ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日 岩波文庫

カール・マルクス(著者), 伊藤新一(著者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 1994/10/01
• JAN: 9784003412473

商品レビュー

2024/05/28

稀代のジャーナリスト、カール•マルクスが、フランス二月革命と、ルイ•ボナパルトによる民主主義簒奪の歴史を、階級闘争の視点から克明に描く。
表題の「ブルュメール十八日」とは、1799年にナポレオン•ボナパルトが行なったクーデタのこと。
ブリュメールは、フランス革命期に使われた革命暦の秋、霧月。
西洋史の教科書には他に「テルミドール」(熱月)が出てくる。

二月革命から、ルイ•ボナパルトによるクーデタまでのフランスの政情を、ナポレオン•ボナパルトによるクーデタ、ブリュメールの十八日になぞらえて、「ら茶番劇」として描く。
1852年にマルクスは、前年に起こったルイ•ボナパルトによるクーデタを、極めて辛辣な筆致で描く。
ごろつきを集めて自分の親衛隊と成し、それを以て議会を恫喝、揺さぶる、全く以ていかがわしいルイ•ボナパルトの姿が活写される。
そんな男に易々と権力を渡してしまう情けない政治のシステムを嘲笑する。

フランスのブルジョワジーは、宿敵プロレタリアートとの抗争の最中に、ルンペン•プロレタリアートの親玉であるルイ•ナポレオンにしてやられたのだ。
しかし、この独裁者は民衆の拍手喝采で迎えられる。
それと全く同じく情景を80年後のドイツでも目撃しなければならないというのは、何という歴史の皮肉か。
ルイ•ボナパルトの独裁権奪取を茶番と見做したマルクスが、ヒトラーによる「正当なる」独裁権獲得を目撃したならば、何と称しただろう。

2023/09/06

原著はドイツ語、1852年刊行。

フランスの2月革命からルイ・ナポレオンの皇帝即位前までのフランス政治・社会について、階級闘争の観点から批判的に描く。
当時のフランスが各種の政党・派閥に別れて対立し、最終的にルイ・ナポレオンが果実を得る様子がわかる。

比喩表現が多用されていることや旧字体が多いこともあり、読みにくい。素直に新訳を読んだ方がよい。

2013/05/11

フランス革命、ナポレオンによる帝政ごに起きた２月革命からの３年間。ルイ・ナポレオンの大統領就任。各派閥による対立。ナポレオン３世誕生までの道のり。