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ぼくを創るすべての要素のほんの一部
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ぼくを創るすべての要素のほんの一部

スティーヴトルツ【著】, 宇丹貴代実【訳】

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ぼくを創るすべての要素のほんの一部

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ランダムハウス講談社
発売年月日 2009/06/19
JAN 9784270005033

ぼくを創るすべての要素のほんの一部

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商品レビュー

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2018/07/08
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どんな家業にせよ、二代目というのはとかく葛藤の多いものだ。親がすぐれておればプレッシャーがかかる。逆に昨今の二世議員のように、悪癖の因習を行えば、親以上に憎まれたりもする。『ぼくを創るすべての要素のほんの一部』……この長い長い邦題を持つ長い長い物語も、そんな父子の葛藤を扱っている。ただし引き継がれているのは家業ではなく、性格と、思索し、それを書きつけることへのこだわりだ。 父の名はマーティン。幼い頃、病気で四年余に亘る昏睡状態に陥った彼は、母親が読み聞かせる数多の本に睡眠学習を施され、該博な知識を得て目覚める。だが彼の存在は、カリスマ的悪党である弟テリーの華やぎの前には格段に影が薄かった。弟への嫉妬と劣等感に苛まれつつ、自らの知性に恃むところも大きいマーティン。彼は計らずも設けることになった一人息子・ジャスパーを、徹底的に自分の影響下で育てようと目論む。成長したジャスパーはこれに反発。互いに根深い近親憎悪を抱きながらも隔絶されることはない父子に、様々な珍妙な人間関係が絡み、壮大にして卑小な物語が綴られていく。 そしてすべては終盤に現れる、ある仏陀的人物の掌の上の出来事だった……と見せかけて、物語はその掌の上をさえするりと滑りぬける。ラストでジャスパーの長年の葛藤を和めるひとつの「気づき」は、考えてみれば至極当たり前のことだ。しかし、偏屈で、やることなすこと裏目に出る父親の遺伝子に呪縛されている……という強迫観念の中で生きてきた者にとり、これに勝る救いはないだろう。 主人公父子が行動より思索が得意であるだけに、数々の文学作品や哲学書からの引用、それに関する知的な(時にはおちょくった)考察、時間差で「なるほど」とわかる暗喩や皮肉な言い回しなど、言葉の豊かさ、楽しさにたくさん出会えるのも醍醐味だ。ジャスパーの回顧録にマーティンの手記や遺稿が挟み込まれ、息子と父の視点と声とが螺旋を成して響き合う物語。己を表現し、また遺す為に、書くという行為に二代に亘って依存する様を愛情深く揶揄するふうでもある。登場人物たちの奇矯なふるまいがきわめて特異であるために小説として面白く、それでいて彼らの関係性が実にありふれた親子兄弟のそれであるために、読む者の共感を呼ぶ話でもある。

Posted by ブクログ

2011/04/20

厭世的ででとち狂った父親をめぐる鼻持ちならない愛すべき惨めな物語。でも笑える。「惨め過ぎて逆に笑える」とか「笑える惨めさ」とかじゃない。惨め、で、同時に笑える。唐辛子せんべいみたいな。しょっぱくて辛くてうまい、みたいな。違うか。 この例えは盛大に失敗した気がするけど、とにかくすご...

厭世的ででとち狂った父親をめぐる鼻持ちならない愛すべき惨めな物語。でも笑える。「惨め過ぎて逆に笑える」とか「笑える惨めさ」とかじゃない。惨め、で、同時に笑える。唐辛子せんべいみたいな。しょっぱくて辛くてうまい、みたいな。違うか。 この例えは盛大に失敗した気がするけど、とにかくすごく面白かった。荒唐無稽で繊細。 伝説的な犯罪者として英雄扱いされる弟(叔父・テリー)と対照的に国中一の嫌われ者になってしまう兄(父・マーティン)。弟の伝説的な行動に多大な影響を与えたのは自分であるはずなのに、常に弟の陰として扱われ、たまに脚光をあびるとしてもそれは英雄の兄だから、という理由でのみ。 本当は自分自身が認められたくて仕方ないのに、それがかなわないものだから偏執狂的な妄想だけが肥大して、おかしなプロジェクトに次から次へと手をつける。結果やることなすこと裏目に出て、結局のところ世間から嫌われ続ける。 で、その父親の息子であることいやでいやで仕方ないのに、結局は父親の意思を完璧に理解できるほどに思考が似通ってしまう息子(ジャスパー)。 ストーリは少々強引な展開だけど、それを逆に楽しみに変えてくれるユーモアと緻密な想像力に溢れてる。 でも、なんだかんだで最終的にはいかれた愛の物語だ。

Posted by ブクログ

2011/02/18

父ちゃんは国で一番の嫌われ者で、叔父さんは大英雄、んで母さんには会ったことも無いっていう主人公が、自由を奪われて牢獄に入れらるまでのあれやこれやの物語。ろくでもない出来事とろくでもない人物に取り巻かれて、くそったれで最低な挿話が満載なんだけど、どこをどう切り取っても大きな愛とユー...

父ちゃんは国で一番の嫌われ者で、叔父さんは大英雄、んで母さんには会ったことも無いっていう主人公が、自由を奪われて牢獄に入れらるまでのあれやこれやの物語。ろくでもない出来事とろくでもない人物に取り巻かれて、くそったれで最低な挿話が満載なんだけど、どこをどう切り取っても大きな愛とユーモアに溢れてる。不器用でねじ曲がっているからこそ、どこまでも真実で強く深い愛、そして最低な世界を愛するためのユーモアと狂気。 父ちゃんと叔父さんの子供時代から始まって、主人公が大人になるまで、内面とかも含めてめちゃくちゃ緻密に描かれてるので、ディケンズとかアーヴィングとかの大作を読んでる感じになる。 そこにちょっとしたフックとして彩りを与えてるのが、プロジェクトと呼ばれる父ちゃんの馬鹿げた思いつきなんだけど、目安箱を作って街をみんなの好き放題にしたり、巨大な迷路の中に家を建てたり、国中の人を億万長者にしたりと、極めて風変わりなので、あっと驚く急展開も含めて、全く飽きることなく読み切れちゃう。 フレームストーリーとかの叙述テクニックも多彩だし。 でも挿話とかテクニックとかよりも全体を貫く深い愛にやっぱし打ちのめされるし、どうしたって泣けてしまうのだ。

Posted by ブクログ

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