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パンとペン の商品レビュー

4.4

18件のお客様レビュー

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2025/02/12

柳広司さんの「パンとペンの事件簿」読了から約2ヶ月半かかりました。古本で手に入れた本書をちびちびと読み進めて今日の午後残りを一気に読みました。 社会主義者堺利彦の生きざまにこころを揺さぶられました。自分たちの前に道を開いてくれた先人たちに誓いましょう。帝国主義戦争反対です。絶対に...

柳広司さんの「パンとペンの事件簿」読了から約2ヶ月半かかりました。古本で手に入れた本書をちびちびと読み進めて今日の午後残りを一気に読みました。 社会主義者堺利彦の生きざまにこころを揺さぶられました。自分たちの前に道を開いてくれた先人たちに誓いましょう。帝国主義戦争反対です。絶対に。

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2016/08/09

社会主義者にとってもっとも厳しい時代を現実的に生き抜くために仲間や後輩を支えた堺の売文社の活動を軸に著者が、緻密に積み重ねた資料をもとに克明に描き出す。 パンとペン。これは好きなことなど追い求めたいものをもつ人間にとって、ついてくる問題で、音楽家や小説家、などといった職業にも言...

社会主義者にとってもっとも厳しい時代を現実的に生き抜くために仲間や後輩を支えた堺の売文社の活動を軸に著者が、緻密に積み重ねた資料をもとに克明に描き出す。 パンとペン。これは好きなことなど追い求めたいものをもつ人間にとって、ついてくる問題で、音楽家や小説家、などといった職業にも言える。堺はペンを支えるためにパンを得る手段を創出した。時期を待つために、生き抜き思いを実現するために編み出した知恵といえる。知識階級であるものの、成功したエリートでもなかったという点が、私にも共感というか、どこかに埋もれていた傷に指さされる感覚があって、そこも堺の生き方にひかれたのかも知れない。 膨大な固有名詞が登場し、かなり厄介な作品だけれど、読んでよかったと思う。題材となった堺だけでなく、著者の黒岩氏にとってこれが死の直前の作品だったという点もある意味衝撃だった。研究者のように精密に調べあげ、丹念に練り上げられた文章は圧巻。

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2021/06/25

 堺利彦の「売文社」時代に焦点を絞った評伝。社会主義史や大正デモクラシー史では、大逆事件後の「冬の時代」のカムフラージュ稼業として軽視されがちな「売文社」を、編集プロダクションや翻訳エージェントの先駆として高く評価している。「万朝報」「平民社」時代や大逆事件にも紙幅を割いているが...

 堺利彦の「売文社」時代に焦点を絞った評伝。社会主義史や大正デモクラシー史では、大逆事件後の「冬の時代」のカムフラージュ稼業として軽視されがちな「売文社」を、編集プロダクションや翻訳エージェントの先駆として高く評価している。「万朝報」「平民社」時代や大逆事件にも紙幅を割いているが、社会主義者・運動家としての姿よりも、文人・編集者としての姿に重きを置いている。

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2012/04/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

