ユイスマンスとオカルティズム

大野英士【著】

• 販売会社／発売会社: 新評論
• 発売年月日: 2010/03/10
• JAN: 9784794808110

商品レビュー

2023/09/03

著者の計り知れない努力と誠意によって結実したユイスマンス作品読解の傑作大著。
ユイスマンスだけでなく、「神の死」を十分に理解しながらも、グローバル化や進歩主義、科学の万能性や増え続ける資本主義の台頭に対して取らざるを得なかった十九世紀の人間たちをも文化的、社会学な見地から精緻に分析していく。
大革命以降のヨーロッパの人々が抱いた生に対する不安が、オカルトや神秘主義に結実する。
十九世紀ヨーロッパは面白すぎる。
「流体」というモチーフは色々通用しそう。

2010/08/25

長らくあの『さかしま』を書いたユイスマンスが、どこでどうしてどうなったのか理不尽で不可解だったのが、ここにきて一挙にこの本で解決されようとしているわけですが、私が読むのは28日からです。なにしろ、27日いっぱいはとことん戦争ディ、戦争に関する本しか読まないと決めて6年。ようやく水木しげるのように、あの戦争での死は無駄だった、みんな犬死だったんだということに身も心も変化してきたのでした。だからこそ、そうならないために二度と戦争を起こさないためにどうすればいいのかを、生きている間に追究し確立すること。