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文明が衰亡するとき 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 1981/11/01 |
JAN | 9784106002212 |
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文明が衰亡するとき
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商品レビュー
4.1
17件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
平成が終わろうとしている。日本衰亡を肯定するわけでないが、タイトルが気になり、81年発行の本書を再読した。そもそも本書は、巨大帝国ローマと通商国家ヴェネツィアの衰亡を20世紀のアメリカと対比しているのだが、ヴェネツィア衰亡の原因が昨今の日本に驚くほど当てはまる(特にp147,156あたり)。これは高坂先生も想定していなかったのではなかろうか。 「その都度目の前の問題に全力で立ち向い、解決して行くことは可能である。それが衰亡論を持った文明の生き方であり、われわれが衰亡論から学ぶものである(p82)」
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みんな大好き国家衰亡論。著者は、学者としては前原誠司や中西輝政が師事したことでも知られ、1960年代から80年代自民党のブレーンとして活躍した高坂正堯先生。 ローマ帝国、そしてヴェネツィアの成長と衰退、アメリカ、日本の行く末について説いている。 ローマ、ヴェネチアについては、国...
みんな大好き国家衰亡論。著者は、学者としては前原誠司や中西輝政が師事したことでも知られ、1960年代から80年代自民党のブレーンとして活躍した高坂正堯先生。 ローマ帝国、そしてヴェネツィアの成長と衰退、アメリカ、日本の行く末について説いている。 ローマ、ヴェネチアについては、国家の浮沈の流れを歯切れよく説いて一気に読める。 特に、ローマについては民主主義という政体が持つ国家への攻撃性、ヴェネチアについては経済的、地政学的な優位性が時代とともに変動する様をわかりやすく解説している。 ヴェネチアが、その成長期においては外国との通商を活発に推進し、その後衰退期に入ると進取の気性を失い不動産投資が流行したという対比は、本書の刊行(自動車生産台数で日本が世界トップになった頃)から数年後、日本もまた土地バブルに突入、さらに失われた20年へと突入することも併せて、読んでいて悲しくなってくる。 そして、アメリカ。 この本に出てくるのは、アメリカが最も自信を失っていた時期…カーター政権からレーガン政権に代わった直後のアメリカ。 ベトナム戦争の敗戦を経て、かつてのように圧倒的な力でゴリ押しができなくなったことを踏まえ、推進力を失ったかに見える超大国の力を分析している。 まぁ、その後のアメリカは冷戦を煽ってソ連を崩壊させたり、中東で戦争したり、ITなど新しい経済を興したりして、あんまり枯れた感じにはならなかった訳ですが、このサイゴンが陥落してから5年後という時代の空気は、そんな感じだったんだろうなぁ、と。 最後に、日本については、バランスの取れた現実的な路線を提言している。 36年前の政策決定の場にこういう人が居たんだな、という事実自体が過去に対する印象と認識を改めさせる内容だった。
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ローマ、ベネツィア、20世紀後半のアメリカ、衰微する文明を実に程よい距離感で概説している。著者はあまり目的意識を強く持たずに、どちらかというと純粋な知的好奇心に駆られて書いたそうだ。その言葉に従って、あまり目的意識を持たずに読んでみたら、その分色々と考える余裕が持てる気がする。 ...
ローマ、ベネツィア、20世紀後半のアメリカ、衰微する文明を実に程よい距離感で概説している。著者はあまり目的意識を強く持たずに、どちらかというと純粋な知的好奇心に駆られて書いたそうだ。その言葉に従って、あまり目的意識を持たずに読んでみたら、その分色々と考える余裕が持てる気がする。 字面を追いながら、気づけば今の日本について考えたりもするし、この本が書かれた当時の状況に思いを馳せたりするし、著者の視点に深く敬意を抱くこともある。気ままに思考が揺れていきつつ、それが楽しいと思えるような読書だった。 「〜せねば」という思考は、すぐに硬直してしまう。やっぱり頭が固いのは良くない。色んな方面にアンテナを張って、感度の高い人間でいたい。
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