苦境を笑いとばし、文で闘う堺利彦の抵抗の精神  大逆事件以降、社会主義運動は「冬の時代」を迎える。その時期に、翻訳・編集会社「売文社」を興し、運動の資金稼ぎを行った堺利彦を描く一冊だ。幸徳秋水、大杉栄、荒畑寒村らキラ星に比べると履歴も地味だし、これまで論じられる機会の少なかったが堺利彦だろう。本書は初の堺についての本格的な評伝であり、著者・黒岩比佐子さんの遺作でもある。  若き日の堺は無頼放蕩の繰り返しだ。遊ぶために「文」を書く。しかし万朝報に入社し社会主義へと目覚めていく。大逆事件では連座を免れるが、仲間たちの死刑執行後、その遺体を引き取るのは堺だった……。  冬の時代に堺は売文社を立ち上げる。これは今で言う「編集プロダクションの先駆的なもの」。ここを拠点に堺は同志たちに仕事と居場所を提供し、機会をうかがうことになる。あらゆる運動が苛烈な弾圧をうけたとき、転向したり自暴自棄になったりすることが世の中にはあまたある。そして戦前日本の「革命家」は生活までもが「アナーキー」だし、思想を優先するがゆえに、生活は従属的なものと位置づけられるフシが濃厚だ。しかし堺は敗北の事実を冷静にうけとめる。必要なことは後始末と未来への着実な展望だからだ。思想云々よりも、仲間を励ましながら煉瓦を積み上げるような堺の冷静な振る舞いとその歩みには一種の感動を覚える。  本書を読むと驚くのは堺がどこまでも「文」と「ユーモア」の人間だったということだ。想像力をたくましくすれば作家として名をなしていたかもしれない。苦境を笑いとばし、文で闘うその抵抗の精神は人間的魅力に溢れている。  最後に著者の史料精査はハンパない。これは是非、本書を手にとって刮目して頂きたい。 追記:尊敬する先輩が教えてくださったのですが、「常にユーモアの精神で抵抗する軌跡」とは、「そして、それは、黒岩比佐子さん自身の精神と通じます」とのこと。黒岩さんの著作はこの一冊がはじめてです。少し読んでみようと思います。

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2012/03/17

筆者が命をかけるようにして上梓した最後の作品。 冬の時代を生き抜いた堺利彦の人生と重なり、ずっしりとした重みを感じる。 生きることの使命とは。 「然し決して死にたくはない。死にたくはないが、又善く死にたいといふ欲望もある。」 2人の思いがこの言葉に集約されている。

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2012/01/29

大逆事件によって盟友の幸徳秋水ら同志12人を殺害された悲しみと怒りのなかで、「売文社」という人を喰った名前の出版プロダクション会社を設立し、同志たちを食わせ、「冬の時代」の社会主義運動をささえた堺利彦の人間性と才能、ユニークな闘い方に新鮮な光をあててみせた力作、労作である。 19...

大逆事件によって盟友の幸徳秋水ら同志12人を殺害された悲しみと怒りのなかで、「売文社」という人を喰った名前の出版プロダクション会社を設立し、同志たちを食わせ、「冬の時代」の社会主義運動をささえた堺利彦の人間性と才能、ユニークな闘い方に新鮮な光をあててみせた力作、労作である。 1910年の大逆事件で秋水を失い、1923年の関東大震災で大杉栄を失った堺自身、つねに官憲のターゲットになっており、いつ暗殺されてもおかしくなかった。天寿をまっとうできたのは、ほんの偶然にすぎない。著者はそのことについて、冒頭でこう述べている。 「私は、あえて『幸運にも』といいたい。”ドラマチックな死”ではなかったために、堺利彦という名前が人々の記憶に残らなかったとしても――。幸徳秋水や大杉栄の死は、あまりに無惨である。」 著者の黒岩さんの視点は、ここにはっきりと現われている。ともすれば運動は、先頭にたつひとりの英雄的な個人の活躍に象徴されがちだ。その人が非妥協的で、運命が悲劇的であるほど、評価も高まる傾向にある。そうした中で、運動の火を消さず守り、人を生かすことに徹した堺の生き方をこれほど魅力的に描き出すことができたのは、やはり黒岩さん自身の視点と問題意識の確かさによるものだろう。 大逆事件によって運動のリーダーたちを失い、国家権力による厳しい弾圧をうけたこの時代、堺自身の分析によれば、ある者は一方の極端に走り、他の多くは圧力の下に雌伏したが、その中にも色々の段階がある。どうにも仕方がない、できるだけのことをして時期を待つという者、しばらく猫をかぶって世を欺くという者、そして、社会運動に絶望した結果、ただ自己一身の鍛練に慰藉と希望を求める者もあった。売文社をついに廃業に追い込んだ高畠素之のように、天皇制を奉じる国家社会主義を標榜するに至った者さえあった。 無惨に殺された者たちの遺族を見舞いながら、かつての同志たちが方向性を見失い、心ない裏切りさえ行うありさまを見ていた堺の心境は、いかばかりだったか。しかしそうした中にあってさえ、ユーモアを忘れず、妻と娘をこよなく大切にし、同志らのふるまいを責めずに面倒を見、必ずしも意見を同じくしない幅広い人々とも交友を保ちながら、運動の火を絶やさずに守り続けた。あくまで人を大切にした堺の人間性は実に魅力的だ。と同時に、タイトルにもある通り、これが堺の闘い方であったことを忘れてはならない。問題は、冬の時代においてどう身を処すか、ではない。どう闘うかという問題なのだ。 私たちが生きているのは、堺たちが生きたのと同じ「冬の時代」ではないけれど、「春の時代」でもない。それは、今ここで繰り返し問われるべき問いであり、だからこそこの本は、繰り返し読まれるべき価値がある。

