- 中古
- 書籍
- 文庫
ソフィー 創元推理文庫
定価 ¥946
220円 定価より726円(76%)おトク
獲得ポイント2P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2009/11/20 |
JAN | 9784488102029 |
- 書籍
- 文庫
ソフィー
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
ソフィー
¥220
在庫なし
商品レビュー
3.7
30件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
杉江松恋さん著『海外ミステリーマストリード100』より。 2009年初版(単行本版は1998年)だという比較的新しい本だが、全く知らなかった。 弱冠22歳で上梓されたという本書。 早熟の天才と評されるのは、奇しくも先日同じきっかけで読んだアイラ・レヴィンと同じ。 邦訳著書としては、後は『穴』(『体験のあと』の改題)のみの作家。 凄い緊迫感だ、これは。 楽園の崩壊がテーマとのこと。 弟のマシューが姉ソフィーを薄暗い家に監禁し、苛立ち紛れに手を上げつつ、過ぎし日の出来事を苦々しげ振り返る場面に始まる。 幼き日々、両親はほぼ毒親といっていいほど姉弟の世話をせず、マシューは姉のソフィーにべったりだった。 決して恵まれてもおらず、周りからは浮き気味だったが、姉という確固たる碇に支えられ、自分たちだけの世界が構成された楽園のような日々だった。 だが、その楽園はもはやない。 過去の思い出語りの合間に、今や立場が逆転した現在の2人の会話が挟まれる。 あの頃の日々の出来事はどんな意味を持っていたのかが意味深に、そして不穏に形取られていく。 主導権を握るマシューの隙を狙い、なんとかこの場から抜け出そうとソフィーは画策するが。。。 終始不穏な空気感が続き、あまり起伏がないので終盤手前でちょっとだれる。 ただ、ページ数は少ないので一気に駆け抜けるのが良し。 真相が明らかになった読後、かえってあれはどういう意味だったのか?という疑問というか余白がたくさん残されているような気がして2度読み或いはネタバレ考察サイトを探したくなるような一冊。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
二つのパートが交互に展開する。 一つは弟マシューが2歳上の姉ソフィーと過ごした5歳から12歳までの過去。自然豊かな田舎で、両親に干渉されない(育児放棄?)姉と弟の一見楽園のような日々。 もう一つは現在時、蝋燭だけが灯りの密室で、マシューは上記の話をソフィーに対して聞かせる。ソフィーは殴られ、手首は縛られている。 叙述に仕掛けがある。 終盤にようやく現在時の二人の関係が明らかにされる。 しかし少年時の多くの謎、育児放棄の理由やソフィーの言動の数々については明示されない。マシューが語る断片的な情報をつなぎ合わせて読者が想像するしかない。 以下、私見。 母親曰くソフィーは「怪物」。高い知能を持っているがそれを隠している。弟である赤ん坊を殺害している。彼女は大人になりたくないが子供のままでもいたくない。だから14歳で死を望んだ。姉に心理的に支配されていた弟は彼女の謎を解明したくて女性を廃屋(実家跡)に連れてきては対話をして満足いかないと殺しているサイコパスな殺人者。 母親とソフィーの関係、夢に出るお化けの正体、なぜ赤ん坊を殺したのか、従姉が示した「もう一つの可能性」とは、少年たちと姉妹の関係(興味本位で性交していた?)、最後の章の内容などは俺にはよくわからなかった。ソフィーはマシューの脳内姉で彼の妄想でしかないのかとも思ったがケイトリンをはじめ他者も言及しているので実在していたと見てよさそう。彼女が言った「幽霊屋敷」的発言の意味は? 過去パートに中立的な第三者の視点が欲しかった。 全体的に情報が少なすぎ、思わせぶりすぎ。もう少しわかるように書け、と思った。文章がいいので最後まで飽きずに読めるが読み終えて話の中途半端さに落胆。 楽園喪失的な言及に違和感。過去パートが、犯罪的で異常な現在時と交互で叙述されるせいで不穏さがすごい。郷愁なんて微塵も感じられない。ソフィーの言動も気味悪く、ファム・ファタール的な話と自分は受け取った。
Posted by
留守がちな父親、埃っぽい客間に閉じこもったまま子供の世話をしようとしない母親。七歳の聡明な少女ソフィーは五歳のマシューとともに二人だけの楽園を創って生きることにした。 大好きな題材である楽園崩壊ものなのだが、楽園を自ら去った者、崩壊した楽園にいつまでも囚われ続けている者の構図でも...
留守がちな父親、埃っぽい客間に閉じこもったまま子供の世話をしようとしない母親。七歳の聡明な少女ソフィーは五歳のマシューとともに二人だけの楽園を創って生きることにした。 大好きな題材である楽園崩壊ものなのだが、楽園を自ら去った者、崩壊した楽園にいつまでも囚われ続けている者の構図でもある。我々は幼年期の追憶と幼年期が終わった果てのダイアローグを垣間見ることによって過去と現在とを行き来し、楽園崩壊への真相を探っていく。 文章に無駄が一切なく、全文するすると滑っていくように読めてしまうが、ラストを飾る第十五章で妙に引っ掛かりを感じてしまうのも、バートの業なのだろう。この部分はわずか数ページにしかすぎないものの、この部分があるばっかりになぜ? なぜ? の連続になってしまう。 今まで体感してきたことは何だったのか? この本の存在すら幻のように思えてしまう。
Posted by