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思い出袋 岩波新書
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思い出袋 岩波新書

鶴見俊輔【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2010/03/19
JAN 9784004312345

思い出袋

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商品レビュー

4.4

32件のお客様レビュー

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2025/01/05

戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、戦中・戦後をとおして出会った多くの人や本、自らの決断などを縦横に語る。抜きん出た知性と独特の感性が光るこの多彩な回想のなかでも、アメリカと戦争の体験は哲学を生きぬく著者の原点を鮮やかに示している。著者80歳から7年にわたり綴った『図書』連載「...

戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、戦中・戦後をとおして出会った多くの人や本、自らの決断などを縦横に語る。抜きん出た知性と独特の感性が光るこの多彩な回想のなかでも、アメリカと戦争の体験は哲学を生きぬく著者の原点を鮮やかに示している。著者80歳から7年にわたり綴った『図書』連載「一月一話」を集成。

Posted by ブクログ

2024/05/17

戦中からの戦後へと。著者の経験が語られ、出会い、影響を受けた本、体験。著者の記憶を追体験しながら、読み手も過去に出会い、鶴見俊介に影響を与えた構成要素に触れていく。 登場する本の一部を書き出してみる。 『余白の春』『何が私をこうさせたか』『詩人の愛』 『ゲド戦記』『釈迦』『反動...

戦中からの戦後へと。著者の経験が語られ、出会い、影響を受けた本、体験。著者の記憶を追体験しながら、読み手も過去に出会い、鶴見俊介に影響を与えた構成要素に触れていく。 登場する本の一部を書き出してみる。 『余白の春』『何が私をこうさせたか』『詩人の愛』 『ゲド戦記』『釈迦』『反動の概念』 『おだんごぱん』『星の牧場』 『思い出の作家たち』、漫画の寄生獣なんかの話も出てきて、大正生まれの著者の読み物として、その柔軟さと共になんだか嬉しくなる。 言葉は読み、なぞり、発し、いつの間にか自分のものになる。染みつき、思考化し身体化される。そんな要素が伝わってくる。 例えば、金子ふみ子。 ー 今この時は永遠の中に保たれるという直観、キルケゴールの永遠の粒子としての時間という直観と響き合う。 内山節。鶴見俊介はこれに感動した。 ー 1950年代から狐にばかされる日本人はいなくなった。大陸から仏教が日本に伝わった時、年月をかけて本地垂迹説現れ、山や川、草木自然が村の信仰となり、狐はその一部であった。狐にばかされなくなったのは、それまでの信仰が消えたということ。 トクヴィル。 ー 自分の富の増大と地位の向上を目指すことが、人間の使命だというような精神が社会を覆っていた。 読み手には二次的な影響だが、しかし、大正時代から生きた人間の語りには少なからず真理が含まれ、それは古典のようでもあり、ありがたく読んだ。

Posted by ブクログ

2024/01/29
  • ネタバレ

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 著者の本はお初。哲学者、思想家とのこと。  御齢80を超え、自身の戦中戦後の過去を通じて、知り得た知識や思索を重ねてきた思いなどを、自由闊達に語り尽くす。「一月一話」という連載ということは、月に1話、年間12話。それを7年間にわたり綴った、ある意味「知」の結晶だ。  2015年に亡くなられているので、最晩年の著者の、遺志に近いものだろう。 「少しずつもとの軍国に近づいている今、時代にあらがって、ゆっくり歩くこと、ゆっくり食べることが、現代批判を確実に準備する。」 「ところが歴史のない国、正確には先住民の歴史の抹殺の上につくられた開拓民の国アメリカでは、「金儲けの楽しさ」は妨げるものをもたずに展開していくことになる。」  2010年の著作、連載時期はさらにその前ではあるが、まさに現代に対する警鐘のような言葉が綴られていることに驚く。  〈もうろく貼〉という備忘を付けているという話も興味深い。からだの衰え、忘却のかなたへ消えゆく記憶と、いかに折り合いをつけて老いてゆくかの感慨も綴られる。  教育への不安と期待は、後世に送る切なる思いであろうとも思う。 「大学とは、私の定義によれば、個人を時代のレヴェルになめす働きを担う機関である。」  と、横並びの、金太郎飴しか作らない日本の教育への懸念はそうとうなもの。 「もし大学まで進むとして、十八年、自分で問題をつくることなく過ぎると、問題とは与えられるもの、その答えは先生が知っているもの、という習慣が日本の知識人の性格となる。今は先生は米国。」  青年期に米国留学もした著者ではあるが、今のアメリカの存在にも、要注意と語りかける。

Posted by ブクログ