判決 法廷ミステリー傑作集 徳間文庫

山前譲【編】

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 2010/03/04
• JAN: 9784198931339

商品レビュー

2015/01/07

古本屋で発見した絶版もの

　古いのにすばらしい展開を見せる「奇妙な被告（松本清張）」。トリックに凝った作品が多い中、これはスッキリしたなぁ。

　少し無理っぽくスッキリしないけど、途中はいったいどうなってんの？とひっぱられる「手話法廷（小杉健治）」。これもありかな。

　「証言拒否（夏樹静子）」は楽しみにしていた作品。夏樹静子って作家さんが初めてだから。奇抜さはないけど、期待通りのきっちりしたストーリーで満足。

　DNAを扱う「鑑定証拠（中嶋博行）」は少し変わってるなぁ。でも、ユーモアがあって良いかも。

　あまりに突飛で、出来過ぎの「死者は訴えない（土屋隆夫）」は評価しづらい。オチが身内でなければまだ良かったかなぁ。

　既読の「密室の人（横山秀夫）」も少し偶然に頼り過ぎで興醒め。

　全体的にはとても楽しかった。満足だ。

2013/07/02

法廷ミステリー　２００９年より裁判員制度が、導入されて、余計に、沢山本が出ている。
和久俊三、夏樹静子、松本清張、、、大好きだった。

今回は６編。
松本清張『奇妙な被告』
金融貸しの老人殺人で、犯人の自白が、あるにも関わらず、貧乏国選弁護士が、自白強要の一つずつを被告人の証言により、取り崩して行く無罪を勝ち取るのだけど、、、、ある本の、英国裁判官の「無罪判決の事例研究」で、本当は、被告人が、犯人だった可能性が大！！という結果に、ビックリ。

小杉健治『手話法廷』
聴覚の不自由な原告と、健常者から事故で、車いすの生活になった会社の者の通訳によって、、、車いす生活者の妻の不倫からの事件であった。
ハンディキャップを持った者と健常者からの目線が、良く分かる。

夏樹静子『証言拒否』
朝吹亜矢子シリーズである。
身内が、自分の証言により悪くなるので、証言拒否をしていくのだけど、犯人が分かってしまって残念。

中島博行『鑑定証拠』
DNA鑑定の分かりやすい説明に、、なるほど、、、と、思いつつ読んだのだが、読んだ後に、その説明を完全に忘れてしまった。（笑）
しかし、相続排除になった者でも、妻子が、いなくても養子縁組で、代襲相続が、出来る裏システム、悪用されないか心配。

土屋隆夫『死者は訴えない』
裁判長が、間違った判決により、無実の者を死刑にしてしまうのに、其の犯人が、事故死した自分の息子であったため、自決してしまうのである。
しかし其の遺書は、博士のポケットにしまわれてしまう。

横山秀夫『密室の人』
裁判長が、裁判中、居眠りをしてしま失態をしてしまう。
睡眠薬を入れたのは、若い２番目の妻。
茶道の「茶の湯は形でなく、もてなしの心です」と、、、仕事人間の陥った
奈落。
本人にしては、悲しすぎるね。
仕事一生懸命して、妻に逃げられ、仕事は左遷寸前！
裁判官でも、普通の人間なんだから。

次の傑作集を楽しみに！！！

2010/09/06

(収録作品)奇妙な被告（松本清張）／手話法廷（小杉健治）／証言拒否（夏樹静子）／鑑定証拠 使用凶器不明（中嶋博行）／死者は訴えない（土屋隆夫）／密室の人（横山秀夫）