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2011/09/08

とっかかりは少々時間がかかったが、中盤以降は一気に読めた。どのエピソードもおもしろく間然するところがないが、欲を言えば著者あとがきで「大幅に削った」というその部分までノーカットで見てみたかったところ。

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2011/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

堺利彦の伝記であり、明治から大正にかけての社会主義者の流れであり、そしてその時代の出版界の生き生きとした記録である。黒岩さんが堺利彦に魅かれる気持ちがよくわかり、丁寧に文献を掘り起こしておられるので、一級の資料としても貴重な作品だと思います。そして何より「売文社」を始めとして、出版界の様子が面白かったです。

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2011/06/14

 面白いのになかなか読み進まなかった。なぜかというと、資料的な記述が詳細に記されていて、いちいちそっちに目が入ったせいだろう。作家ら登場人物それぞれに本名が添えられていたりと、著者の真摯な姿勢が感じられた。  内容も興味深いもの。これまであま知られていなかった歴史の断面が詳述され...

 面白いのになかなか読み進まなかった。なぜかというと、資料的な記述が詳細に記されていて、いちいちそっちに目が入ったせいだろう。作家ら登場人物それぞれに本名が添えられていたりと、著者の真摯な姿勢が感じられた。  内容も興味深いもの。これまであま知られていなかった歴史の断面が詳述されている。大逆事件後の苦境にありながら、ユーモアを欠かさない堺利彦の精神のしなやかな強靭さを興味深く読んだ。  この時代の歴史をみる資料として貴重な一冊である。

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2011/05/29

生活感のある理想主義者の生き方に共感。 古本マニア的な資料の発掘で歴史を浮き上がらせる。 売文社=現在の編集プロダクション。「社会主義運動の「冬の時代」と呼ばれる苛酷な時期に同志の衣食を支えた、この売文社」「理想を追うためには、どうしても金銭が必要になる。その金銭を得るためには何...

生活感のある理想主義者の生き方に共感。 古本マニア的な資料の発掘で歴史を浮き上がらせる。 売文社=現在の編集プロダクション。「社会主義運動の「冬の時代」と呼ばれる苛酷な時期に同志の衣食を支えた、この売文社」「理想を追うためには、どうしても金銭が必要になる。その金銭を得るためには何か手段を講じるのは当然」(318p) 堺らの語学力 社会主義者への弾圧の過酷さ。 日露戦争の死者約8万人、総死傷者37万人以上 1903年東京市電・電車賃上げ反対運動と夏目漱石 幸徳秋水、堺利彦、片山潜 大逆事件で幸徳らが死刑になったことを知った直後の堺の描写はあまりに切ない。そのあと遺族を全国に訪ね歩いている。 「人を信ずれば友を得、人を疑へば敵を作る」(1908年7月25日付獄中書簡)(234p) 橋浦時雄 大杉栄と荒畑寒村による『近代思想』32p、3000~5000部。 堺に援助していた星一(星新一の父親) 宮地嘉六→1912年の呉海軍工廠の大ストライキで検挙・入獄、出獄後、売文社に。 ジャック・ロンドン『野性の呼び声』を翻訳した堺。 山川均と荒畑寒村は1917年から、売文社の筋向かいに服部浜次が経営する「日比谷洋服店」の2階を借りて毎週一回労働組合研究会を開催。さらに『労働者』という小雑誌を発行。 『民藝の仲間76 冬の時代』公演パンフレット

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