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緑の家(下) 岩波文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 2010/08/19 |
| JAN | 9784003279625 |

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商品レビュー
4.1
28件のお客様レビュー
ペルーの奥地を舞台に、5つの話が並行して語られる。 アマゾンの奥地にいるインディオの子を連れてきて教育する教会を中心にした話。 インディオたちを騙したり襲ったりして金を稼ぐ日本人の話。 そのインディオたちから搾取しようとする権力者の話。 突然町に現れ、表題にもなっている「緑の家」...
ペルーの奥地を舞台に、5つの話が並行して語られる。 アマゾンの奥地にいるインディオの子を連れてきて教育する教会を中心にした話。 インディオたちを騙したり襲ったりして金を稼ぐ日本人の話。 そのインディオたちから搾取しようとする権力者の話。 突然町に現れ、表題にもなっている「緑の家」と呼ばれる売春宿を作った盲目のハープ弾きの話。 町の不良どもの話。 これらはそれぞれ絡み合って進行し、また、時間軸も数十年という厚みを持つ。 そもそも物語自体のボリュームが大きい。 そしてこれらの話が、当時のラテン文学の流行手法をふんだんに駆使して語られる。 時系列を無視した語りや行動主体の曖昧さ。これらがこの物語をさらに複雑にする。 さらには意識的であろう、登場人物を名字や愛称で読み替えたり、さらには同じ名前の子どもと老人が出てきたりもする。 時系列が混ざっているので、老人の子供時代の話をしているのかと思わせておいて、別人だったりする。 そんなわけで序盤はだいぶ難解である。何度も戻る。何なら上巻だけ3回くらい読む。 しかしこの作品のすごいところは、繰り返し読んでそれでも理解が曖昧で、わけがわからない部分があるにもかかわらず、先を読みたくなるところである。 すごい事件が起こるわけでもない。売春宿を中心に、あちこち悪い人間が悪いことをやったり、女性が可哀想な目にあったり、盛り上がるものでもなんでもない。 それでも、いや、だからこそなのかな。この町の人々がどうなるのか、この物語の語る先になにがあるのかが気になって仕方がない。 素晴らしいのは終盤である。読み手が、この複雑な物語の、そして複雑な語り方に慣れて来た頃。 「あ、このアキリーノはラリータの子供のほうね」くらいに頭の中にすべてがマッピングされてくる頃。 それを予想しているかのごとく、5つの物語を一つにまとめ始める。 このときの、頭に生じる感覚。断片がすべて一つにまとまっていくときの感覚。 うわーって思う。頑張って読んできてよかったーって思う。 数十年がすべて語られ、時制が現在に固定された終幕の余韻。 スラムの話。別にスラムから誰かがヒーローになるわけでもない。単にスラムで起こった数十年の話が残すこの余韻。 語り方の勝利だし、文章が持つ底力を見せつけられた、素晴らしい読書体験。
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ノーベル文学賞受賞のバルガス・リョサ氏の代表作。ピウラを中心としたペルー・アマゾン地域を舞台に、40年に渡る5つの物語を分解し時系列を変え交錯させ再構築して物語を紡いでいる。そのため一度で全体像を理解することはほぼ不可能。しかし終盤に向かってすべての物語が繋がり纏まっていく奇妙な...
ノーベル文学賞受賞のバルガス・リョサ氏の代表作。ピウラを中心としたペルー・アマゾン地域を舞台に、40年に渡る5つの物語を分解し時系列を変え交錯させ再構築して物語を紡いでいる。そのため一度で全体像を理解することはほぼ不可能。しかし終盤に向かってすべての物語が繋がり纏まっていく奇妙な感覚を味わる。初見は起承転結はほぼ分からないまま字面を追う読み方になろうが、それでも惹き付けられる不思議な魅力がある。作品の根幹がしっかりしている完成度の高さゆえだろう。ラテンアメリカ文学には知識習得や感情移入や娯楽性といったものとは異なる小説だけが持つ固有の表現手段を試す作品が多いが、その代表的作品といえよう。
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たしかバルガス=リョサは自伝『水を得た魚』で、登場人物について詳細なメモを書きながら、フォークナーの『野生の棕櫚』を読解していったと書いていた。彼はそのときの読書の快楽を思い出しながら、この複雑な構成の小説を書いたのだろう。わたしは完全にはあらすじ、人物相関図を把握できなかった。...
たしかバルガス=リョサは自伝『水を得た魚』で、登場人物について詳細なメモを書きながら、フォークナーの『野生の棕櫚』を読解していったと書いていた。彼はそのときの読書の快楽を思い出しながら、この複雑な構成の小説を書いたのだろう。わたしは完全にはあらすじ、人物相関図を把握できなかった。しかし、テーマが何だったかのほうが重要だ。たとえ狡猾に生きようとする密輸業者などがいても、彼らはしょせんは徒花であり、尼僧院や軍部という権力、権威にインディオなどの庶民が抑圧され、搾取され、廃棄されていくペルー社会がテーマだ。
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