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思考の飛躍 アインシュタインの頭脳 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2010/05/25 |
JAN | 9784106036606 |
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思考の飛躍
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アインシュタインをメインに同時代の物理学者を織り交ぜながら、その物理的思考を丁寧に描いてみせている。教科書で、良く言えば見通しよく、悪く言えば表面的に学んだことも、その奥底には物理的思考が脈打っていることが腑に落ちる素晴らしい著作だ。 絶版なのは惜しい。 ただ、相対論や黒体輻...
アインシュタインをメインに同時代の物理学者を織り交ぜながら、その物理的思考を丁寧に描いてみせている。教科書で、良く言えば見通しよく、悪く言えば表面的に学んだことも、その奥底には物理的思考が脈打っていることが腑に落ちる素晴らしい著作だ。 絶版なのは惜しい。 ただ、相対論や黒体輻射など一通り学んだ者にしか理解できない面があることは事実で、その前提を明示しておけば、出版が続いたのではないかと思う。 天才にも試行錯誤があったことも興味深い。 ・基礎的な物理法則は「相対性原理」にかなっている(P43) ・特殊相対論は具体的な物理学の理論ではなく、あらゆる理論がローレンツ変換の下で不変(正確に言えば共変)になることを要請するメタ理論(P51) ・物質は宇宙が冷えて状態変化を起こした後に生じたという見方が有力だ。とすればアインシュタインのイメージとは逆に、物質は時空に従属していると考えた方がよさそうだ。(P103) ・不確定性原理は、粒子そのものの位置や運動量が確定していないのか、それとも人間の測定では位置・運動量の両方を確実に知ることができないだけなのか、当時ははっきりしていなかった。現在は前者(P161) ・ブラウン運動でも位置と運動量の不確定性関係があるが、原理ではない(P162) ・位置・運動量の不確定性関係が量子力学の原理から直接導出できるのに対して、エネルギー・時間の不確定性関係は、原子核の崩壊や素粒子の反応と言った個々のケースに関して導かれるだけ(P188)。不確定性関係は特殊相対論の要請を満たしていない。これを満たす試みは、ハイゼンベルグとパウリの1929年の論文で量子場の理論としての形式がほぼ完成した。 ・ベルの不等式の議論から分かることは、この世界は局所的かつ因果的でない法則に支配されている。(P198)
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今まで読んだ量子力学系の本では、アインシュタインは自ら扉を開いておきながら新しい考え方についていけずに晩節を汚した、といった書き方をされていたが、必ずしもそうではないのだということがわかる。ボーアとの論争の「真実」は興味深い。 「アインシュタインが目指したのは、ただ一つの基礎方程...
今まで読んだ量子力学系の本では、アインシュタインは自ら扉を開いておきながら新しい考え方についていけずに晩節を汚した、といった書き方をされていたが、必ずしもそうではないのだということがわかる。ボーアとの論争の「真実」は興味深い。 「アインシュタインが目指したのは、ただ一つの基礎方程式があり、それを解くと粒子・波動の二重性が自然に解かれるような理論を構築することである」というのは納得。ボーアの量子論は現象論に過ぎず、そこで立ち止まってはいけないのだ、ということなのだろう。 アインシュタインの発想力の源泉が熱力学と統計力学であること、相対性理論以外にもけっこういろいろな業績があることもこの本でほぼ初めて知った。
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アインシュタインが晩年に友人に宛てた手紙にある図。経験E→思考のジャンプ→仮説A→命題S→経験E。これが彼の思考だそうだ。特殊相対論の場合にはローレンツとポアンカレという先駆者がいたが、アインシュタインと先駆者とはエーテルの存在を仮定するかどうかで決定的に違っていた。そして一般相...
アインシュタインが晩年に友人に宛てた手紙にある図。経験E→思考のジャンプ→仮説A→命題S→経験E。これが彼の思考だそうだ。特殊相対論の場合にはローレンツとポアンカレという先駆者がいたが、アインシュタインと先駆者とはエーテルの存在を仮定するかどうかで決定的に違っていた。そして一般相対論の場合には思考のジャンプが過ぎて経験に至る命題が容易には見つからず(皆既日蝕の時の水星の変位などを除き)、統一場のときには数式の海にアインシュタインも呑まれてしまった。まだまだ後生のヒトのすべき仕事は残っている。
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