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アフガン農業支援奮闘記
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アフガン農業支援奮闘記

高橋修【編著】

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アフガン農業支援奮闘記

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 石風社
発売年月日 2010/03/01
JAN 9784883441846

アフガン農業支援奮闘記

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2016/09/23

2008年8月、アフガニスタンで1人の日本人青年が殺害された。彼は農業技術普及のために現地で活動していたペシャワール会所属のワーカーだった。伊藤和也、享年30歳。現地の人々のために奔走した彼が、なぜ殺されなければならなかったのか。政治か、宗教か、それとも化石燃料に依存する私たちの...

2008年8月、アフガニスタンで1人の日本人青年が殺害された。彼は農業技術普及のために現地で活動していたペシャワール会所属のワーカーだった。伊藤和也、享年30歳。現地の人々のために奔走した彼が、なぜ殺されなければならなかったのか。政治か、宗教か、それとも化石燃料に依存する私たちの“文明”のせい? 本書は、普及活動の指揮をとった高橋修氏と仲間たちによる6年間にわたる苦闘の記録である。中村哲医師が主催するペシャワール会は医療支援をベースにアフガニスタンで活動を始め、現在では「命を守るには水が必要」という信念のもと、運河や灌漑設備の建設を行っている。農業技術の試験、普及活動はその延長線上にある活動の要石といえる。 アフガニスタンは山岳地帯に点在する部族によって成っていて、国家のガバナンスはとても弱い。度重なる戦争や旱魃によって大地は荒廃し、水源は次々と枯れつつある。このような土地に、温暖湿潤の日本の農業技術がそのまま転用できるわけではない。 またアフガニスタンの人々は人懐っこく客人を手厚くもてなすことで知られるが、いざともに働くとなれば話は別。金や種子を無心するも者、試験作物を堂々と盗んでいく子供たち。さらに土壌酸度の異常や、予期せぬ病害虫の発生に活動は思うように進まない。 それでもペシャワール会のメンバーは現地のコミュニティに徐々に溶け込み、自然に翻弄されながら少しづつ試験栽培を成功させていく。日本米、小麦、サツマイモ、茶、ぶどう……灌漑設備の建設と合わせて、ペシャワール会の活動は、日本人ワーカーの熱意に感化されたアフガン人に手によって少しづつ進んでいった。 そんな最中に殺害事件は起こった。現地情勢の悪化もともない、彼らは志し半ばで撤退を余儀なくされた。巻末には伊藤さん殺害を防げなかったこと、そして道半ばで撤退せざるをえないことの無念さが書きつけられていて、胸が痛む。 撤退から1年後、メンバーの1人が現地で共に働いた農家から国際電話を受ける。 「日本の皆は元気か? ミスター・タカハシは元気か? ミスター・イトウの家族は元気か?」「……日本米の新米は中村先生のところに届けた。サツマイモもお茶に合う甘い芋がとれた。子に冬のサツマイモに保存も去年やった通りに管理している。エン麦の種子も新規に希望する農家たちに配ってある。大丈夫だ。農業計画はちゃんと前進させているぞ……」p.339 きっと、本当の情熱はいつだって約束を守る。国境を越えて、人々は生きるための技術はつないでいくことができる。ただし、それを壊すのは資源収奪に端を発する国家的暴力と、そこから始まる憎悪の連鎖だ。あるいは、根源的な人間の欲望を野放図にい育てるシステムといえるだろう。 僕もいつの間にか、伊藤和也さんと同じ年齢になった。そして今、あのとき彼が何を思って死んでいったのか、必死で思いを巡らせている。

Posted by ブクログ

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