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オルテガ 随想と翻訳
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 松籟社 |
発売年月日 | 2009/12/28 |
JAN | 9784879842763 |
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オルテガ
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商品レビュー
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2件のお客様レビュー
英国がもっとも平和主義に堕した戦間期を論ずる「平和主義考」は玩味熟読に値。日本人が抱く漠然とした平和主義を再考するにも有益。ハイネ研究で知られる訳者の解説や戯言はいっさい黙殺してよいと思う。
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本書には『大衆の反逆』などで知られるスペイン出身の哲学者ホセ・オルテガの著作のうち、『平和主義考』(1937年)、『大学の課題』(1930年)、『狩猟についての瞑想』(1942年)の三作の邦訳と、それぞれについての解説が収められている。 『平和主義考』は当時の時代性を繁栄し...
本書には『大衆の反逆』などで知られるスペイン出身の哲学者ホセ・オルテガの著作のうち、『平和主義考』(1937年)、『大学の課題』(1930年)、『狩猟についての瞑想』(1942年)の三作の邦訳と、それぞれについての解説が収められている。 『平和主義考』は当時の時代性を繁栄してか、「英国の平和主義者」の誤謬性をオルテガは指摘する。すなわち、「戦争とはある条件下の問題を解決するために人間の創り出した道具であり、平和とは戦争をなくせばそのままその空白に現れるものではない。問題は残り続け、代案を示さぬ限りどこかで解決を迫られることとなる」という主張である。一方でオルテガはヨーロッパの現状が平和とはほど遠いことを認識した上で、それでも「ヨーロッパという集合体」の持つ共通の言語性ゆえ、ヨーロッパの平和はもたらされうると説く。 第一次世界大戦から第二次世界大戦までの戦間期における平和主義政策の問題点については、有名なE.H.カーの『危機の20年』をはじめ、ウィルソンの十四か条も交えて、理想論と戦勝国に利する欺瞞性との差異を強調する説が主流である。それに対してオルテガはより普遍的な意味で、戦争を排除すれば即座に平和が訪れるという楽観論にたいする批判を試みているのである。 『大学の課題』は現在の視点からは、ごくありふれた議論が展開されているように見える。ただしその論理をどれだけ深く認識していようとも、それを現実の物とできるかは別問題だが。むしろオルテガの批判に対して、日本の大学機構はどれだけの反論ができるのだろうか。 オルテガは、大学改革において他国の風土に根ざし、そして多くの場合その民族的・社会的性質にそって欠点を含んでいる海外の大学生をそのまま取り入れることの愚かさを真っ先に指摘する。そのうえで、大学の機能における研究と教育は別物だと解く。学問とは真に希有な才能を持った人間がもたらす創造の果実であり、「それらに精通していることは学問とはなんの関わりもない」。そして学問に携わる資質を持つ人間は数少ないために、大学一般は「普通水準」の学生に教養を授け、よき社会を構築する社会人を養成することに主眼を置くべきだとする。そしてよき研究者は多くの場合教育者としては優れていないために、この過程の分離の必要性も併せて主張する。 『狩猟についての瞑想』はオルテガが友人イェベス伯爵の自著『大物狩りの20年』の序文として寄稿したものである。「暇をもてあました貴族的人類にとって普遍的に高貴とされる行為」である狩猟について、オルテガは古代人の「仕事をそのまま生自身として捉えることが出来た」時代への回帰と捉える。一部フランス革命を巡る歴史認識などに細かな事実関係の誤りが見られるものの、特に前中盤で展開される「狩る者、狩られる者」の関係性についての鋭い考察は、生物を哲学的に論ずる上で鮮烈な視点を与えてくれるだろう。 全編を通して、徹底した「現体制への批判論者」であったオルテガの姿勢はぶれることはない。また、この三編はそのまま長い平和と豊かさの中で暮らす現代日本人への批判にも重なる。その意味で、本文をあえて訳出した著者の慧眼は素晴らしい。
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