を免れるが、仲間たちの死刑執行後、その遺体を引き取るのは堺だった……。 冬の時代に堺は売文社を立ち上げる。これは今で言う「編集プロダクションの先駆的なもの」。ここを拠点に堺は同志たちに仕事と居場所を提供し、機会をうかがうことになる。あらゆる運動が苛烈な弾圧をうけたとき、転向したり自暴自棄になったりすることが世の中にはあまたある。そして戦前日本の「革命家」は生活までもが「アナーキー」だし、思想を優先するがゆえに、生活は従属的なものと位置づけられるフシが濃厚だ。しかし堺は敗北の事実を冷静にうけとめる。必要なことは後始末と未来への着実な展望だからだ。思想云々よりも、仲間を励ましながら煉瓦を積み上げるような堺の冷静な振る舞いとその歩みには一種の感動を覚える。 本書を読むと驚くのは堺がどこまでも「文」と「ユーモア」の人間だったということだ。想像力をたくましくすれば作家として名をなしていたかもしれない。苦境を笑いとばし、文で闘うその抵抗の精神は人間的魅力に溢れている。 最後に著者の史料精査はハンパない。これは是非、本書を手にとって刮目して頂きたい。 追記:尊敬する先輩が教えてくださったのですが、「常にユーモアの精神で抵抗する軌跡」とは、「そして、それは、黒岩比佐子さん自身の精神と通じます」とのこと。黒岩さんの著作はこの一冊がはじめてです。少し読んでみようと思います。
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