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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2010/08/30 |
JAN | 9784104280025 |
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商品レビュー
4.1
13件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
西洋の歴史小説を得意とする佐藤賢一が、なぜ幕末の日本を?と思ったら、鶴岡の出身なんですね。 長州藩に蹂躙されてぼろぼろになった会津藩と違って、薩摩と闘った庄内藩は、戦後もそれほど大きく所領を減らすこともなく、薩摩とも友好関係を結んでいたと聞いたことがありました。 そして、それが西郷さんの計らいだということも。 戦火を交えて一度も負けたことのなかった庄内藩。 日ごろはぼ~っとした顔で、のんびり呆けているように見えるが、何か事が起こった時には勇猛果敢に前線へと向かう。 だってそれが武士の仕事だから。 それが侍であることの矜持だから。 ほぼ史実に基づいているのに、小説のヒーローのように純粋で頭が良くて剣の腕もある庄内藩の重鎮(ただし若造)の酒井吉之丞。 沖田総司の憧れの義兄であるのになぜか自己評価の低い沖田林太郎。 この二人が交互に語る幕末の世相と庄内藩の藩士たち。 どう考えても庄内藩が朝敵になどなるはずがないのに、時代の流れが彼らをそうさせてしまった。 誰よりも先を見据えて、誰よりも庄内を、奥羽の人びとを守ろうと、命を賭して行動する酒井吉之丞。 圧倒的なスーパーヒーローなのは、小説だからとばかりも言えないのかもしれない。 事実庄内藩は負け知らずだったのだから。 それでも、時代の流れをひっくり返すことはできなかった。 たった一人でひっくり返せるほど、世の中は単純ではないのだから。 でも、無念だなあ。 なぜ戦わなくてはならなかったのか、いろんな本を読んでもわからない。 ただ私怨をはらしただけというには、あまりに被害が大きかった。
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戊辰戦争では会津藩の悲劇が多く語られますが、庄内藩の庄内藩や新徴組の勇猛果敢な行動を知ることが出来る小説です。山形県民ですが、この小説を読むまで庄内藩の活躍を知りませんでした。
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見事なエンタメ系歴史小説です。 2005-2007年に嵌った佐藤賢一さん、その頃は『傭兵ピエール』などヨーロッパを舞台にした歴史小説でした。それが今では日本の歴史小説に手を出されているようですね。知り合いのHPにあった『遺訓』のレビューを読んで興味を持ち、その前編となる『新徴組』...
見事なエンタメ系歴史小説です。 2005-2007年に嵌った佐藤賢一さん、その頃は『傭兵ピエール』などヨーロッパを舞台にした歴史小説でした。それが今では日本の歴史小説に手を出されているようですね。知り合いのHPにあった『遺訓』のレビューを読んで興味を持ち、その前編となる『新徴組』を手にしてみました。 最初はちょっと変わった「一人称ナレーション的な語り」文体にかなり戸惑いました。多くの人が「佐藤さん独特の」と書いているのですが、昔もこんなだったかしらん 流石に10年前だとすっかり忘れてます。 この文体のためもあって史実に沿いながら、どこか個を描くエンタメ小説の味わいになっています。 主人公の沖田林太郎は沖田総司の義兄(総司の姉に婿入りして家督を譲り受けた)です。総司らと共に浪士隊として京都に上洛、その後林太郎は清河八郎らと共に江戸に戻り、新徴組の隊員として江戸の警護を担います。どこか引き気味のオジサンなのですがね、ピンチとなると思い出したように決まってなかなかカッコいい。 面白くなるのは江戸開城の後に庄内に行ってからです。奥羽越列藩同盟と言うと会津が有名ですが、庄内藩も凄かったのですね。会津が悲劇的なのに対し、庄内藩は大富豪・酒田本間家の支援を得て洋式化し、官軍に連戦連勝します。その戦いを主導するのがもう一人の主人公というべき鬼玄蕃こと酒井玄蕃。どこか北方健三の『破軍の星』の主人公・北畠顕家を思わせる清冽な青年武将ぶりがとても魅力的でした。 佐藤さんは庄内藩の藩庁があった山形県鶴岡市出身(藤沢周平さんと同郷)だそうで、故郷の歴史を舞台にした物語でした。
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