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死刑台のエレベーター 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2010/07/30 |
JAN | 9784488143046 |
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死刑台のエレベーター
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死刑台のエレベーター
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商品レビュー
3.2
17件のお客様レビュー
これは、映画とは違い、映画以上にすばらしい話の展開でした! 謎解きではなく、心理スリラー。 主人公の思惑どおりに成功した完全犯罪が、主人公を違う罪に追いつめていく…うわー、こう来たか!と感心してしまいました… ジュリアン(軸となる登場人物) ジュヌヴィエーヴ(ジュリアンの妻) ...
これは、映画とは違い、映画以上にすばらしい話の展開でした! 謎解きではなく、心理スリラー。 主人公の思惑どおりに成功した完全犯罪が、主人公を違う罪に追いつめていく…うわー、こう来たか!と感心してしまいました… ジュリアン(軸となる登場人物) ジュヌヴィエーヴ(ジュリアンの妻) ジョルジュ(ジュヌヴィエーヴの兄) ジャンヌ(ジョルジュの妻) テレザとフレッド(ジュリアンの車を盗んだ若いカップル) メインはこの人たち。 びっくりしたのはジャンヌの行動です。 正直笑えましたが、当人は至って真剣… 映画を観たのが半年以内。初めて観つくすことができ、感動していた流れで図書館で借りました。 とても読みやすく、読み始めればさらさらと進むのですが、ジュヌヴィエーヴとフレッドがあまりにツライ性格で、今日は読もうかなー、どうしようかなー、と本を開くことに迷いがちだったので、読了に1ヶ月もかかりました。 そしてジュリアン、残念でした… 新版ですが、既に流通していないのがザンネン。
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設定の妙と、作中の女性陣の心理描写が印象的な作品。完全犯罪を実行した男と、若いカップル、交わるはずのない二組が破滅に向かっていく様は、単にミステリーやサスペンスとは言い切れない、アイロニー的なものがあったように思います。 会社を経営するジュリアンは、アリバイ工作と自殺偽装を施し...
設定の妙と、作中の女性陣の心理描写が印象的な作品。完全犯罪を実行した男と、若いカップル、交わるはずのない二組が破滅に向かっていく様は、単にミステリーやサスペンスとは言い切れない、アイロニー的なものがあったように思います。 会社を経営するジュリアンは、アリバイ工作と自殺偽装を施し、金の貸し手に対しての完全犯罪を実行する。しかし現場のビルのエレベーターに閉じ込められてしまい、身動きができない状況に。 同じころ、フレッドとテリザの若いカップルは、たまたま停められていたジュリアンの車を盗み、安ホテルに泊まることに。しかし二人の関係性は徐々に崩れ始め…… あらすじだけを知っていた段階では『古畑任三郎』ばりの倒叙ミステリーを期待したのですが、殺人を犯したジュリアンはエレベーターに閉じ込められてからは、めっきり影が薄くなり、その後はジュリアンの不貞を疑う妻と、テリザの視点が中心となります。 そのため、やや期待したものとは違ったのですが、それぞれの女性たちの不安定な心理や言動はなかなかに読ませる。ダメな男と分かっていながらも一方で愛に揺れ、切り捨てられない。 フランスの小説ということもあってか、恋愛に関する文章や言葉は情熱的で、それも相まりすごみを感じました。 そしてストーリーの終盤、ようやくエレベーターから脱出できたジュリアン。しかし彼を待っていたのは、身に覚えのない殺人事件の嫌疑。執拗な警察の取り調べと、現れる証言者たちに追い込まれ、ジュリアンは徐々に心のバランスを崩していき…… このジュリアンが追い込まれていく場面は、読み応え十分! 扉が乱暴に閉じられる音にびくついたり、徐々にやっていない犯罪を、自分がやったのではと、疑心暗鬼に陥ったり、そうした言動の心理描写が、非常によく書き込まれていたと思います。 それだけに、この部分に割かれたページが、全編を通してみるとあまり多くないのが、やや勿体ないとも感じてしまう……。 ジュリアン、そしてフレッドとテリザ。本編では直接顔を会わすことすらなかった二組が、それぞれに破滅していく。ミステリというよりも、その皮肉さというか、運命のままならなさが最大の読みどころなのかも。 そういう観点でも楽しめたのですが、個人的にはこの設定で、完全犯罪がアクシデントからじわじわと崩れ、犯人が追い込まれていくものが、読んでみたかった気持ちも、心の片隅に残っています。
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ノエル・カレフ1956年発表の小説で、翌年撮影されたルイ・マル監督の映画化によって、世界的な知名度を誇るミステリ。身も蓋もない話だが、個人的には両作含めて「死刑台のエレベーター」に関しては、映画音楽としては革新的ともいえる即興演奏によって、作品の価値をさらに高めたマイルス・デイヴ...
ノエル・カレフ1956年発表の小説で、翌年撮影されたルイ・マル監督の映画化によって、世界的な知名度を誇るミステリ。身も蓋もない話だが、個人的には両作含めて「死刑台のエレベーター」に関しては、映画音楽としては革新的ともいえる即興演奏によって、作品の価値をさらに高めたマイルス・デイヴィスの芸術に尽きる。当時モダン・ジャズに於いて既に頂点を極めていたマイルスだが、その前衛的でアンニュイなトランペットの響きは、人間心理の闇を照射するモノトーンの映像と融合し、虚無的なフィルム・ノワールの世界へと見事に結実していた。 カレフの原作は心理的な側面よりも、偶発的な不条理を核にしたもので、完全犯罪を為した男が予測外の側面から破綻していくさまをドライなタッチで表現している。経営者である主人公の男は同じビルに事務所を構える金貸し屋を殺し、返すあての無い借金の証拠を消し去る。だが、完璧なアリバイ工作を施した殺人計画は、時を同じくして動き出した見知らぬ若者らによって打ち砕かれていく。物語は、序盤と終盤でしか交差しない二つのエピソードを並行して描くのだが、最期まで互いを知らないままに両者とも同等の地獄へと墜ちていくというアイロニカルな結末によって、ありふれた勧善懲悪に終わらないフランス・ミステリの独創性を強烈に印象付ける。 余談だが、罪を犯すもう一人の人物が「実存主義者」と称されているのだが、ジャン=ポール・サルトルが提唱した実存主義とは全く相容れないものであることを付け加えておきたい。
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