杜甫100選 漢詩をよむ NHKライブラリー

石川忠久(著者)

• 販売会社／発売会社: 日本放送出版協会
• 発売年月日: 1998/12/25
• JAN: 9784140840948

商品レビュー

2010/12/29

漢詩といえば杜甫！ｗ
中国文学の代表者とも言える盛唐の大詩人、杜甫の作品100首。
NHK漢詩紀行の石川忠久による編集です。
盛唐を代表する詩仙・李白、詩仏・王維に対して、「詩聖」と呼ばれた杜甫の珠玉の作品集。
幼い頃に神童と讃えられ、政治への熱い思いを胸に栄達の道を目指したものの、挫折と戦乱によって各地を流浪して無数の名作を遺す。
安史の乱による激動、流浪の末に辿り着いた成都での幸福な生活、それにも関わらず望郷の念によって安住の地を捨ててまた流浪、そして李白との友情など、波乱に満ちた生涯に渡る名詩の数々。
「春夜喜雨（春夜、雨を喜ぶ）」、「蜀相」、「登岳陽楼（岳陽楼に登る）」、「春望」などの日本でもおなじみの名作も。

それにしても、偉大な文学者というのは実務家としてはほとんど役立たずだったようですね(^O^;
流浪の原因も、役人として不適格で出世できなかったから？
せっかく手にした幸福を捨ててまで帰郷しようとしたのは、ロマンチシズムが強い反面、現実の世界での判断力が鈍いからでしょうｗ

ニン、トン♪

2010/10/30

後世の賞賛とは裏腹に、杜甫の実人生は挫折に満ちていた。科挙に挑むも落第、引き立てを願って高官の屋敷に通い詰め、意に沿わぬへつらいもせねばならなかった。ようやく仕官が叶うも、安史の乱で官位を失い、家族とともに放浪を余儀なくされる。
しかし、そこから紡ぎ出される詩は古今に比類ないほど、すばらしいものばかり。恨みつらみを吐き捨て、自棄になってもおかしくない境遇にもかかわらず、自然を謳い、世の理不尽をするどく糾弾し、落ちぶれた自分すら透徹した眼差しで詩に詠む。
見習うなどおこがましいが、せめてじっくり味わっていきたい。