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漱石と世紀末芸術 講談社学術文庫
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漱石と世紀末芸術 講談社学術文庫

佐渡谷重信(著者)

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漱石と世紀末芸術 講談社学術文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 1994/01/11
JAN 9784061591103

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2014/01/11

 去年、東京藝大美術館で開催された『夏目漱石の美術世界展』は、漱石の作品のなかに登場している美術作品を実際に観賞できるとても面白いものだった。 とくに漱石は留学中のロンドンで観たラファエル前派の作品に魅力を感じたようだ。  漱石好きだし、ラファエル前派の絵も好きだし、というわ...

 去年、東京藝大美術館で開催された『夏目漱石の美術世界展』は、漱石の作品のなかに登場している美術作品を実際に観賞できるとても面白いものだった。 とくに漱石は留学中のロンドンで観たラファエル前派の作品に魅力を感じたようだ。  漱石好きだし、ラファエル前派の絵も好きだし、というわけで、この本を読んでみた。    学術文庫なのでとても詳しい。いろんな作品のいろんな箇所から、いろんな作品を引っ張ってくる。「坊っちゃん」のターナー島のくだりは特に有名だから、覚えているという方も多いだろう。(この本はラファエル前派に限って書かれた本ではないので、いろんな画家が登場してくる)    でも漱石の作品を読むときに、たぶん美術に注意して読んだという人はいないだろうから、こんなエピソードあったっけ?というものも多い。  『吾輩は猫である』にこんな美術評論談義あったっけ?とか 『こころ』にこんな描写あった? とか。『三四郎』や『それから』も『草枕』も読んだけど、こんな記述は記憶にございません、というものばかりだった。そもそも『倫敦塔』を読んだことなかった。この本は『倫敦塔』に関する部分が多いので、これは痛恨事だった。  また今では店頭では見かけることはできないが、漱石作品の単行本の装丁についても詳しく書かれている。装丁画家に対する漱石の注文などから、漱石の世紀末芸術に対する傾倒ぶりも伺えるし、変遷を追うことで、日本の当時の流行もわかって面白い。  漱石と世紀末イギリス美術が好きな人には楽しいと思う。  また、「芸術新潮」の2013年6月号が漱石展の特集をしているので、それを読んでもいい。というかむしろ、そちらを読んだ方がわかりやすいかも。  余談だが、ラファエル前派の絵は、いま六本木の森アーツセンターギャラリーで観れる。ミレイの傑作「オフィーリア」も今回来日している。数年前にも文化村で観たけど、こんなに近い期間にテート美術館が至宝を2度も貸出してくれることが不思議。財政難か?  とにかく観に行かないと損だ!

Posted by ブクログ