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死刑台のエレベーター の商品レビュー

3.2

17件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2023/01/08

これは、映画とは違い、映画以上にすばらしい話の展開でした! 謎解きではなく、心理スリラー。 主人公の思惑どおりに成功した完全犯罪が、主人公を違う罪に追いつめていく…うわー、こう来たか!と感心してしまいました… ジュリアン(軸となる登場人物) ジュヌヴィエーヴ(ジュリアンの妻) ...

これは、映画とは違い、映画以上にすばらしい話の展開でした! 謎解きではなく、心理スリラー。 主人公の思惑どおりに成功した完全犯罪が、主人公を違う罪に追いつめていく…うわー、こう来たか!と感心してしまいました… ジュリアン(軸となる登場人物) ジュヌヴィエーヴ(ジュリアンの妻) ジョルジュ(ジュヌヴィエーヴの兄) ジャンヌ(ジョルジュの妻) テレザとフレッド(ジュリアンの車を盗んだ若いカップル) メインはこの人たち。 びっくりしたのはジャンヌの行動です。 正直笑えましたが、当人は至って真剣… 映画を観たのが半年以内。初めて観つくすことができ、感動していた流れで図書館で借りました。 とても読みやすく、読み始めればさらさらと進むのですが、ジュヌヴィエーヴとフレッドがあまりにツライ性格で、今日は読もうかなー、どうしようかなー、と本を開くことに迷いがちだったので、読了に1ヶ月もかかりました。 そしてジュリアン、残念でした… 新版ですが、既に流通していないのがザンネン。

Posted byブクログ

2020/11/24

設定の妙と、作中の女性陣の心理描写が印象的な作品。完全犯罪を実行した男と、若いカップル、交わるはずのない二組が破滅に向かっていく様は、単にミステリーやサスペンスとは言い切れない、アイロニー的なものがあったように思います。 会社を経営するジュリアンは、アリバイ工作と自殺偽装を施し...

設定の妙と、作中の女性陣の心理描写が印象的な作品。完全犯罪を実行した男と、若いカップル、交わるはずのない二組が破滅に向かっていく様は、単にミステリーやサスペンスとは言い切れない、アイロニー的なものがあったように思います。 会社を経営するジュリアンは、アリバイ工作と自殺偽装を施し、金の貸し手に対しての完全犯罪を実行する。しかし現場のビルのエレベーターに閉じ込められてしまい、身動きができない状況に。 同じころ、フレッドとテリザの若いカップルは、たまたま停められていたジュリアンの車を盗み、安ホテルに泊まることに。しかし二人の関係性は徐々に崩れ始め…… あらすじだけを知っていた段階では『古畑任三郎』ばりの倒叙ミステリーを期待したのですが、殺人を犯したジュリアンはエレベーターに閉じ込められてからは、めっきり影が薄くなり、その後はジュリアンの不貞を疑う妻と、テリザの視点が中心となります。 そのため、やや期待したものとは違ったのですが、それぞれの女性たちの不安定な心理や言動はなかなかに読ませる。ダメな男と分かっていながらも一方で愛に揺れ、切り捨てられない。 フランスの小説ということもあってか、恋愛に関する文章や言葉は情熱的で、それも相まりすごみを感じました。 そしてストーリーの終盤、ようやくエレベーターから脱出できたジュリアン。しかし彼を待っていたのは、身に覚えのない殺人事件の嫌疑。執拗な警察の取り調べと、現れる証言者たちに追い込まれ、ジュリアンは徐々に心のバランスを崩していき…… このジュリアンが追い込まれていく場面は、読み応え十分! 扉が乱暴に閉じられる音にびくついたり、徐々にやっていない犯罪を、自分がやったのではと、疑心暗鬼に陥ったり、そうした言動の心理描写が、非常によく書き込まれていたと思います。 それだけに、この部分に割かれたページが、全編を通してみるとあまり多くないのが、やや勿体ないとも感じてしまう……。 ジュリアン、そしてフレッドとテリザ。本編では直接顔を会わすことすらなかった二組が、それぞれに破滅していく。ミステリというよりも、その皮肉さというか、運命のままならなさが最大の読みどころなのかも。 そういう観点でも楽しめたのですが、個人的にはこの設定で、完全犯罪がアクシデントからじわじわと崩れ、犯人が追い込まれていくものが、読んでみたかった気持ちも、心の片隅に残っています。

Posted byブクログ

2017/11/29

ノエル・カレフ1956年発表の小説で、翌年撮影されたルイ・マル監督の映画化によって、世界的な知名度を誇るミステリ。身も蓋もない話だが、個人的には両作含めて「死刑台のエレベーター」に関しては、映画音楽としては革新的ともいえる即興演奏によって、作品の価値をさらに高めたマイルス・デイヴ...

