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冬のライオン ナショナルジオグラフィックノンフィクション傑作選
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 日経ナショナルジオグラフィック社/日経BPマーケティング |
発売年月日 | 2010/07/05 |
JAN | 9784863131118 |
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冬のライオン
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商品レビュー
4
6件のお客様レビュー
冒険物語と言えば、一昔前までは未開の地の開拓と動物との交流と相場が決まっていたものだが、本書を読んでまず感じたのは、時代は移り変わったということである。全10話のノンフィクションのうち、3篇は紛争の地で活動する人々の話である。また、5篇は動物を扱っているが、環境破壊から動物を守ろ...
冒険物語と言えば、一昔前までは未開の地の開拓と動物との交流と相場が決まっていたものだが、本書を読んでまず感じたのは、時代は移り変わったということである。全10話のノンフィクションのうち、3篇は紛争の地で活動する人々の話である。また、5篇は動物を扱っているが、環境破壊から動物を守ろうと闘う人々の話もある。 取材対象となる人物は人道的であるとは限らないため、感情移入しづらいこともある。正義の解釈は民族や立場によってこうも異なるものなのだろうか。また、著者によって文体もまちまちで、淡々と事実のみを記述するものもあり、気軽に冒険を楽しむという気にはなれないかもしれない。ドキュメンタリーとはそういうものだと自分に言い聞かせて読み進んだほどである。 寄せ集めの感は否めないが、いくつか印象に残る話もある。私は「死の迷路からの帰還 原生林で迷ったときに生き残るための条件」が面白かった。山岳などでの遭難のメカニズムを科学的に解明しようとしており、唯一、役立ちそうな内容となっている。一方、「反捕鯨の戦いに命をかける海賊たち」は、日本の調査捕鯨を目の敵にして身体を張って戦うのはどんな人々なのかが分かり、実に興味深い。 航空機の発達は世界を狭くしたと言われるが、なんのなんの、世界は十分広い。安全なテリトリーから足を踏み出せば、現代社会でもまだ命がけの冒険が待ち受けているのだ。そう認識を新たにすることができたのが、何よりの収穫であった。
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白状する。衝動買いをした作品である。あ、「ナショナルジオグラフィック」 は好きな雑誌だし、迫力あるビジュアルと綿密なレポートは毎号、楽しみ にしている。 その「ナショナルジオグラフィック」が厳選したノンフィクションというだけ で十分に魅力的ではある。だが、本書の購入動機は他にあ...
白状する。衝動買いをした作品である。あ、「ナショナルジオグラフィック」 は好きな雑誌だし、迫力あるビジュアルと綿密なレポートは毎号、楽しみ にしている。 その「ナショナルジオグラフィック」が厳選したノンフィクションというだけ で十分に魅力的ではある。だが、本書の購入動機は他にある。 表紙のカバー写真だ。アフマド・シャー・マスード。アフガニスタンの 伝説の司令官の横顔は、内容以前に私を惹きつけた。 だって、大好きなのだもの。マスードが。そして、購入してから秀逸な ノンフィクション短編集であることに気付いたうつけ者である。 さて、内容。「極限の地からの報告」「野生動物をめぐる冒険」の2部 構成になっており、それぞれに5編のノンフィクションが収録されて いる。 私の購入動機となったマスードを描いた「冬のライオン」が冒頭。 マスード亡き後の反タリバンの雄・ドムタス将軍とアメリカ軍特殊 部隊グリーンベレーの信頼関係。今もアフリカで猛威をふるって いるエボラ出血熱と対決する国際医師団。遭難のメカニズムと 人間の心理。ホロコーストから逃れウクライナの洞窟で約1年 間を生き延びたユダヤ人家族。 伝説の人食いライオンの子孫かもしれないライオンの追跡。インド・ アッサム州では森林を追われたゾウが人家を襲撃する。日本の 調査捕鯨船を追い回すシー・シェパードと行動を共にしたレポ。 内戦の続くウガンダとコンゴのマウンテンゴリラ保護区に潜入。 南極のコウテイペンギンの繁殖地への訪問。 マスード好きとしては冒頭の「冬のライオン」だけでも満足なのだ が、もっと知りたいと感じたのは洞窟でユダヤ人虐殺の嵐をやり 過ごしたユダヤ人家族の話だ。 当時、子供だった生き残りの家族を探し出し、洞窟に潜んだ頃の 話を聞くだけではない。「司祭の洞窟」と呼ばれ、現在もウクライナ に残る洞窟に実際に足を踏み入れている。 この辺りが「さすが、ナショジオ」と感じさせられる。だって、当時の 話が聞ければそれだけでも文章は書けるのだもの。それに加えて 一家が生活した痕跡の残る洞窟にまで出かけ、当時使用されて いたと思われる石臼などを発見している。 これ、当事者が洞窟での生活を綴った作品を出版しているよう なのだが、日本じゃ入手出来ないのかな。英訳の自費出版 だから無理か。 インド・アッサム州の、人家を襲撃するゾウと、密猟により個体数 の減少が心配されるマウンテンゴリラの話は人間と野生動物の 共存について考えさせれられた。 あぁ、私はイタリアへ行きたいと思っていた。だが、本書を読んで 行きたい場所が増えた。アフガニスタンでマスードのお墓参りを して、ウクライナに洞窟を見に行って、コンゴでマウンテンゴリラ に魅了されたいし、南極でコウテイペンギンの繁殖を観察したい。 宝くじで10億円くらい当たらないかなぁ。あ、そもそも宝くじを買って ないから当たるはずがないか。 それにしてもカバー写真のマスード。いい顔をしている。ソ連軍を 相手にゲリラ戦を戦い抜き、次にはタリバンを相手に戦った歴戦 のツワモノなのに、こんなに笑顔が優しい。それが、マスードに 惹きつけられる理由の一つかもしれない。 尚、私はシー・シェパードは「環境テロリスト」だと思っています。 それは本書を読んでも変わりませんでした。
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戦場などの極限の地や、野生動物を追ったナショジオのアドベンチャーマガジンのドキュメンタリー以下10編を収録、ただし原著はこの倍くらいらしいが。 「冬のライオン」 アフガンでタリバンに対する抵抗勢力を率いるムジャヒディン、マスード 「軍閥のボスとグリーンベレー」 グリーンベレーの協...
