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中流社会を捨てた国 格差先進国イギリスの教訓
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2009/09/10 |
JAN | 9784492222997 |
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中流社会を捨てた国
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5件のお客様レビュー
よその国についてその社会に飛び込もせず本だけ読んで知ろうなんて我ながら虫がいい…と思いながら、斜め読みしていたが。 冒頭は『ファイナンシャル・タイムズ』紙の土曜版に付いてくるゴージャスな付録カタログについての記述。でも本当にお金持ちって、土曜の朝からこういうの見て「あら、コレいい...
よその国についてその社会に飛び込もせず本だけ読んで知ろうなんて我ながら虫がいい…と思いながら、斜め読みしていたが。 冒頭は『ファイナンシャル・タイムズ』紙の土曜版に付いてくるゴージャスな付録カタログについての記述。でも本当にお金持ちって、土曜の朝からこういうの見て「あら、コレいいわね」ってポチッとしたりするの??実際には購買力のない層か眺める用だったりはしないのかなあ。 「第5章 相続されていく貧困」が衝撃的だった。 世代を超えて引き継がれていく貧困。困窮家庭への公的支援って、少なくとも私は、小中学生が対象だと漫然と思っていた。ところが幼児教育の専門家による調査では、既に3歳の時点で一定ラインに到達していない場合、学校教育は「砂上の楼閣」になってしまうという。じっと座っている、ある程度の集中力を持つ、ルールを守る、人の話を聞く…確かに読み書きそろばん以前の話だ。「幼児教育」ってお受験のことじゃないの…と思う私は、平和日本の恩恵に知らず預かっているのだな。
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「プーチン最後の聖戦」でグリーンスパンの回顧録が出てきており、それで検索をかけたらイギリスの経済の本が関連本として出てきた(市場原理主義の害毒)。そこから、そう言えばイギリスってどうなんだっけ?と思って関連本をamazon検索してたら出てきた。
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第5章「相続されていく貧困」で示された内容が、特に興味深い。 アメリカの研究によれば、子どもがどんな社会階層に属することになるか、そしてどんな人生を歩むかは、幼少期にどんな言葉で話しかけられていたかと密接な関係があるという。 つまりこういうことだ。言葉は思考の基本ツールであり、複...
第5章「相続されていく貧困」で示された内容が、特に興味深い。 アメリカの研究によれば、子どもがどんな社会階層に属することになるか、そしてどんな人生を歩むかは、幼少期にどんな言葉で話しかけられていたかと密接な関係があるという。 つまりこういうことだ。言葉は思考の基本ツールであり、複雑な世界を理解するための基本的な道具である。そして人間は脳を成長させる生後2,3歳までの間に、言葉や、言葉の包含するあらゆる概念、感情、豊かな文化を吸収する。 なので(ここからが驚きだが)このわずか2,3年の間に親などから愛情を注がれ、きちんとほめられ、物事の理由を説明された子どもと、言葉を親からあまりかけられず、かけられても叱責など否定的な言葉が多くを占める子どもとの脳の成長を比較すると、明らかな差が見られたという。 さらに驚くべきなのは、追跡調査によると、その差はのちの学校教育では埋まることはなく、つまり学校に入ってからいくら挽回しようとしても手遅れであると考えられるということである。 これには自分の周りでも思い当たらないわけでもない。 ベビーカーの子どもと目も合わせず、ひたすら携帯電話の画面ばかり見ている親。公共の場所で子どもが泣きわめいても知らんふりを決め込み、視線を感じたら「周りの迷惑でしょ。やめなさい」とか勘違いしてキレてる親。経験上誰もがわかるはず。「親自身がたぶん愛情を受けないで成長した可哀想な人間なんだろうけど、その子どもの将来もロクなものにならないだろう・・」 子どもの生活能力は、親の所得や経済力によって、まるで相続されるように引き継がれる、という話自体はよく聞くが、だからって、例えば上記のバカ親に仮に1000万円を「子どもの成長のために」とポンと手渡しても、子の成長結果はおそらく変わらないと思う。 つまり、貧困相続の原因は親の所得にあるのではなく、親の人間としてのバックボーンにあると思う。実際、野口英世の親は貧しかったが、英世の業績は親の貧乏や無学に関係ない結果だったというのは誰もが知る通り。上記の「子どもの生活能力は親の経済力によって相続みたいに」云々ってのを鬼の首をとったかのように持ち出す人をよく見聞きするけど、野口英世の例で見ればわかるように、一慨に言えないってことがわかるでしょ? 私が言いたいのは、親の低い生活能力が子へ相続される原因が、親の所得などの経済的問題だけじゃなく、社会的文化的背景などもっと根が深くて複雑なものに起因するんじゃないかってこと。 この本はイギリス政権への政策提言的な色が濃いため、貧困層の固定化問題でも様々な制度改革案が書かれているが、それを読むと「子ども手当」みたいなバラマキ政策は、コストが十分な効果につながるとは限らず、一番してはいけないってことだけは、わかった。 (2011/7/16)
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