ノエル・カレフ1956年発表の小説で、翌年撮影されたルイ・マル監督の映画化によって、世界的な知名度を誇るミステリ。身も蓋もない話だが、個人的には両作含めて「死刑台のエレベーター」に関しては、映画音楽としては革新的ともいえる即興演奏によって、作品の価値をさらに高めたマイルス・デイヴィスの芸術に尽きる。当時モダン・ジャズに於いて既に頂点を極めていたマイルスだが、その前衛的でアンニュイなトランペットの響きは、人間心理の闇を照射するモノトーンの映像と融合し、虚無的なフィルム・ノワールの世界へと見事に結実していた。 カレフの原作は心理的な側面よりも、偶発的な不条理を核にしたもので、完全犯罪を為した男が予測外の側面から破綻していくさまをドライなタッチで表現している。経営者である主人公の男は同じビルに事務所を構える金貸し屋を殺し、返すあての無い借金の証拠を消し去る。だが、完璧なアリバイ工作を施した殺人計画は、時を同じくして動き出した見知らぬ若者らによって打ち砕かれていく。物語は、序盤と終盤でしか交差しない二つのエピソードを並行して描くのだが、最期まで互いを知らないままに両者とも同等の地獄へと墜ちていくというアイロニカルな結末によって、ありふれた勧善懲悪に終わらないフランス・ミステリの独創性を強烈に印象付ける。 余談だが、罪を犯すもう一人の人物が「実存主義者」と称されているのだが、ジャン=ポール・サルトルが提唱した実存主義とは全く相容れないものであることを付け加えておきたい。

Posted byブクログ

2020/05/24

話はエレベーターからの脱出劇にとどまらない。 妻の行動が、彼の車を盗んだカップルが、そしてジュリアン自身の作為が、ずんずん事件をねじれさせてゆく。 ルイ・マル映画の原作。 映画もよかったけれど、周囲を巻き込んで取り乱すジュヌビエーヴや世をすねてるようなフレッド、宿の夫婦にいたる...

話はエレベーターからの脱出劇にとどまらない。 妻の行動が、彼の車を盗んだカップルが、そしてジュリアン自身の作為が、ずんずん事件をねじれさせてゆく。 ルイ・マル映画の原作。 映画もよかったけれど、周囲を巻き込んで取り乱すジュヌビエーヴや世をすねてるようなフレッド、宿の夫婦にいたるまで、それぞれの人物の味わいはこちらのほうがずっと深くていねいに描かれているように思った。 低い評価が多いようだけれど、話の展開を含め、私には最後までおもしろかった。 こういう終わり方も好き。

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2014/12/09

全然おもしろくなかったよ。 ほんまに、全然おもしろくなかった。 翻訳があかんのかな。 英語で読むべきなんやろね、やっぱり。 ありすぎる感嘆符が邪魔。 ほんま邪魔。緊迫感を全然感じなかった。

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2013/04/14

完全犯罪を成し遂げたと思いきや、唯一の証拠を消し去るべくエレベーターに乗った犯人。なんと途中で電源が切られてしまい、週明けまで一人暗闇に取り残されることに。彼が脱出を試みている間にそとの世界で起きていたこととは…。 映画化もされている有名な作品なのでネタバレとは言えないんでしょう...

完全犯罪を成し遂げたと思いきや、唯一の証拠を消し去るべくエレベーターに乗った犯人。なんと途中で電源が切られてしまい、週明けまで一人暗闇に取り残されることに。彼が脱出を試みている間にそとの世界で起きていたこととは…。 映画化もされている有名な作品なのでネタバレとは言えないんでしょうが、あらすじが話のほとんどになってしまっています。あとがきを読んでそういう解釈もあるかとは思いましたが、そこまで言わないでほしかった。エレベーターに取り残されている状態までであらすじを止めておいてくれたら、この出来事がどんなふうに最後まで絡んでくるのだろう、という楽しみができたのに。もちろんエレベーター内部での出来事より、その外で起きている出来事の方が読ませます。いつになったらエレベーターから出られるのかより、それぞれのカップルがどんな結末を迎えるのかが気になって。その辺がミステリとは違うサスペンスの魅力なんですが、エレベーターを出てからは消化試合のようになってしまったのが残念。何より、エレベーターに取り残されただけでは犯人だと特定されるわけないんです。むしろ早々に話してしまった方が犯人にとっては有利だったでしょうに。 それぞれの女性の悲しさをしっかり描いているのはさすがフランスの作品だと思いました。ダメ男だとわかってるのに離れられなかったり、誰かを羨むゆえに全てをぶち壊しても復讐したいと思ったり。イライラしつつも同情しました。

