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ジャン・クリストフ(3) 新潮文庫
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ジャン・クリストフ(3) 新潮文庫

ロマン・ロラン(著者), 新庄嘉章(訳者)

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ジャン・クリストフ(3) 新潮文庫

定価 ¥704

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 1969/10/15
JAN 9784102128039

ジャン・クリストフ(3)

¥550

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2022/06/04

恋愛!それが自己献身の場合には、人間世界の中で最も神聖なものになる。だが、それが幸福あさりの場合には、最も愚劣で欺瞞的なものになる……。 「アントワネット」の章は、クリストフが探していた、あの家庭教師の女性の、生い立ちから語られるスピンオフ的な物語。あまりにドラマチックなあのす...

恋愛!それが自己献身の場合には、人間世界の中で最も神聖なものになる。だが、それが幸福あさりの場合には、最も愚劣で欺瞞的なものになる……。 「アントワネット」の章は、クリストフが探していた、あの家庭教師の女性の、生い立ちから語られるスピンオフ的な物語。あまりにドラマチックなあのすれ違いの裏に、これほどの事情があったことに驚く。ジャナン姉弟をみまった不幸に胸がつまり、壮絶な人生に息を呑んだ。 「家の中」の章では、ようやく邂逅をはたした真の友・オリヴィエとアパートの住人たちとの交流、戦争の危機、成功の兆しなどを越えて、クリストフは個人や民族・国家を超えたより大きな生命の世界へ魂を広げていく。次の章でわかるように、一緒に暮らすクリストフとオリヴィエには男色の気はない。であるが故に、あまりにも濃密で美しい友愛に感動を覚えた。 「女友達」の章では、いくつかの恋愛模様が描かれるが、いずれもヤキモキする展開。特にオリヴィエの恋愛の描写は痛切だ。男女が恋に落ちて絶頂期に至り、そのあと徐々に盛り下がっていく流れが克明に描かれており、利己的な愛情が行き着く絶望感がすさまじい。そして伏線の張られていたあの人物が登場したとたん、さらにどん底へ突き落とされたのにはまいった。しかし、だからこそ、彼らは真実の愛にたどり着いた……ラストの読後感はまさに圧巻のひとこと。この一冊だけで映画を何本も見たような密度・充実感だ。 冒頭にあげた抜粋だけではなく、多くの名文が目を引いたので、メモを残しながら読んだ。恋愛ではなく姉弟愛だったが、アントワネットの献身こそ神聖なるものであろう。

Posted by ブクログ