戦場などの極限の地や、野生動物を追ったナショジオのアドベンチャーマガジンのドキュメンタリー以下10編を収録、ただし原著はこの倍くらいらしいが。 「冬のライオン」 アフガンでタリバンに対する抵抗勢力を率いるムジャヒディン、マスード 「軍閥のボスとグリーンベレー」 グリーンベレーの協力を受けタリバンと戦うドスタム将軍 「エボラウイルスと闘う人々」 ウガンダで発生したエボラと闘い自らもエボラに倒れたマシュー・ルクヤはじめとする医療関係者たち 「死の迷路からの帰還」 ピクニックやちょっとした散歩でも道に迷うと助からないこともある。気をつけるべきなのは低体温症。 「地下洞窟に身を潜めた人々」 ナチスから逃れ、ウクライナの地下洞窟で344日暮らした人々 「人喰いライオン追跡」 ケニア最大の国立公園ツァボ(殺戮の地)、1898年には2等のライオンが推定140人を食い殺した。 「震える大地」 5千頭の野生のゾウが暮らし、時に餌を求めて村を襲うインドのアッサム州では被害が無いことをゾウの神ガネーシャに祈る。 「反捕鯨の戦いに命をかける海賊たち」 日本の捕鯨船に自爆に近い体当たりをかけ操業を妨害するシーシェパードのポール・ワトソン。 「受難のマウンテンゴリラと対面するまで」戦乱のコンゴを取材するキラ・サラク 「極冠の地の皇帝たち」 コウテイペンギン繁殖地ツアー 日本からすればただのならず者にしか見えないポール・ワトソンの描き方がらしいと言えばらしい。日本側の見解も載せてはいるが、著者がワトソンよりなのは明らかで日本の調査捕鯨は偽装で実際には商業捕鯨であり、ワシントン条約にも違反し、南極海クジラ保護地域内で行われているとするワトソンの主張を首肯している。ワトソンは言う「国際的な法や規制や条約があるのだから、それを遵守させればいいんだ」と。自分がその法を無視したやり方で捕鯨船に体当たりしたり(実際にはぶつかるとシーシェパードの船が沈みかねないので捕鯨船の方が避けている)、ワイヤーをスクリューに絡ませて故障させようとしたり、酪酸入りの瓶を投げつけたりしているのだが。目的が正しければ手段は正当化されると言うのがシーシェパードのやり方だ。それを理性的かつ断固たるやり方と誉めるので中立の記事では無い。船長の妻が網を切ろうと潜り込んで逮捕された太地のイルカ漁に関しても原文では一桁多い2万3千頭、日本全体の捕獲漁と混同しているらしい。主張がどうあれ数字をきちんと検証できてないドキュメンタリーは割り引いて読まざるを得ない。一方的な見解を載せるだけではなく、もう少し裏を取った方が良いレポートになるのに。 日本側にも弱点はある。水産庁は調査捕鯨に関するQ&Aをウェブに掲載しているが肝心の調査結果の報告が貧弱なのだ。日本鯨類研究所のHPには94-99で行われたJARPN、87-05に行われたJARPAと言う二つの研究成果が報告されている。最新のレビューが06年のものだ。 http://www.icrwhale.org/Research_results_jp.html 個人的には内容以前にこの頻度では日本の調査捕鯨に学術的な価値が無いと言われても仕方が無いと思う。またリンク先の資料も英文レビューはともかく和文の簡単な方ははっきり言ってしょぼい。国際司法裁判所は2014/3/31南極海における調査捕鯨に対し即時停止を求める判決を下した。「日本の調査捕鯨は科学的な研究に該当しないから中止すべきである」と。この判決に日本の食文化を持ち出して反論するのは結局調査捕鯨が事実上の商業捕鯨であったと認め判決の正しさを補強することになる。争うのであれば調査の有用性、合理性を訴えるしかないはずだ。
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