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害虫の誕生 虫からみた日本史 ちくま新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2009/07/08 |
JAN | 9784480064943 |
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害虫の誕生
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害虫の誕生
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商品レビュー
3.6
12件のお客様レビュー
定住型農耕が始まって害虫という認識が誕生した。 近世まで虫の駆除には殺傷感覚が存在していた。そのため宗教的な行事に頼る。 ゴキブリはコガネムシと言われ、金持ちのところにしかいない虫で、殺さないようにしていた。 松方正義は、虫のにわかに生じたるにあらず、その実人の虫を発見したる...
定住型農耕が始まって害虫という認識が誕生した。 近世まで虫の駆除には殺傷感覚が存在していた。そのため宗教的な行事に頼る。 ゴキブリはコガネムシと言われ、金持ちのところにしかいない虫で、殺さないようにしていた。 松方正義は、虫のにわかに生じたるにあらず、その実人の虫を発見したるのみ ということを述べている。 ハエが汚いというイメージは、コレラの媒介を抑えるという目的から、国、世界でのキャンペーンによってつけられる。当時はハエを捕ることに賞金が設けられた。そのため、盗難も行われた。
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日本の社会の推移を害虫対処の見地から眺めた本。害虫排除は明治以降に始められ、江戸時代には、害虫の大量発生は天災と考えられ、祈祷やお札によって対処を計っていた。明治以降は農業害虫が、大正以降は衛生害虫も、天敵による駆除、除虫菊をはじめとする化学殺虫剤の散布により排除されている。年代...
日本の社会の推移を害虫対処の見地から眺めた本。害虫排除は明治以降に始められ、江戸時代には、害虫の大量発生は天災と考えられ、祈祷やお札によって対処を計っていた。明治以降は農業害虫が、大正以降は衛生害虫も、天敵による駆除、除虫菊をはじめとする化学殺虫剤の散布により排除されている。年代により、害虫に対する考え方も変わり、以前は害虫とは考えられていなかった、ハエやゴキブリなど、政府による排除促進により、害虫化したものもある。現在の問題は、駆除による種の絶滅と殺虫剤への耐性化が大きなものであり、エコロジカルを考慮した害虫とのつきあい方が求められる。
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「害虫」という概念は実はそれほど古いものではない。 そもそも虫による農業被害は天がもたらす災いであり、 人知の届くものではないという意識が、 少なくとも江戸時代までは主流であり、 それが人々と虫との「付き合い方」だった。 今と比べれば、そこら中、虫だらけだったのだろう。 明治に...
「害虫」という概念は実はそれほど古いものではない。 そもそも虫による農業被害は天がもたらす災いであり、 人知の届くものではないという意識が、 少なくとも江戸時代までは主流であり、 それが人々と虫との「付き合い方」だった。 今と比べれば、そこら中、虫だらけだったのだろう。 明治に入っても相変わらず「お札」やら「虫送り」といった 迷信的対策に頼るのが普通で、 国や一部の昆虫学者が提唱していた科学的アプローチは 普及しないばかりでなく、農民の反発を買うことすらあった。 それが第一次大戦に入ると一変する。 すなわち、食料輸入が不安定になったことにより、 農業の生産性向上が国家の至上命題となった。 ここで初めて害虫駆除の研究が本格化することになる。 そして殺虫剤の研究は毒ガス兵器の開発へとつながり、 さらに戦地におけるマラリアを媒介する蚊の駆除といった 伝染病予防にも活用された。 つまり、害虫の歴史は戦争の歴史に重なるのである。 そしてそれは、ひいては「人間と自然の関係」の変化を 描写していると著者は主張する。 ここで著者は、科学の発展をやみくもに否定し、 自然保護を声高に訴えるわけではない。 ただ、我々が今日では当たり前に受け入れている 害虫/益虫といった区分や、「ハエ・蚊の少ない世界」は 時代背景や社会的要因によって 形作られてきたものなのだという事実を淡々と明らかにする。 僕たちが「自然っていいよねえ」というとき、 それは原始の「自然」ではなく、 人為的に操作された「心地よい自然」なのだ。
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