Posted byブクログ

2013/01/04

なんだか、登場人物のほとんどにイライラしていましたw。 内容的にはうまくまとめられていると思うんだけど、いかんせんイライラしてるもんだから頭に入ってもこず。。。翻訳がフィットしないだけかなぁ。。。 リメイクの映画は、アベカンだし吉瀬さんだから見たいです。

Posted byブクログ

2012/11/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2 退屈。 最初にあらすじを読んだときは面白そうだと思ったのだが…。 結果として、また不幸なことに、全体の5/6は単にあらすじを補足しているだけという構図になってしまっており、全くはらはらもどきどきもしない。終盤に意外なことが一つ起こるが、そよ風みたいなもので特に意味もない。期待を持たせておいて落とすパターンにしたかったのかもしれないが、さほど効果的だったとは思えない。最後まで読んでも特に何かあるわけでもなく、ありがちな終幕となる。 あらすじを読まなければ印象は変わっていたかもしれないが、読まないでは本は選べないし、裏表紙等に記載される意味もない。 映画は未見。

Posted byブクログ

2012/11/29

完全犯罪を実行したジュリアンは、無人のビルのエレベーターに閉じこめられてしまう。36時間後にようやく外にでた彼を待ち受けていたのは、まったく身におぼえのない殺人事件であった。アリバイはあるはずもなく、閉じこめられていた理由は決して明かせない。まったく関係のない3組みのカップルが偶...

完全犯罪を実行したジュリアンは、無人のビルのエレベーターに閉じこめられてしまう。36時間後にようやく外にでた彼を待ち受けていたのは、まったく身におぼえのない殺人事件であった。アリバイはあるはずもなく、閉じこめられていた理由は決して明かせない。まったく関係のない3組みのカップルが偶発的に絡み合い、解説にあるとおり全てを見渡せるものはひとりもいない。古いフランス小説だが、結構おもしろかった。

Posted byブクログ

2012/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

借金の返済に行き詰った挙句、高利貸しを射殺した主人公ジュリアン。犯行は完璧だったが、証拠となる忘れ物を取りに戻ったことで電源を落とされたエレベーターに閉じ込められる。その間彼の与り知らぬところで車が盗まれたり妻が大騒ぎしたりといつの間にやら大ピンチ。やっとの思いでエレベーターを出て証拠隠滅にまで漕ぎ着けた彼を待ち受けていたのは、身に覚えのない殺人容疑と妻からの離婚請求、更に義兄への詐欺容疑だった。 という訳で息もつかせぬサスペンスのような粗筋なのだが、読んでみると少し違う。ジュリアン以外の登場人物が(兄妹も含め)全員バカップルだからかもしれない。特にフレッドの馬鹿さ加減は出色とすら言っていい。テレザももう少し早く気付けば良かったものを。ちょうかわいそう。あとペドロもっとかわいそう。 犯行が完璧すぎた為にアリバイすら証明出来ず、妻には三行半を突き付けられ、憔悴しきったジュリアン。自業自得と言えばまあそれ以上でも以下でもないが、運命は全く皮肉だ。 ところでルイ・マルの映画は随分昔に一度観たが、すっかり忘れている。覚えていることと言えばツタヤで店員とひっそり勝負していた事だけだ。地元のツタヤでは、この映画があろう事かホラーの棚に置かれていたのだ。違うだろと思ってヌーベルヴァーグの棚に移動させて帰ったのだが、後日またホラー棚に戻されていた。これはと思い、またヌーベルヴァーグに置いて帰ると、次に行った時にはやはりホラーにされている。多分内容を知らず、『死刑台』だけで判断しているのだろう。それから何度かそんなことをお互い懲りずに繰り返したのだが、いつの間にかヌーベルヴァーグから動かなくなった。勝ったと思った。 邦画でリメイクされたのも含めて見直してみたいが、邦画はかなり地雷な予感。

Posted byブクログ